Wed, January 17, 2018

グループの相互連携を積極化する【井手明子 らでぃっしゅぼーや 代表取締役社長】

らでぃっしゅぼーやは11月11日から、自社通販サイトを刷新し、「定期便」と「都度便」を用意して配送日時を選べるようにしたほか、内容を自由に変更できる野菜セット「らでぃっしゅクラブ」を用意した。ユーザーの生活スタイルに合わせて選べる自由度の高さで、“会員制”イメージによる敷居の高さを払拭する。通販サイトの刷新で利便性を向上し、ドコモグループの連携を積極化していく。井手明子社長に刷新の狙いと連携の方向性について聞いた。 (聞き手は本誌記者・兼子沙弥子)

自由化で会員制イメージを払拭する

ネット販売は拡大させていくべきチャネル

――11月11日に通販サイトを刷新しました。その内容について教えてください。

従来のネット販売「らでぃっしゅぼーやオンライン」を刷新し、食品宅配とネット販売を融合した新しいサービスを開始しました。新しいサービスは、配送便を選べるようになりました。居住エリアで決まった曜日に配達する「専用車宅配」と、配送日時を自由に指定できる「ヤマト宅急便」を用意しています。 配送料金は、購入した商品カテゴリーと購入金額で段階的に算出します。最大で8000円以上の購入で無料となりますが、自社便で配送する189円とし、業界で最も安価に設定しています。

商品に関しても、ネット販売向けに定期購入のセット商品「らでぃっしゅクラブ」は内容・サイズ別に4種類を用意し、自由に中身を変更できます。商品を選べることや送料を自動で算出できることは、画面を見ながら操作できるネット販売ならではのサービスになっています。特に、購入単価によって配送料金が変わることで、客単価のアップに期待しています。

――刷新の準備は社長に就任してからスタートしたものでしょうか。

社長に就任する前から準備を進めていました。らでぃっしゅぼーやは生産者ネットワークを持ち、生産者と顧客、それをつなぐ配送スタッフを抱えていることが強みですが、ネット販売は競合他社と比べて正直、まだまだです。今後拡大させていくべきチャネルです。

パッケージに馴染まない顧客の獲得へ

――リニューアルの狙いを教えてください。

パッケージ化したサービスに馴染まない顧客層を開拓していくことが狙いです。NTTドコモとの連携をすすめる中で、野菜の定期セット「ぱれっと」と週刊カタログ「元気くん」、ネット販売「らでぃっしゅぼーやオンライン」で本当に良いかという問題意識がありました。

――どういった課題がありましたか。

これまで長い歴史の中で、現在11万人の会員にらでぃっしゅぼーやを選んでもらっています。ですが、NTTドコモのショップで入会の促進を行っていくと、これまで当社を知らなかった人もいました。また、家族の世帯構成や年齢が多様化しており、従来のパッケージ化したサービスに馴染まないユーザーがいることがわかりました。また地方では、鮮度が良く安全な野菜を手に入れやすいため、無添加加工品のニーズが高いわけです。

ネット販売「らでぃっしゅぼーや」で展開する「らでぃっしゅクラブ」はパッケージ化せず自由に中身を入れ替えることを可能にし、多様化する顧客に合わせて商品のバラエティを持たせています。

短時間でわかりやすくサービスを伝えるツールに

――今回の刷新で、携帯電話店舗「ドコモショップ」を活用した販促でどういった効果を期待していますか。

今回の刷新と同時に11月11日から、全国約2400店舗のドコモショップでの販促を開始しました。ポスターデザインを変更し、タブレット端末から野菜が飛び出す画像にしています。ドコモとの融合という意味ではわかりやすいポスターになっていると思います。

ユーザーに対してはこれまで通りに、定期宅配の入会を提案していきます。ネット販売に誘導することで、短時間でわかりやすくサービスを紹介できるようになります。野菜以外の加工品や、ケーキやおせちなどの季節商品があることに気が付いてもらうことで、顧客の利用の長期化や客単価の向上を期待しています。

また、カタログを不要とするネット販売ユーザーは年会費を無料としました。年会費や入会金は利用の心理的なハードルとなっていました。今回、無料とすることで、会員制サービスのイメージを払拭していきます。

――これまで行ってきた店頭での販促の状況について教えてください。

店頭での販促は短い時間に、いかに知ってもらうかということが重要になります。ドコモショップに来店するユーザーは携帯電話への関心が高い方なので、必ずしも食品に興味がある方ではありません。初回購入のハードルを低くするために、ウェブで自由に商品をセレクトできる「らでぃっしゅクラブ」をお勧めし、ショップで入会した方に続けてもらうと、3カ月の利用で合計3000円分のポイントを還元する特典を用意しています。

ドコモショップでの新規客獲得は好調で、今上期は予想以上に獲得できました。しかし、特典で気軽に入られるユーザーが多いため、加工品など野菜以外の商品があることを理解しないうちに短期間でやめてしまいます。今後、ネット販売に顧客を誘導できれば、簡単に野菜以外の商品のいろいろなものがあることを知っていただき購買機会の拡大につながると思います。

――通期業績において、通販サイト刷新の効果は。

通期はネット販売サービスリニューアルのプラス効果も見込んでいます。知ってもらうには時間かかるが期待していいます。利便性を高めたことで、継続率や注文率、注文単価を好転したいと考えています。

相互連携は認知度向上のきっかけに

――そもそも、ドコモグループ内でのらでぃっしゅぼーやの位置付けは。

ドコモ本体は“スマートライフのパートナーへ”というコンセプトを掲げて通信以外へ事業領域を広げています。端末や決済、コールセンターなどのアセットを使って、生活全般を豊かにすることを目指しています。

その中で、ドコモグループ各社は、買い物や健康、学び、エンターテインメントなどのサービスを提供しています。ショッピングサービスを提供する1社が、らでぃっしゅぼーやになるわけです。

――グループ間での連携はどういった状況でしょうか。

これまでに、テレビ通販会社のオークローンマーケティングが販売するブレンダーと、らでぃっしゅぼーやの野菜のセット販売を行いました。当社はテレビCMを行わないので認知度の向上につながりましたし、新規客層の開拓に寄与したと評価しています。

また、今は健康関連事業を行うドコモヘルスケアとオムロン、オークローンマーケティングが連携してオムロンが提供する睡眠計のモニター調査を開始しています。オークローンマーケティングがマットレス「トゥルースリーパー」を、らでぃっしゅぼーやは睡眠に良い野菜を、それぞれ提供しています。3週間のモニター調査の結果をみて連携を強めていく予定です。今後もらでぃっしゅぼーやは食材提供だけでなく、食と暮らしにおける新たなビジネスを展開する中で、積極的に連携を図って行こうと考えています。

――構想していることはありますか。

NTTドコモは来年1月に、クッキングスタジオ「ABCクッキング」を運営するABC HOLDINGSへ出資する予定です。料理といえば食材ですので、らでぃっしゅぼーやにとっては連携しやすいと考えています。具体的に進んでいるわけではありませんが、料理教室で使用する食材を提供したり、タブレット端末に配信するレシピに関連して食材を訴求できれば面白いと感じています。

ID認証をグループで初めて導入

――顧客データの相互連携は行っているのでしょうか。

刷新後のサイトでは、ドコモIDでの購入が可能になっています。これはドコモIDを入れると、デフォルトで住所が入る仕組みです。ユーザーにとっては申し込みが簡単になります。11月時点でドコモグループでID認証を導入しているのは、らでぃっしゅぼーやだけです。認証基盤は今後、他のグループ会社まで広がれば、さまざまなサービスが受けられるようになりますので、グループとしての強みになると思います。

また、各グループ会社で様々なデータを蓄積していますが、グループ間で連携した企画を検証する中で購入者層を特定できれば、マーケティングに活かせる可能性はあるかもしれません。

――アプリの提供を行う予定はありますか。

ドコモのポータルアプリ「dマーケット」はほとんどの端末にプリインストールしており、そこからショッピングコーナー「dショッピング」に誘導しています。単体でのアプリの提供は行っていません。「dショッピング」の中で認知してもらっており、入り口としては役に立っています。

――今後、サイトへの動線を広げる計画はありますか。

ドコモが提供するサービスをいくつか組みあわせてできることはいろいろあると思います。あくまでも希望ですが、例えば音声認識「しゃべってコンシェル」で冷蔵庫の野菜をつぶやくとレシピを検索して、らでぃっしゅぼーやにつながるなどといったことが可能になればいいと思います。検討していきたいです。

姿勢やポリシーを伝えることが顧客増への道

――食品宅配市場は競争が激化しています。サービス刷新による競合他社に対する優位性を教えてください。

競合他社に対する優位性ではなく、顧客にとって「利便性」と「商品力」で優位性があるかが重要です。飲料など重いものはすぐに届けてくれるサービスを選ぶでしょうし、他社では手に入らない商品は待ってでも購入してもらえるわけです。

競争は激化していますが、「定期的にらでぃっしゅぼーやを利用する暮らしが好き」と言うユーザーを増やし、カタログやネット販売で買いものを楽しんでもらえる努力が必要です。食品宅配サービスはたくさん出てきていますし、深夜まで営業している店舗も少なくありません。利便性を高めながら、魅力を伝えていかなければならないと感じています。

――競合他社と顧客食い合いはありませんか。

宅配市場全体をみると、届けてほしいという人は増えると思います。介護食や弁当の宅配を行う事業者は多いと感じています。しかし「安心・安全」の基準を持って展開しているところは多くありません。消費者にとって「安心・安全」のニーズは高く、まだ食い合うよりも広が
る可能性があります。

――ただ、スピードを持って広がるのは難しいのではないでしょうか。

食の安心・安全は食品に関する大きな事件をきっかけに考えることもあります。きちんと訴求しながら、多くの消費者の目に触れ、特徴を理解してもらえるように強化していきます。毎日の食材ですので、大ヒット商品を作れるものではないので、姿勢やポリシーを伝えることが顧客を増やす道だと感じています。

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