夢展望、脱・ファストファッションへ、海外展開も積極化

昨年出店したタオバオの通販サイトを今期から本格稼働する

【2011年2月号】夢展望は今期、「低価格」イメージだけのファストファッションからの脱却を図る。強みとするファストファッションが一般化し、他社との差別化が図りにくくなることから、機能性のある素材を使用した商品開発などを行うと同時に、商品のブランド化をすすめる。加えて、新たな市場として中国に進出し、海外展開を積極化していく考えだ。

10年9月期は38%増の63億円と好調

 「日本の戦略を海外にスライドしていく」という夢展望の岡社長。同社の今後の戦略を見る前に、10年9月期の業績を振り返ってみる。連結売上高は前期比38%増の63億1900万円。連結経常利益は3000万円で、3期連続の黒字化を果たすなど好調だ。この背景にあるが、モバイル通販を中心とした広告費出稿による新規客開拓の強化だ。若年層を中心に新規客獲得の、顧客数は70~80万人と拡大、メルマガ会員数は100万人となっている。

 新規客獲得が順調に進む理由は従来から展開してきたブランディングにある。東京にプレスルームを構え、通販サイト名を打ち出したブランディングに注力。ターゲットが好む女性ファッション誌への衣装の貸し出しや広告の出稿、加えて、大手仮想モールなどでのランキングやテレビ番組などを通じ露出を拡大してきた。

 その成果として女性ファッション誌「Popteen」では“神的通販サイト”と表現されたほか、情報誌でも購入したことのあるサイトとして「夢展望」が掲載されていたという。また、ターゲット層と親和性が高い読者モデルを起用したことで、サイトのページビューを増やし、購買のきっかけ作りにつなげるなど、「ショップブランディングはかなりできている」(岡社長)する。

 加えて、モバイル通販の活用を意識した商品開発も進めてきた。モバイルの特性上画面が小さく訴求力が弱いデメリットをカバーするため、商品開発では、豊富なカラーバリエーションを用意したほか、バイカラーの配色を積極的に取り入れたデザインを採用。例えば、ペチコートとショートパンツを組み合わせた「ペチパン」では、ブラックやホワイトなどの定番カラーに加え、ピンクやブルーなどのパステルカラーも用意。モバイルサイトでの商品画像やバナー広告でのインパクトを強め、衝動買いの誘発につなげてきた。

 

売上高100億円視野に物流体制を構築

 一方、利益圧迫要因となりやすい在庫管理では、独自システムの開発で課題をクリアしてきた。夢展望では毎月500型の商品を投入しており、それぞれ小ロットで製造する。ペチパンの商品開発でも見られるように商品ごとに豊富なカラーバリエーションを用意。サイズ展開も多いものでS~LLと幅広いく、「SKUで見るとかなりの数になる」(同)という。

 在庫ロスを減らし利益を確保できる体制を構築するため、数億円規模の投資を行い3年がかりで独自のシステムを開発。物流センターと販売データを一元管理し、商品の入荷や受注、出荷までを人を介さず行えるようにシステム化している。

 また、9月に移転した新物流センターでは、商品ひとつひとつにICチップをつけ、より細かな在庫管理や商品のピッキングを行えるようにした。新物流センターでは最大4000坪まで拡張することが可能で「売上高100億円規模まで対応できる」(同)という。

脱・ファストファッションへ

 売上高100億円を目指し、順調に拡大を続ける同社。だが、今期は「脱・ファストファッション」への取り組みを強化する。百貨店がZARAやH&Mなどのファストファッション店舗を誘致していることや、大手総合通販でもファストファッションの取り扱いを積極化していることから、今後は低価格帯のアパレルが一般化すると予想。岡社長は「今が流行のピークだろう」と危機感を抱いている。

 そこで価格訴求だけに頼らない商品開発を検討。従来どおり、品質と価格のバランスが良い低価格商品の開発を進める方針だが、「新たな付加価値として機能性のあるテキスタイルの使用や、有名なタレントの起用など、さまざまな取り組みを構想している」(同)という。

 また、ブランディングも変更する。同社ではこれまで8つの商品ブランドを持っていたが、「夢展望のショップブランドの構築を優先してきたため、商品ブランドは“記号”のようになってしまっていた」(同)という。

 そこで今期は「ブランド化計画」と銘打ち、社内の部署を連携させ、「ポートフォリオやブランドポジションの見直しを図り、ワンランク上のブランドを構築したい」(同社)としている。

 これまでの通販サイト「夢展望」を打ち出した販促から変更。サイト名を出しながら商品ブランド名を打ち出した広告展開などを行うほか、活用するメディアの選定なども見直していくようだ。

中国と台湾でネット販売を本格化

 日本では商品ブランディングを推進する一方で、今期は海外でのネット販売にも注力する。岡社長は「中国ではまずショップブランドの確立からスタートし、日本での商品ブランディングが成功した段階で、中国や台湾でも同様の取り組みをすすめていきたい」(同)とする。

 海外展開の準備として2008年に中国で、09年には台湾でそれぞれ現地法人を立ち上げ、昨年はタオバオとバイドゥに出店。今期はこれらのネット販売を本格稼働させ、モール内に広告も出稿していく予定だ。

 海外市場でも日本で成功を収めた「ショップブランディング」を進める。2月には上海にプレスルームを開設。雑誌社やタレントなどに商品を貸し出し、商品の露出を拡大する。「中国のギャルファッションマーケットを5年かけて創っていく」(同)考え。

 今後、中国展開については専用の物流拠点や撮影スタジオを開設。専属モデルを起用して画像の制作も行う。中国でも日本と同様の品揃えとするが、現地のトレンドに合わせたサイトを作り商品訴求を行う考え。「将来的には日本と中国、台湾で同時MDなどグローバルな展開も構想する」(同)とする。

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