欧米を中心にサブスクリプション(定期購入)型ECサービスがブームとなり、日本でもその兆しが見えてきている。サービスを大別すると、消耗品を毎月届ける「コンビニ型」と、その道のプロが厳選した商品を届ける「キュレーション型」に分類できる。前者は定期便の利便性を前面に出したもので、価格訴求型のサービスになりやすい。後者は、従来型の定期便や頒布会モデルとは一線を画し、流行に敏感な消費者やセンスに自信のない人などに服や下着、アクセサリーなど顧客一人ひとりに合った商品をプロの見立てで届けるのが特徴だ。欧米では知名度の高いスタイリストなどを起用して100万人単位で会員を囲い込んでいるサービスもある。

 ただ、“プロが選ぶ”という無形のサービスに、消費者がどこまで対価を支払えるかが焦点となるため、商材はもちろん、“プロ”として誰を立てるのか、また、価格設定も難しいところ。消費者にとっては定期購入で割安になったり、ブランドを知るきっかけとなるのに加え、「何が届くのか」というワクワク感も魅力。企業側は安定的なリピーターを獲得でき、商品に納得してもらえれば顧客ロイヤリティーも高まる。ネットのため、くちコミが広がりやすいという利点もありそう。

 日本ではウェブサービスを手がけるソラドが2011年8月にスタートした入浴剤セット「ヒーリングボックス」が定期購入型ECの第1号と見られるが、同サービスは12年4~5月に終了。同社は「商材の選択ミスもあってCPA獲得費用が高い。会員の囲い込みには時間と資金力が不可欠だった」とサイト閉鎖の理由を振り返っており、話題性だけでは従来のEC同様、垂直立ち上げは難しい事業のようだ。先行する欧米では参入企業が多く、すでにM&Aや、定期購入型の成功モデルを海外に移植したり、異なるカテゴリーの商材に当てはめて水平展開に乗り出すなど次のフェースに移っている。日本ではコスメや日本酒、ワイン、服などでサービスが始まり、2012年が“定期購入型EC元年”と言えそう。先行企業の取り組みを見ていく。

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