スカルプ・育毛ケアシャンプーのEC 若年層取り込みへ、メディア戦略活況

“お悩み系商材”が強いとされる通販市場において、数年前から右肩上がりで売り上げを伸ばしているのがスカルプ・育毛ケアシャンプー商材だ。各仮想モールが発表する年間のヒット商品ランキングにおいても上位の常連となっているが、今や参入企業の急増によって飽和状態の中でパイを奪い合う激しい競争が続いている。

業界の中でも先行して自社ブランドを広く定着させることができたアンファーでは著名人を起用したテレビCMを軸に展開。現在でもその手を緩めることなくネットも含めたメディア戦略を推進している。

一方、ヘアケア事業を長年手がけている老舗かつらメーカー2社の動きはどうか。以前から実店舗のサロンなどで主に中高年の顧客に向けて育毛・ヘアケアサービスを提供しているが、毛髪分野の研究・開発においては専門企業として長年培ってきたノウハウがある。2社とも数年前から通販サイトを開設してヘアケア関連商品のネット販売を始めており、若年層の取り込みに向けた両社の直販事業の行方が注目されている。

今回はこの3社の事例を取り上げ、それぞれが持つブランドの強みや販促方法について紹介していく。

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動画募集でくちコミの拡大狙う

アンファーはテレビCMを活用して、潜在ニーズに訴求しターゲットを広げている。CMではお笑い芸人や、ダンス&ボーカルグループEXILE(エグザイル)のメンバー、ユーチューブなどの動画サイトで人気のHIKAKIN(ヒカキン)さんを起用。薄毛への悩みが少ない20代の若年層に向けて、身だしなみや生活習慣としての頭皮ケアを提案している。

通販サイトへの集客手段の1つである、テレビCMの取り組みを振り返ってみる。スカルプケア商材は「薄毛」や「育毛」を訴求するケースが多くみられるが、同社では「悩み」だけでなく「身だしなみ」などへ訴求点を変化させている。

これまで、お笑い芸人の雨上がり決死隊やフットボールアワーなどを起用し、長期的な販促プロジェクトを展開。キャラクターの持つ明るさで薄毛のネガティブな暗いイメージを、前向きでポジティブなものに変えることで購入のハードルを下げるように努めてきた。加えて医療機関などと連携して臨床データによる裏付けを行い製品の信頼性を高めることで、毛髪に悩みを持つ30 ~ 40代の開拓につなげていったという。その結果、2011年末には主力の薬用シャンプー「スカルプD」シリーズが累計500万本を突破した。

その後、12年8月からはエグザイルのメンバーを起用したCM放送も開始。「悩み」の訴求だけでは開拓できなかった20 ~ 30代をターゲットにしてイメージを向上し、マス向けの販促にも乗り出している。CMでは、頭皮や毛髪などの「薄毛」を打ち出すのではなく、エグザイルのメンバーの持つイメージを活かし「男性らしさ」や「躍動感」、「あこがれ」を表現。シャンプーの爽快感を打ち出す内容にした。

さらに、14年からは、20代の認知度が高いヒカキンさんを起用したテレビCMも開始。「スカルプD」シリーズのキャラクターとして定着している雨上がり決死隊と共演し、「将来のために今からはじめよう」というメッセージで、早いうちから頭皮ケアに取り組む重要性を訴求している。CMへの反響は高く、「ヒカキンさんのファンがツイッターなどでくちコミを投稿し波及効果を得られた」(同社)という。

「悩み」から「身だしなみ」へと訴求

ネット販売でも同様に若年層をターゲットとした認知度向上の取り組みを行っている。13年1月には「スカルプD WEB動 画 コ ン テ ス ト ~HIKAKINを超えるのは君だ~」を展開。テレビCMの反響を受けて企画したもので、同シリーズを使ったCM動画の投稿を募集。フェイスブックやツイッターなどへのくちコミ投稿ができるようにし、商品名がネット上に拡散することを狙ったという。

「グランプリには賞金100万円を贈呈し、テレビCMなど実際の広告として採用する。ネット上で評価を得たものを、テレビなどで登場させることで大きな反響が見込める」(同)とした。

商品は毎年刷新し、効果実感を向上へ

前述のCM戦略に加え、商品刷新によって効果実感を高めたこともリピート率の維持につながっているという。 13年4月に行った同シリーズ9回目の刷新では価格は据え置いたままで、新成分に角質層を整えるという「浸透アミノペプチド」と、頭皮表面を覆い水分や栄養分をキープするという「高密着セラミドポリマー」を配合。従来から配合する「アミノウォッシュ+」と組み合わせて髪内部を膨潤化して毛髪を太くする効果があるとしている。

新成分の配合による製品への信頼性の向上と、効果実感が得られる処方がリピート購入を下支えしたようで、同社の2014年4月期の通販売上高は前期比15%増の92億円。「楽天市場」では6年連続でショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど好調に推移することができた。

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