17の通販サイトから最安値を表示するiPhoneアプリ

【2010年10月号】2007年1月に日本国内で発売されたiPhoneの国内出荷台数は300万台を突破したとされ、2010年6月には最新モデル「iPhone4」が発売されるなど、国内における“スマートフォン旋風”は一層の加熱ぶりを見せている。ネット販売事業者にとっても、今後もさらなるユーザーの増加が見込まれるiPhoneは、新たな売り場としても非常に魅力あるものだ。しかし、単にiPhoneで通販展開するだけでは、これまでのモバイル戦略の延長に過ぎない。当然ながら集客につながる「アプリ」の活用が不可欠となる。そこで今回は、いくつかの通販サイトの中から商品を価格比較することができる最新アプリに注目した。
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バーコードで商品情報を読み取り

トップ画面でバーコードをスキャンするか商品名で検索するかを選ぶ

コードスタートの「ショッピッ!」は、無料のiPhoneアプリケーションで、店頭や自宅で手にした商品のバーコードをiPhoneのカメラにかざすと、その名の通り、「ピッ」と一瞬で商品情報を読み取り、アマゾン、楽天市場、ヤフーショッピングの3つの仮想モール内で検索された最安値が上位から表示され、その中から好きな商品を買うことができるようになっている。

ネット販売やネットオークションを手掛けるイーベイと技術提携したバーコード認証技術を採用しており、オートフォーカスのないiPhone3G端末でも、接写レンズなしでバーコードの読み取りが可能だ。

8月30日にリリースした最新バージョンの「ショッピッ+plus(プラス)」では、対応通販サイトをこれまでの3モールに加え、「なんでも酒やカクヤス」や「イーブックオフ」、「爽快ドラッグ」など新たに合計14通販サイトを追加した。検索対象となる通販サイト側は、代理店などを通じたアフィリエイト広告契約の範囲内での参加となるため、新たな費用はかかってない。

酒、食品類の小売事業を展開し、通販サイト「オンラインショップなんでも酒やカクヤス」を運営するカクヤスでは、「ショッピッ+plus」との連携により、ネット販売事業の強化に加え、iPhone上での集客を進めることで、手軽に購入できる「1本から即日配達」サービスとの相乗効果などを期待している。

通販サイトはジャンル数で拡大

同アプリの対応通販サイトが増えることは、ユーザーにとっては購入商品の選択肢が広がることになるが、通販サイト側としては、競争激化による商品価格の下落につながることも懸念される。

この問題について、コードスタートでは、「有象無象の通販サイトをふやすのではなく、ユーザーにとってあったほうがいいと思うサイトに絞って増やすことを考えている」(柴田陽代表取締役)と説明。書籍であれば「イーブックオフ」、酒類では「オンラインショップなんでも酒やカクヤス」、健食・日用品では「爽快ドラッグ」というようにそれぞれのジャンルごとに、多くても2サイト程度までを提携先の限度数としている。

スキャンする場合は、カメラが起動したら画面中央にバーコードを近づける。通常2秒以内で認識する

実際にコードスタートがユーザーに実施したアンケートでも「1つの商品にあまりにも多くのサイトが表示されると使いづらい」との意見があった。そのため、iPhoneの画面サイズを考慮して、1ページに上位10商品程度までの価格が乗ることをベストに考えている。

今後の戦略としても、競合する通販サイト同士を増やすのではなく、不足しているジャンルの通販サイトを拡大していく方針。「日々買うものとして、シャンプーや化粧水、オリジナル商品を扱っている通販サイトの対応がまだないので、これから増やしていきたい」(同)とした。

また、今後は価格だけを検索軸とするのではなく「ポイント対応」「送料無料」「即日配送」など、値段以外の付帯サービスでも検索できる機能の追加を検討している。同社では、ショッピ経由の売上高が対応する全17通販サイト合計で月額1億円を越えることを目指している。

スマートフォンの今後の通販市場

 同社の分析によると、2009年のスマートフォンの通販市場規模はモバイル通販市場全体の7%前後を占め、2010年中には10%を越えると予測している。

 現状では、ゲームなどエンターテインメント系のジャンルがアプリの大半を占めており、ショッピング関連のアプリはまだそこまでの種類がない。しかし、従来型モバイル以上の画面サイズで、PC並みの情報量を持っているのがスマートフォン。それが常に持ち歩けるという利便性を考えれば、とっさの衝動買いなど“通販向き”のツールといえるのではないだろうか。

検索結果の一覧が表示される
購入希望のサイトを選択する
今後、各社で通販関連のアプリが開発されていくことは間違いない。ネット販売事業者は、自社の商品・サイトに合うアプリは何か、どのタイミングで活用していくかなど、よく見極めていくことが重要だ。
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