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百貨店系化粧品ブランドのEC

【2010年12月号】”百貨店だけ”からの脱却図る各社の戦略は?

 国内化粧品市場の競争激化などを背景に、百貨店を主戦場としてきた化粧品ブランドのネット販売強化が相次いでいる。集客力の低下から百貨店が不採算店の統廃合を進める中、流通戦略の見直しを迫られているためだ。かつて百貨店が持つプレステージ性は、そこに出店する化粧品ブランドのイメージを創り上げることに一役買っていた。

 だが、女性のライフスタイルの変化やネットの普及に伴い、これまで百貨店の美容部員を介して発信されてきた美容情報も、ネット上のくちコミサイトや情報サイトが担うようになった。こうした中、ネット販売強化に乗り出す百貨店系ブランド各社の戦略を追う。

 流通戦略で多角化図る国内大手

 まず、国内化粧品市場の現状を振り返りたい。

 かつては専門店を主流とし、百貨店やGMS、ドラックストアなど時代の変遷と共に台頭してきた新たな流通に対応力を見せ、今の地位を築いてきたのが資生堂や花王、04年に花王と事業統合したカネボウ化粧品、コーセーなど国内大手企業だ。これら企業は、流通別に専用商材を開発していくことで各流通に対する影響力を発揮してきた。個人事業主が中心となっている専門店流通が低迷し、百貨店が新たな流通として台頭した時代には、専門店の専用商材を開発することにより、個人事業主との軋轢を避け、多角化を可能にしてきたわけだ。

 一方、キメ細かな流通戦略を展開する中、国内大手とは別の目的で生まれてきたブランドがある。アユーララボラトリーズ、イプサ、ディシラなどだ。

 これら企業は資生堂子会社ながらその看板を掲げない〝アウト・オブ・資生堂〟と言われる外郭ブランド。すでに認知が普及した企業ブランドのメリットを享受しない代わりに、新たな創造性を持って生まれてきたブランドといえる。

 さらに、仏ロレアルや米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)といった外資系大手が国内市場に参入。こうして形成されてきたのが今の化粧品市場だ。

 市場の飽和受け通販強化に乗り出す

 化粧品市場の規模は2兆円超とされるが、既存流通の低迷が際立っている。

 民間信用調査機関の調べによると、08年度の市場は、ドラックストアが0.4%増の6,125億円とかろうじて横ばいを維持したものの、百貨店は5.5%減の2,061億円、GMSなど量販店は1.9%減の2,978億円、専門店は2.6%減の2,858億円と軒並み縮小している。さらに追い討ちをかけるように08年以来のリーマンショックが各流通を直撃。消費不況を招いている。

 一方、ネット販売を含む通販市場は一人勝ちの様相を呈している。08年度の市場規模は6.3%増の約2,500億円。こうした中、これまで「専用商材」と「限定流通」という手段で国内流通を席巻してきた国内大手が、通販市場にもすでにその触手を伸ばし始めている。

 資生堂は子会社のキナリを通じて「草花木果」を、コーセーも同ドクターフィルコスメティクスを通じ「フィルナチュラント」を展開する。また、花王は通販専用ブランド「オリエナ」を立ち上げ、カネボウは同「グラスオール」を展開している。

 一方で、ネットの台頭を好機と捉えたのが、外資系大手や国内大手の外郭ブランドだ。

 現在、外資系大手の国内シェアは「20%未満」(国内大手関係者)と推計されている。背景には、国内勢と比べ専門店の販売網が弱く、主販路として展開してきた百貨店も集客力の低下や店舗閉鎖から低迷しているためだ。

 全国に販売網を持つ国内勢が既存ブランドでネット販売に臨む場合、百貨店への美容部員の派遣にかかる人件費やテナント料が重荷となり、店舗の採算性悪化を招く可能性が高い。一方、外資系大手にとっては、逆に販売網が弱く、専門店等とのしがらみもないことがネット販売強化への自由度を高めたわけだ。

(続きは「月刊ネット販売」2010年12月号で)  ご購読はこちらからどうぞ。

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