Tue, April 23, 2019

始まった「Googleショッピング」――価格比較サイトの送客力への影響は?

始動したGoogleショッピング。複数の通販サイトを横断検索して価格順などで表示する(画像は「掃除機」で検索後、一番上の「ダイソン」をクリックしたあとの画面)

【2010年12月号】 グーグルは10月20日、商品検索に特化した「Googleショッピング」を開始した。「商品名」など任意のキーワードで検索すると、複数の通販サイトから該当する商品を商品名や価格、画像とともに検索結果に表示。検索結果をクリックすると、通販サイトの当該商品ページにリンクするというものだ。

 実際に「Googleショッピング」を使ってみると、スタート時の検索対象サイトはヨドバシ・ドット・コムやECカレントといった家電の通販サイトのほか、ベルーナ、千趣会など大手カタログ通販企業が中心のようだ。なお、どちらが“拒否”しているかは詳細は不明だが、同じ仮想モールでも「ヤフー!ショッピング」のショップや商品は検索対象になっているものの、「アマゾン」や「楽天市場」のショップや商品は現時点では検索対象にはなっていないようだ。

 グーグルの優れた検索技術と年内中にヤフーが検索エンジンを自前のものからグーグル検索に切り替える。つまり、国内で一番、利用される「ヤフー検索」は今後、ほぼイコールで「グーグル検索」が表示されることを考えれば、Googleショッピングは「ネットショッピングの入り口」として機能する可能性は十分だ。

 では、Googleショッピングで通販サイトが検索対象となるためにはどうすればいいのか。1つはグーグルからの自社の商品情報がクローリングされるのを待つ。もう1つはグーグルが用意した「グーグルマーチャントセンター」から商品名や価格などの商品情報を送る方法がある。いずれも無料だ。恐らく通販サイトにとってはマイナスにはならないはずなので、まだGoogleショッピングの検索対象となっていない通販サイトは自社商品情報を登録して見る必要がありそうだ。

 一方で気になるのが、既存の価格比較サイトの集客力の低下だ。多くの通販サイトにとって、価格比較サイトは有力な新規ユーザー獲得のための導線となっていることが多い。Googleショッピング経由からの新規ユーザーが増えるのは結構なことだが、Googleショッピングの登場で安定した送客力を持っている価格比較サイトの行方がどうなるのかはやはり集客面の観点から、気になるところだ。

 現状、日本の価格比較サイトは、カカクコムが運営する「価格.com」の一人勝ちともいえる状況だ。価格調査までもがグーグルで完結してしまえば、価格.comの出番はなくなってしまうわけだ。カカクコムはどう対応するのか。

カカクコム「蓄積データで勝負」

  11月4日の中間決算発表の席上、カカクコムの田中実社長は「グーグルは外部のデータを検索するのは上手だが、当社は内部に蓄積されたデータを提供することで勝負したい」と強気の発言に終始した。

 現在のGoogleショッピングは、検索すると商品名や価格、画像が検索結果に表示されるシンプルなもの。価格.comのようにレビューやくちコミ情報などを集積する機能はなく、「複数の商品を比較検討する」といった用途には向かない(個別の通販サイト上にあるレビューやくちコミ情報などは検索結果に一緒に表示されることもある)。また価格.comはユーザーによる店舗評価があることも強みの一つだが、Googleショッピングだけでは店の評判を知ることはできない。

 「現状では(競合サイトである)コネコネットや比較.comの方が、まだしも日本人の買い物の感覚に合っているのではないか」(田中実社長)。ただ、あくまでもGoogleショッピングは試験運用中。グーグルのトップページからも「ショッピング」のリンクをクリックすれば価格が検索できるようになったほか、検索された商品のスペックが表示されるようになるなど、機能も進化している。アメリカやドイツではすでに提供しているサービスだけに、一定のノウハウもあるだろう。田中社長も「技術力のある会社だけに軽視はしていない。ユーザーのニーズを読み取って価格.comの機能を高めることで対抗したい」とする。

利用企業は歓迎も「現状は期待薄」

  しかし、価格比較サイトに情報を提供する店舗にとって、Googleショッピングの誕生は朗報といえる。価格.comは、利用者のクリック数を元にした従量課金で参加費用を徴収する仕組みを採用しているが、ここ数年、1クリックあたりの料金値上げやクリック数に応じた割引制度の廃止など負担増が続いており、大手家電通販サイトからは不満の声も上がっていた。しかし価格比較サイトは価格.comの一人勝ちだけに、顧客流入の導線として頼らざるをえないのが実情だった。

 Googleショッピングの場合、検索連動型広告が表示されるだけで、店舗から費用を徴収することはない。そのため、同サイト経由の流入が増えれば「価格.com頼みの集客から脱却し、リスクを減らすことができる」(大手家電ネット販売企業の幹部)。そうなれば、クリック料金の値上げに歯止めがかかる可能性も出てくるわけだ。

 ただ、価格.comに情報を提供している家電通販サイトに話を聞くと、カカクコムの田中社長と同じく「現状のサイト構成ではあまり大きな流入効果は期待できない」という意見で一致している。また、価格.comを利用する各企業は、自動的に値段を変更する仕組みを導入していることが多いが、Googleショッピングで同様のことを行いたい場合は、グーグルのAPIを使ってシステムを開発し、自動連携させる必要がある。

利用増には使い勝手改善が必要

  では、ネット販売企業はGoogleショッピングにどう対応すれば良いのだろうか。

 現在、大手家電通販サイトは軒並み検索対象となっているものの、しばらくは様子見という企業が大半のようだ。Googleショッピングからの顧客の流入に関しても「まだまだ微々たるもの」(同)なのが実情だけに、価格変更システムの導入を先延ばしにしているサイトもある。

 ある大手家電ネット販売企業の幹部は「Googleショッピングの利用者は最安値の店しか相手にしない可能性がある」と危惧する。価格.comは店舗への評価を重視して購入する利用者が多いため、必ずしも最安値を目指す必要はなかった。ところが、現在のGoogleショッピングにはそうした基準がないため、価格でソートして一番上にきたサイトに集中するのでは――というわけだ。

 とはいえ「最安のサイトを効率良く知りたい」というニーズは根強い。価格.comに登録していないサイトも多くあるだけに、検索対象のサイトが増加し、使い勝手が改善されれば価格.comの利用者を一定数奪うことになりそうだ。店舗や商品のレビューに関しても、グーグルの検索能力を用いて外部サイトから収集し、利用者が参考にしやすい形で提供することも可能だろう。

 どこまで機能が進化するかは未知数だが、価格.comのような課金制度の導入は考えづらいだけに、利用者が増えればネットショップにとっての利用価値は高くなる。現在検索対象に加わっていないサイトは対応を検討する余地はありそうだ。

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