ゾゾ、採寸用のボディースーツ配布へ ――「脅威」「発想が違う」など反響多く

伸縮センサー内蔵のボディースーツで身体の1万 5000 カ所を瞬時に計測するという

スタートトゥデイが11月22日、プライベートブランド(PB)の展開に先駆けて発表した採寸用ボディースーツ「ゾゾスーツ」にファッションEC業界の内外からさまざまな声が上がっている。「ゾゾスーツ」は同日に無料配布の受け付けを開始したものの、10時間で23万件という想定以上の注文を受けたことや「諸事情のため」(同社)、2017年12月中旬時点で発送できておらず、PB「ZOZO(ゾゾ)」のスタートも遅れているが、引き続き注目度は高いままだ。

ゾゾスーツは、同社が16年6月に出資したニュージーランドのソフトセンサー開発企業、ストレッチセンス社と共同開発した伸縮センサー内蔵の採寸用ボディースーツで、トップスとボトムスを着用し、スマホとブルーツース通信で接続することで、身体の1万5000カ所が瞬時に計測され、当該データは「ゾゾタウン」アプリに保存できるという。
スタートトゥデイは、計測されたユーザーの体型データを活用することで、ファッションEC の課題である“サイズの不安”を解消し、商品検索やレコメンド機能の充実につなげる。
同社の前澤友作社長はSNSで「(ゾゾスーツは)体重計や体温計のように一家に一台の存在にします」とした上で「世界中のお客様の体型を最も知り尽くした企業となり、そのデータを元に一人一人にピッタリの服を提供する、世界でも類を見ないファッション企業を目指します」と投稿している。
PBについては、「科学やテクノロジーの力を駆使して“究極のフィット感”を実現するブランド」(同)と説明しており、究極のフィット感を実現するのに不可欠なツールがゾゾスーツということになる。
近く商品ラインアップなどPBの全容が明らかになると見られるが、同社では“超ベーシックなアイテム”と明言していることや、在庫を多く抱えない事業展開を模索していること、ゾゾスーツによって1万5000カ所の採寸情報が得られることからも、フィット感が重視されるシャツやパンツなどを受注生産型で展開するものと推測されている。
また、スタートトゥデイは、ゾゾスーツを共同開発したストレッチセンス社について、11月22日開催の臨時取締役会で将来的に100%子会社化を選択可能とするコールオプション契約(約22億円)を締結することを決めた。現時点ではPB事業の将来性が不透明なため、スタートトゥデイの裁量で子会社化の意思決定を一定期間にわたって確保できる同契約を結んだようで、ストレッチセンス社を完全子会社化するのに必要な追加出資額は約80億円という。

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ゾゾ出店企業も強い関心

ゾゾスーツについて、ファッション系の通販実施企業からは「非常に脅威」や「20万件以上のサイズ情報を入手できるインパクトが大きかった。今後、ファーストリテイリングの売り上げを食ってしまうのかが気になる。タイトに着たい、オーバーサイズに着たいなどのニーズに応えることができるかも注目している」「PBを販売する際の話題の作り方、ゾゾスーツのプレゼン方法が素晴らしい」などの声が聞かれた。
一方、スタートトゥデイがPB展開を始めることで競合にもなり得る「ゾゾタウン」に出店する大手アパレルからも、「普通の通販企業やアパレルでは出てこない発想」や「世界中でものすごい数の採寸データをとれれば、洋服の規格自体が変わる可能性はある」などの評価がある一方で、「脅威とは感じていない」との意見も案外多く、「洋服を作るのに1万カ所以上のデータを計測する必要はなく、服以外の領域を踏まえて次のビジネス展開を考えているのでは」や「身体の実寸を計測するという意味で、脅威に感じているのはスポーツアパレルではないか」といった理由を挙げる企業があるほか、「ボディースーツで体型の変化が分かるのはすごい。フィットネスやヘルスケアなどの分野で体型管理に使えれば面白い」など、アパレルカテゴリーを飛び越えてスタートトゥデイが次に挑むビジネスに関心を持つケースも多く、話題の尽きない同社への関心の高さがうかがえる。

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