21年度、景表法措置命令は41件例年並み――「空間除菌」関連が最多

 2021年度の景品表示法の措置命令件数は、37社に対する41件だった。前年の33件から大きく増加。ただ、19年度まで40~50件ほどで推移しており、例年並み。「空間除菌」関連など保健衛生品への処分が12件で最多だった。前年に続き、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた監視強化の影響を受けたとみられる。年度末には、空間除菌の大手、「クレベリン」シリーズを販売する大幸薬品と措置命令をめぐる攻防もあった。


大幸薬品の販売する「クレベリン」置き型2商品
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新型コロナ影響で「空間除菌」監視強化

 措置命令は37社。メルセデス・ベンツ、アフィリエイト広告を対象にしたアシスト、アクガレージ、ハウワイが1社で2商品2件の措置命令を受けたため、命令件数は41件だった。命令の内容は、「優良誤認」が30件、「有利誤認」が8件、「5条3条(告示指定)」に基づく命令が3件(原産国表示2件、おとり広告1件)だった。

 本紙集計で、商品別では、「空間除菌」関連など保健衛生品への処分は12件。前年の20件から減少したものの、最も多かった。一方で、「痩身効果」関連は、補正ベルト、健康食品、ボディクリームの各1件にとどまった。過去には、ダイエット関連の健食取締り強化が続いた年もあったが、新型コロナの影響で重点監視の対象が変化したこと、また、機能性表示食品制度の導入を受けてダイエット関連の表示も一定程度許容されており、表示適正化が進んだことが影響したとみられる。

 不実証広告規制(景表法7条2項)を活用した、違反広告の〝みなし認定〟は「優良誤認」の違反認定のうち、66%に上った。適用したのは、空間除菌効果や痩身効果、豊胸効果など20件。「空間除菌(除菌を含む)」関連が11件、「痩身効果」が3件、「豊胸効果」が3件などだった。

 課徴金は、13社に対する15件。プライムダイレクト、DINOSCORPORATIONがEMS機器で2商品2件
の課徴金命令を受けた。課徴金額の総額は4億8484万円。20年度の約12億円から大幅に減少した。

 自治体による措置命令は、4件。東京都の2件(前年は2件)が最も多く、埼玉県の1件(同4件)、静岡県の1件(同0件)だった。東京都は、補正ベルトによる痩身効果、ボディクリームの豊胸効果に関する「優良誤認」の認定(いずれも不実証広告規制を適用)。埼玉県は、認知症の改善施術に関する表示で「優良誤認」、静岡県は二重価格表示で「有利誤認」を認定した。

空間除菌大手、クレベリンめぐる攻防も

「空間除菌」関連をめぐっては、「クレベリン」シリーズを対象に消費者庁と大幸薬品による措置命令をめぐる攻防があった。

 21年末、消費者庁は大幸薬品に予定する措置命令案を通知、法律で定められている2週間の「弁明の機会」を付与した。これを受けて大幸薬品は、東京地裁に措置命令の差止めを求め程度。提出した根拠の疎明が認められ、予定する6商品への措置命令のうち、クレベリン「置き型」2商品に対する命令の差止めが認められた。

 消費者庁はこの時点で今年1月に4商品に対する措置命令を下した。大幸薬品はこれを遺憾として法的措置を検討。置き型2商品についても東京高裁で引続き差止め請求の是非が検討されていた。

 だが、高裁で大幸薬品の請求が棄却されたことから消費者庁は今年4月、残る置き型2商品についても措置命令を下した。処分取消訴訟など大幸薬品の出方が注目されたが、結果として措置命令を受け入れた。

 過去に前例のない命令の差止め請求は多くの企業の関心を集めた。一方、結果としては棄却。両者の攻防は広く報道され、結果として大幸薬品が企業イメージの面でもマイナス影響を受けた可能性がある。ただ、法廷で根拠を争い、仮にこれが否定された場合、同社の主力商品である「クレベリン」は消費者からの信用を失う。措置命令を受け入れることで〝広告是正〟という根拠に踏み込まない決着となる。今後の販売を考え、処分を受け入れた可能性もある。

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