ベネッセ、独自タブレット端末を通信教育に活用へ

ベネッセコーポレーションは4月から、独自開発したタブレット端末の配布を開始する。タブレット端末は通信教育「進研ゼミ中学講座」の副教材として導入する。中学生の利用を想定し「フィルタリング」などの機能を搭載。タブレット端末向けの動画コンテンツを配信し、教材の使用頻度を高める。これまでアプリなどでタブレット端末に対応する通販実施企業は多かったが、独自で端末を開発するケースは珍しい。ベネッセでは「中1講座」の受講者に無料配布し、受講期間の長期化を図ることで開発コストを回収していくとしている。

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7インチの液晶サイズ

ベネッセが独自開発したタブレット端末は「チャレンジタブレット」。通信教育のテキストと一緒に学習に活用することを想定した副教材として受講者に配布するもの。画面は7インチの液晶サイズで、着脱可能なスタンドを用意した。プラットフォームは「アンドロイド2.3」で、200万画素のカメラを搭載している。

タブレット端末向けとして、新たなコンテンツ「動く!答えの本」を開始。英語や数学など主要5科目について、解説動画を配信する。タブレット端末の携帯性を生かして展開するもので、つまずきやすいポイントや分からない点をすぐに解決できるようにする。分からない部分をなくすことで、受講者のモチベーション向上を目指していくという。

また、タブレット向けに配信する「ライブ授業」は毎週1回決まった時間に配信する動画で、講師がポイントを解説。授業で出題された問題にボタンで回答できる。学習を習慣化するほか、通信教育の孤独感を解消。仲間意識を生むことでやる気を高めて学習の継続につなげる。

このほか、「声かけサービス」として、学習状況に合わせてメッセージを配信。タブレット端末のプッシュ通知を活用し、受講者に教材の使用を促していく。

タブレット端末を導入するのは、進研ゼミ中学講座」の中1を対象としたコース。12カ月の連続受講を条件に無料で配布し、途中解約時には端末代金として9500円を徴収する。

デバイスで「環境ごと」提供できる

「学習環境ごと、デバイスを提供してあげることが最適と考えた」――。中学生事業部小野祐輝部長はタブレット端末を開発した狙いをこう話す。

通信教育は「教材を使いきれない」ことや「溜まってしまった」ことなどが顧客の離脱理由になっていた。このため、手元に置いて使用できる携帯性や、ボタンを押すだけで簡単に利用できる機動性などの特徴を活かして、教材の利用頻度を向上することにした。「受講者のやる気の持続が、高校受験につながっていく」(小野部長)として、中学1年生の講座から対応することにした。

あえて独自で開発したのは、従来のタブレット端末へ対応するには子供の使用の「安全性」で課題があったためだ。中学1年生の子供を持つ親にとって、「これを持って部屋に入ってしまったら、何をやっているのかわからない」などネガティブな意見があったという。

このため、端末の機能としてフィルタリングなどのセキュリティ機能を実装し、他のタブレット端末と差別化する。3段階で設定できる「フィルタリング」や、「使用時間制限」などを用意し、親が子供の利用を管理することが可能。また、端末を学習に使用する「子モード」とタブレット端末として使用できる「親モード」と切り替えられるようにした。

小野部長は「スマートフォンやタブレットの時代になって、コンテンツを自由に使えるようになった。環境ができたことで、使いやすい形で提供できるようになった」(小野部長)とする。

受講者の4割に配布

独自開発し、原則、通信教育受講者には無料で配布するこのタブレット。では、開発コストはどうやって回収するのか。ベネッセの小野部長は「初年度で黒字化できる」と話す。

初年度の目標は10万台の配布で、「中1講座」受講者の約4割の利用を想定している。このうち一定の継続率を維持できれば、教材費の値上げをしなくとも、初年度で回収できる見通しになっているという。すでに既存顧客には告知しており、「好評で、目標を上回る見通し」(同)とした。

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