NO IMAGE

ヤフーと楽天が今度は中国で激突 ヤフー、タオバオ提携でどうなる?

中国での仮想モール展開といえば、ヤフーに先行する形で、楽天も1月27日に、中国の検索サービス最大手の百度(バイドゥ)と組んで仮想モール運営を目的とした合弁会社の設立を発表している。今年の夏以降をメドに「中国最大の仮想モール」(三木谷社長)を開設するとしており、いわば日本の大手二大仮想モールが中国で雌雄を決する構図となるわけだ。冒頭の台詞は、5月13日に行われた楽天の第1四半期の決算説明会での、「ヤフータオバオ」について見解を求められた三木谷社長のコメント。ヤフーと楽天といえば、直近ではそれぞれ西武本店、東武百貨店と、池袋の「西と東」で物産展を開催し激突したことが記憶に新しいが、今度は舞台を中国に移して再び覇権を争うことになるわけで、三木谷社長の「(楽天を)意識している」という発言には、こうした経緯も影響していると思われる。果たして、成長著しい中国市場で”勝ち組”となるのはどちらなのだろうか――。

スポンサードリンク

「タオバオ」内に「ヤフー!」商品専用の購買代行サイト

ヤフーがこのたび提携した中国最大の通販サイト「タオバオ」は、登録ユーザー数は約1億4500万人。2009年の取扱高は、前年比2倍の成長率の約3兆円となっており、中国は言うに及ばず、アジア最大規模の仮想モールだ。
詳しい提携内容についてだが、まずヤフーは、「タオバオ」内に新たに開設される通販サイト「淘日本(タオジャパン)」内で、「ヤフー!ショッピング」出店店舗の商品を販売する。6月1日のサイト開設時の登録商品数は約800万点を予定しているとし、ジャンルはベビー・マタニティ、家電、アパレル、アクセサリーなどの日本製品が中心になるようだ。
出品の基準は日本での「ヤフー!ショッピング」出品時と同じだが、輸出入に法的規制がある商品や、販売免許が必要な商品は対象から除外する。将来的には、こうした除外対象に該当しない全出店店舗の商品を出品していく考えだ。
中国での商品購入の際の決済は、アリババグループのネット決済「アリペイ」を採用。また、商品の説明文などは、双方のサイトで機械翻訳を実装することで対応する計画。出品料については「現在、最終確定に向けて協議中」(ヤフー)としている。

4億5000万品目の扱いを目指す

 同様に、ヤフーはトップページ内に「タオバオ」商品を扱う「ヤフー!チャイナモール」を開設する。「ヤフー!ショッピング」の商品と一緒にはリスティングされないが、「ヤフー!ショッピング」や「ヤフー!オークション」から誘導することで一定規模の集客を獲得できると見ているようだ。既に「ヤフー!ショッピング」内には専門の告知ページを設置。また、全貌は不明だがオープンに合わせた特別企画なども用意しているとし、オープン当日のスタートダッシュにつなげたい考えだ。
同サイトのスタート時の掲載商品数は約5000万点で、ジャンルは中国製のアパレルやアクセサリー、カバン、IT周辺機器、雑貨などで、「圧倒的な低価格で」(同)販売していき、価格面でアドバンテージを打ち出す計画。商品は今後、順次拡大していくとし、最終的には「タオバオ」の約4億5000万品目のうち、輸出入の法的規制などに該当しない「すべての商品の取引を目指す」(同)構想を立てている。

楽天は”本命”中国でどう出る?

 以上がヤフーの中国におけるネット販売事業の現段階での全容だが、では、楽天はこうした動きに対しどう対抗していくのだろうか。
 楽天では、既に海外1拠点目として2008年5月に台湾での仮想モール事業を開始しており、09年9月にはタイ最大の仮想モール「TARAD.com」を運営するタラッドドットコム社を子会社化。「タイ版楽天市場」を始める基盤を整えるなどアジアでの仮想モール展開を進めている。三木谷社長によれば、台湾版楽天市場は「トラフィックは既にNo.2でNo.1も視野に入っている」と好調のようだが、これはあくまで試金石で、アジア進出の”本命”が成長著しい「中国」であることはおそらく間違いない。三木谷社長も「中国での仮想モール事業は戦略的プライオリティーではトップクラス」と述べており、同市場に対する期待は並々ならぬものがあるようだ。
 「楽天百度」は、「法的にもシステム的にも夏以降にスタートできる準備は整った」としており、今年の後半から、本格的な戦いが始まる模様。中国での戦略としては、「手厚いサポートと充実したシステム、百度のトラフィックを合わせて展開していく」(三木谷社長)としており、検索サービス最大手の百度と組むことで「百度の中国内における圧倒的な認知度」を武器に集客する構想だ。
こうした方針のもと、「中国(の仮想モール展開)は必ず成功すると思っている」と自信を見せる三木谷社長。ただ、先行者メリットがあり、中国で多くのユーザーに支持されている決済システム「アリペイ」を持つ「タオバオ」を凌駕することは、楽天といえども相当に困難であることに間違いない。加えて、冒頭の「我々にとってはグッドニュース」とは、市場活性化を意識してのコメントと見られるが、もともと中国は認知度や商習慣の問題から、ネット販売で目立つ成功事例が未だほとんど存在しない”難関”市場。多くの企業が参入しているが、その分撤退する企業も多い。果たして、ヤフー、楽天がどのように成功事例を作るのか、そして両者の対決の行方はどうなるのか――中国での今後に注目が集まることは必至だ。

NO IMAGE

国内唯一の月刊専門誌 月刊ネット販売

「月刊ネット販売」は、インターネットを介した通信販売、いわゆる「ネット販売」を行うすべての事業者に向けた「インターネット時代のダイレクトマーケター」に贈る国内唯一の月刊専門誌です。ネット販売業界・市場の健全発展推進を編集ポリシーとし、ネット販売市場の最新ニュース、ネット販売実施企業の最新動向、キーマンへのインタビュー、ネット販売ビジネスの成功事例などを詳しくお伝え致します。

CTR IMG