スマホをカタログにかざすと動画?――大手通販各社、AR活用始める

大手通販事業者を中心に「AR(拡張現実)」と呼ばれる技術を活用する動きが進んでいる。「AR」とは例えばスマートフォンやタブレット端末のカメラを通じてチラシや商品パッケージなどの「現実」を見ると、そこに商品情報や映像などの「拡張情報」が浮かび上がるもの。

ARを活用する通販各社では主に発行する通販カタログで実施しており、カタログ上では紙面スペースの関係などから紹介しきれないコーディネート提案やネット販売限定商品の紹介、使い方の説明などの付加情報をARによって浮かび上がる画像や動画を通じて顧客に伝えているようだ。

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千趣会、春夏カタログでAR導入

千趣会は今年3月に発行した主要カタログ春夏号4誌で、AR技術を活用したスマートフォンの情報提供サービス「かざしてチェック」の展開を始めた。同社では一昨年5月に全国のドラッグストアやポスティングなどを通じ配布したチラシ(タブロイド版カラー8ページ)をARに対応させる試みなどを行ってきたが、主要カタログに導入するといった本格的なAR対応はこれが初めてとなる。

「かざしてチェック」に対応したのは、基幹ファッションカタログ「わたしの着たい服2013夏号」とインテリア・雑貨カタログの「すむとこ2013夏号」、大きめサイズのファッションカタログ「ラ・フィット2013夏号」、5月発刊予定のオリジナルシューズブランドカタログ「ベネビス2013夏号」。

今年2月に無料配信を始めたアプリ「ベルメゾンカタログプラス」を活用した試みで、同アプリを起動後、「かざしてチェック」を選択して、「かざしてチェック」マークが掲載されたカタログの商品画像にかざすと、商品の動画や画像が見られるというもの。動画確認後のスムーズな商品購入を意識し、通販サイト「ベルメゾンネット」にもリンクする。

動画は、30秒から1分程度で、各カタログの商品特性などに応じて内容を作りこんでいるのが特徴だ。

「かざしてチェック」対応商品45アイテムを掲載する「わたしの着たい服」では、誌面で紹介しきれないコーディネートやWEB限定のカラーやデザインなどを紹介。また、同カタログのモデルとして起用する麻生久美子さんなど女優・タレントのメッセージ動画も用意するといった試みも盛り込む。

また、「すむとこ」(かざしてチェック対応商品30アイテム)では、UVや雨、汗対策など「夏の超最強アイテム」を中心に誌面ではイメージしにくい機能や使い方、家具の設置方法などの説明動画を展開。これは動画活用の定番とも言えるだろう。

一方、「ラ・フィット」(同25アイテム)では、ぽっちゃり体型のモニターモデルが商品を着用した動画・画像を用意する。カタログの場合、プロのモデルを起用することが多いが、親近感のあるモニターモデルを使った動画を通じ、実際の着用イメージやサイズチェックをしやすくしたわけだ。

さらに5月発刊予定の「ベネビス」では、掲載全商品の100アイテムで動画を展開。これは、クツカテゴリーで動画を閲覧した顧客の商品購入率が高いことを踏まえたもので、360度あらゆる角度から商品を確認できるようにしている。また、同ブランドの場合、独自の機能を付加した中敷の採用など機能性に特徴があるが、この部分ついてもCGによる説明動画を用意するなど、商品の理解深耕を図るための工夫も行っている。

ジャパネットたかたもAR開始

ジャパネットたかたも今春発刊した最新の通販カタログ「ジャパネット倶楽部 第35号」でAR対応を開始している。専用の無料スマホアプリ「mue Alive!」(ナレッジワークス運営)をダウンロードしてもらい、当該アプリを起動した上でスマホをカタログ内の商品画像にかざすと、テレビ通販でお馴染みの「高田社長による商品説明動画」などが当該ページ上であたかも再生しているように見える仕組み。動画には当該商品を販売している同社の通販サイトのページへのリンクがあり、そのまま商品を購入することもできるようになっている。

「動画を用いることによって、お客様が実際に商品を使用するイメージをより明確に持って頂きたい」(同社)という狙いなどからカタログのAR対応を行うことにしたようだ。

カタログ内でARに対応しているページは、かざすと高田社長が浮かび上がり、「ARの説明」を行う動画が浮かび上がる表紙を含めて、10ページ(カタログの総ページ数は156ページ)でパソコンやボイスレコーダー、調理器具、ふとん専用ダニクリーナーなど8商品の商品説明動画を見ることができる。「人気のある商品の中から動画によって商品の良さがよりわかりやすく伝わるような商品」(同社)が掲載されたページをAR対応にしたという。

ARの利用を促すため、ARを活用したプレゼントキャンペーンも実施。実際に専用アプリをダウンロードして、カタログで「AR動画」の説明している16ページをスマホでかざすと、高田社長による今回のAR導入についての説明動画が再生され、最後まで当該動画を見ると自動的にキャンペーンの応募フォームのページに遷移して応募できる仕組み。1名に高級炊飯器をプレゼントするという。

同社によると、初の試みは顧客からも評判はよいようで「初めて使って驚いた」「より商品のよさが伝わってきた」など声やAR機能自体に対する驚きや感動の声も多数集まっている、としており「(そうした声から)当社の強みであるメディアミックスを活かした取り組みができるツールだと改めて実感した」(同)とする。今後もカタログへのAR対応は継続していく考えだ。

ニッセンのAR、その効果は?

ニッセンでもARの通販活用を進めている。KDDIが開発した大規模画像認識技術をもとに、スマートフォンをカタログにかざすことでさまざまな情報を得られる無料アプリ「カタログカメラ」を開発。1月中旬に発行したすべての春カタログに掲載する全商品がARに対応した。
掲載された商品にスマホをかざすと、カタログには掲載されていない値下げ情報やくちコミ情報の確認や、購入も可能。また、総合カタログ「ニッセン」の表 紙にも仕掛けを用意。スマホをかざすことで同社のキャラクターである香里奈さんが浮き出し、表紙のコーディネートを360度確認できるほか、香里奈さんからのメッセージも再生されるというものだ。ニッセンでは、その後発行した夏カタログでも、引き続き掲載する全商品がARに対応した。

では、ユーザーはARをどの程度活用しているのだろうか。同社では「あくまで実験的な取り組みであり、大きな成果が出ているという段階ではない」(広報企画チーム)とする。

徐々に通販活用が進み始めているAR。いくつかの課題はあるにせよ、インターネットはもちろん、紙媒体やテレビなど多様なメディアを駆使しながら事業を行うことが当たり前となった現在の通販ビジネスにおいて、各メディアをつなぐ役割としてもAR活用は期待されそうだ。

大手通販事業者を中心に「AR(拡張現実)」と呼ばれる技術を活用する動きが進んでいる。「AR」とは例えばスマートフォンやタブレット端末のカメラを通じてチラシや商品パッケージなどの「現実」を見ると、そこに商品情報や映像などの「拡張情報」が浮かび上がるもの。

ARを活用する通販各社では主に発行する通販カタログで実施しており、カタログ上では紙面スペースの関係などから紹介しきれないコーディネート提案やネット販売限定商品の紹介、使い方の説明などの付加情報をARによって浮かび上がる画像や動画を通じて顧客に伝えているようだ。

千趣会、春夏カタログでAR導入

千趣会は今年3月に発行した主要カタログ春夏号4誌で、AR技術を活用したスマートフォンの情報提供サービス「かざしてチェック」の展開を始めた。同社では一昨年5月に全国のドラッグストアやポスティングなどを通じ配布したチラシ(タブロイド版カラー8ページ)をARに対応させる試みなどを行ってきたが、主要カタログに導入するといった本格的なAR対応はこれが初めてとなる。

「かざしてチェック」に対応したのは、基幹ファッションカタログ「わたしの着たい服2013夏号」とインテリア・雑貨カタログの「すむとこ2013夏号」、大きめサイズのファッションカタログ「ラ・フィット2013夏号」、5月発刊予定のオリジナルシューズブランドカタログ「ベネビス2013夏号」。

今年2月に無料配信を始めたアプリ「ベルメゾンカタログプラス」を活用した試みで、同アプリを起動後、「かざしてチェック」を選択して、「かざしてチェック」マークが掲載されたカタログの商品画像にかざすと、商品の動画や画像が見られるというもの。動画確認後のスムーズな商品購入を意識し、通販サイト「ベルメゾンネット」にもリンクする。

動画は、30秒から1分程度で、各カタログの商品特性などに応じて内容を作りこんでいるのが特徴だ。

「かざしてチェック」対応商品45アイテムを掲載する「わたしの着たい服」では、誌面で紹介しきれないコーディネートやWEB限定のカラーやデザインなどを紹介。また、同カタログのモデルとして起用する麻生久美子さんなど女優・タレントのメッセージ動画も用意するといった試みも盛り込む。

また、「すむとこ」(かざしてチェック対応商品30アイテム)では、UVや雨、汗対策など「夏の超最強アイテム」を中心に誌面ではイメージしにくい機能や使い方、家具の設置方法などの説明動画を展開。これは動画活用の定番とも言えるだろう。

一方、「ラ・フィット」(同25アイテム)では、ぽっちゃり体型のモニターモデルが商品を着用した動画・画像を用意する。カタログの場合、プロのモデルを起用することが多いが、親近感のあるモニターモデルを使った動画を通じ、実際の着用イメージやサイズチェックをしやすくしたわけだ。

さらに5月発刊予定の「ベネビス」では、掲載全商品の100アイテムで動画を展開。これは、クツカテゴリーで動画を閲覧した顧客の商品購入率が高いことを踏まえたもので、360度あらゆる角度から商品を確認できるようにしている。また、同ブランドの場合、独自の機能を付加した中敷の採用など機能性に特徴があるが、この部分ついてもCGによる説明動画を用意するなど、商品の理解深耕を図るための工夫も行っている。

ジャパネットたかたもAR開始

ジャパネットたかたも今春発刊した最新の通販カタログ「ジャパネット倶楽部 第35号」でAR対応を開始している。専用の無料スマホアプリ「mue Alive!」(ナレッジワークス運営)をダウンロードしてもらい、当該アプリを起動した上でスマホをカタログ内の商品画像にかざすと、テレビ通販でお馴染みの「高田社長による商品説明動画」などが当該ページ上であたかも再生しているように見える仕組み。動画には当該商品を販売している同社の通販サイトのページへのリンクがあり、そのまま商品を購入することもできるようになっている。

「動画を用いることによって、お客様が実際に商品を使用するイメージをより明確に持って頂きたい」(同社)という狙いなどからカタログのAR対応を行うことにしたようだ。

カタログ内でARに対応しているページは、かざすと高田社長が浮かび上がり、「ARの説明」を行う動画が浮かび上がる表紙を含めて、10ページ(カタログの総ページ数は156ページ)でパソコンやボイスレコーダー、調理器具、ふとん専用ダニクリーナーなど8商品の商品説明動画を見ることができる。「人気のある商品の中から動画によって商品の良さがよりわかりやすく伝わるような商品」(同社)が掲載されたページをAR対応にしたという。

ARの利用を促すため、ARを活用したプレゼントキャンペーンも実施。実際に専用アプリをダウンロードして、カタログで「AR動画」の説明している16ページをスマホでかざすと、高田社長による今回のAR導入についての説明動画が再生され、最後まで当該動画を見ると自動的にキャンペーンの応募フォームのページに遷移して応募できる仕組み。1名に高級炊飯器をプレゼントするという。

同社によると、初の試みは顧客からも評判はよいようで「初めて使って驚いた」「より商品のよさが伝わってきた」など声やAR機能自体に対する驚きや感動の声も多数集まっている、としており「(そうした声から)当社の強みであるメディアミックスを活かした取り組みができるツールだと改めて実感した」(同)とする。今後もカタログへのAR対応は継続していく考えだ。

ニッセンのAR、その効果は?

ニッセンでもARの通販活用を進めている。KDDIが開発した大規模画像認識技術をもとに、スマートフォンをカタログにかざすことでさまざまな情報を得られる無料アプリ「カタログカメラ」を開発。1月中旬に発行したすべての春カタログに掲載する全商品がARに対応した。
掲載された商品にスマホをかざすと、カタログには掲載されていない値下げ情報やくちコミ情報の確認や、購入も可能。また、総合カタログ「ニッセン」の表 紙にも仕掛けを用意。スマホをかざすことで同社のキャラクターである香里奈さんが浮き出し、表紙のコーディネートを360度確認できるほか、香里奈さんからのメッセージも再生されるというものだ。ニッセンでは、その後発行した夏カタログでも、引き続き掲載する全商品がARに対応した。

では、ユーザーはARをどの程度活用しているのだろうか。同社では「あくまで実験的な取り組みであり、大きな成果が出ているという段階ではない」(広報企画チーム)とする。

徐々に通販活用が進み始めているAR。いくつかの課題はあるにせよ、インターネットはもちろん、紙媒体やテレビなど多様なメディアを駆使しながら事業を行うことが当たり前となった現在の通販ビジネスにおいて、各メディアをつなぐ役割としてもAR活用は期待されそうだ。

キャプション

専用アプリをDLし起動させ、スマホをかざすとカタログ誌面上に「動画」が再生(ジャパネットたかたのカタログ)

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