Tue, June 19, 2018

ローソン、ヤフーと食品通販――3年後に年商1000億円へ

ローソンは2013年1月中旬から、食品や日用品の通販を開始する。ヤフーとの合弁会社「スマートキッチン」を通じて行うスマートフォン向けECで、毎週1回の定期購入となる。2013年3月をメドに商品数を2万3000点まで拡大し、「宅配業界で国内最大級の品ぞろえ」を武器に、首都圏では「送料無料」で訴求して育児中の母親や働く女性などを開拓する。3年後に売上高1000億円規模まで拡大させる。

これまでローソンは、らでぃっしゅぼーやとの合弁会社を通じて食品のネット販売を展開してきた。今回、その相手をヤフーに変え、再度その取り組みに注力する。収益性が低く黒字化が難しいといわれるネットスーパーだが、今回のローソンのヤフーとの取り組みで成功モデルは構築できるのか。

“店舗に来店しない層”の開拓を模索

ローソンがヤフーとともに展開する食品宅配は「スマートキッチン」。ローソンはすでに今年6月20日付で、ヤフーとの合弁会社「スマートキッチン」を設立しており、同社で実施する。なお、同社の資本金は4億9000万円で、出資比率はローソンが51%、ヤフーが49%となる。社長にはローソンの加茂正治氏が就任し、ヤフーの宮坂学社長およびローソンの新浪剛史社長が非常勤取締役に就いている。

「スマートキッチン」はヤフーが持つ集客力やサイト構築ノウハウを活用するほか、ローソンの商品調達力やオリジナル商品開発ノウハウを生かして事業の拡大を目指す。

受発注で仕入れて在庫リスクを回避

「スマートキッチン」の品ぞろえは野菜や肉、魚などの食品のほか、洗剤や紙類などの日用品で、まずは1万1000点の品ぞろえでスタートする。来年3月をメドに、日用品が1万4000点、食品が9000点まで拡大し合計2万3000点をラインアップする。「宅配業界では国内最大級の品ぞろえ」を強みに展開し、2014年度をメドに単年度黒字化を計画する。

メーン商品はオリジナルの食材セットとなるようだ。あらかじめカットした野菜や肉と調味料をセットしたもので、例えば、「まろやか黒酢の酢豚」や「海老とブロッコリーの塩炒め」などをラインアップし、1セット3人前798円で販売する。こうしたオリジナルの食材セットは300アイテム用意し、冷蔵品と冷凍品を取り扱う。

加えて、ローソンが10%出資するらでぃっしゅぼーやが販売する全商品を取り扱う。購入しやすい価格帯で展開するプライベートブランド商品に加え、有機野菜など高品質商品の品ぞろえを強化することで、幅広い顧客の獲得を目指すようだ。

通販サイトはヤフーのノウハウを活用して構築する。あらかじめ商品を登録すると、日時を指定した週1回のペースで定期的に配達する仕組み。注文の変更は前日まで対応し利便性を向上する。「一般的な通販サイトとは異なり、商品を外してもらう“引き算”の買い物を実現。短時間で購入できるものになる」(ローソン)という。

商品はローソンが神奈川県座間市内に設ける「ローソンEC物流センター座間」から発送する仕組みで、展開エリアは全国。同センターはネット販売の物流拠点として稼動し、ローソンのネット販売「ロッピー」の物流を集約。テナントとしてらでぃっしゅぼーやが入ることが決まっているという。 送料については、首都圏は購入金額にこだわらず無料とする。ローソンは「サービス品質が向上し送料無料が一般的になっているため」とする。売上拡大に伴って収益を確保したい考え。

「Ponta」を活用して集客を強化

「スマートキッチン」のターゲット層は働く女性層。ローソンによると、共働き世帯は55%を占め、働きながら子育てをする女性が増加傾向にあり、家事を短時間で済ませたいとするニーズが広がっていると分析。集客力のあるヤフーと組むことで、新規客層の獲得を目指していく。

集客のカギとなるのは、ローソンが活用する共通ポイント「Ponta」だ。スマートキッチンでは「Ponta」を付与することや使用できることで訴求し、ヤフーユーザーをスマートキッチンに誘導する。一方、ヤフーが提供する「Yahoo !ウォレット」での決済には対応するものの、カルチュア・コンビニエンス・クラブとの業務資本提携を通じて展開する「Tポイント」は活用しない方針としている。

3年後をメドに70万人の顧客基盤構築を目指すスマートキッチン。高い目標を掲げる同社にとって、ポイントを活用した集客はカギになりそうだ。

送料無料で収益は確保できるか?

ローソンはこれまでも、食品のネット販売を強化していた。2011年10月にらでぃっしゅぼーやとの合弁会社を通じて食品のネット販売に参入。2014年度をメドに売上高100億円、3年で黒字化を目指していた。しかし、らでぃっしゅぼーやがドコモの完全子会社になったことを受けて12月12日に合弁会社を解消している。「発展的解消」と説明するローソンだが、業界関係者からは「高い目標を掲げていたが売上計画が未達で、黒字化が難しかったのでは」などの話もあった。

その原因の1つは、当時展開していた「Ponta」を活用した販促で行き詰まったためと見られている。「Ponta」の付与や使用で既存客をネットスーパーに誘導できたものの、「Ponta」会員以外に顧客を拡げられなかったことがあるようだ。

今回、相手をヤフーに変えて展開するローソンの食品通販。競合他社はどう見ているのか。食品通販A社は「送料無料で収益は確保できるのか」と指摘する。ネットスーパーや食品宅配はこれまで、利益率が低く配送コストがかかることが課題となっていた。物流センターへの投資やポイントを活用した販促など、コスト投資が必須になる。「送料無料で展開するのは、定期購入というビジネスモデルで展開することによって高い客単価で推移することを想定しているのでは」と指摘する。

また、食品通販B社は「ネットスーパー市場の競争が激しくなる中で、自社のサービスの優位性が発揮できるかが課題になる」という。知名度が高い事業者の参入は、これまでネット販売を利用していなかった新規客層の開拓につながると予測。将来的に増加した顧客の開拓を巡って、競争が激化するとみている。

一方、GMSのネットスーパー担当者は「定期購入のビジネスモデルは、当日注文当日配送の当社のモデルが異なる。競合しない」と主張。とは言え、有店舗小売の食品通販で黒字化しているケースは少なく、各社ビジネスモデルの構築を模索している段階。ユーザーが多いヤフーとの取り組みの成否に注目する必要がありそうだ。

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