盛り上がる古着・ブランド中古品ECの今

スマートフォンの普及などにより、個人間で古着やブランド品などを売り買いできるフリーマーケットサイトが増える中、出品や発送の手間、偽物や個人間でのトラブルを避けたいニーズに応える形で、間に事業者が入ったCtoBtoCのビジネスが注目を集めている。最近では、ベンチャー企業を中心に事業者側にもリスクが少ない“委託販売”の手法を採用したサービスも相次いで立ち上がっている。プレーヤーの拡大も予想される古着・ブランド中古品EC市場で事業を展開する各社の現状を見ていく。

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事例①クラウンジュエル「ゾゾユーズド」

ゾゾタウンなどグループのサービスと連携強化

スタートトゥデイ100%子会社のクラウンジュエルは、ブランド古着の専門ショップ「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」が好調だ。2012年11月に同サイトを「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」内にオープンして以降、成長スピードが増しており、2014年3月期の売上高は前年比2倍となる20億円に達する見込み。今後は、「ゾゾタウン」やファッションコーディネートサービス「WEAR(ウェア)」といったグループが展開するサービスとの連携を強化することで集客力はもちろん、買い取りサービスを強化し、中長期的には100億円を目標に掲げる。

280万人にアプローチ

同社では、アクティブ会員数約280万人という「ゾゾタウン」ユーザーに“古着”という新しい選択肢を提供するとともに、買い取りサービスの入り口も同じ売り場に設けて以降、業績の伸びが顕著だという。それでも、前期までは「ゾゾタウン」のユーザーに古着が受け入れられるのかを分析するため、商品の消化スピードを見ながら、ときには掲載するアイテム数を一気に増やしてみたり、あるときは特定のカテゴリーの服を増やしてみたりと、販売量を予測しながら仕入れを強化してきた。

同時に、買い取った商品を自社で撮影したり、サイトに掲載したりするため、フルフィルメント業務などを行う場所やスタッフの状況も見ながら各工程のオペレーションを磨いてきた。その結果、ブランド古着を売りたい人、買いたい人を計画通り囲い込んで き て い る の に 加 え、2013年11月には物流拠点を従来の都内から千葉県習志野市に移転し、倉庫スペースやフルフィルメント業務の場所を確保。それ以降はアルバイトを含めたスタッフの採用と教育を続けている。

物流センターについては、スタートトゥデイが近隣に新センターを開設したのを機に同社の既存拠点に移ったもので、これまで「ゾゾユーズド」の受注商品を都内の倉庫から習志野に運び、消費者に届けていたが、この時間のロスが解消されることにもつながった。

各工程のブラッシュアップを図ってきたことで、「ゾゾユーズド」の取り扱いアイテム数はスタート時の約4万点に対し、足もとでは1日当たり約2000点、月間約6万点を販売している。

「ウェア」連動企画を実施

今期は、グループで展開するサービスとの連携強化に乗り出しており、販売面では「ウェア」とのタイアップ企画をスタートしている。具体的には、「ウェア」でフォロワーの多い著名人のコーディネートを「ゾゾユーズド」で特集し、コーディネートに使用した一部のアイテム(私物)を販売するという企画だ。クラウンジュエルは従来から、著名人の私物を販売する企画を展開しており、これを「ウェア」とのタイアップ用にアレンジした。

タイアップ企画では、「ウェア」上でも、投稿写真を見て気になったユーザーが詳細ページに移り、「BUY」ボタンを押すと「ゾゾユーズド」に遷移して購入できるようにしており、クラウンジュエルとしては「ウェア」からの集客も期待できる取り組みと言える。

「ウェア」の投稿写真は本人によるものだが、「ゾゾユーズド」内の商品詳細ページでは販売アイテムの写真をクラウンジュエルが撮影。商品も倉庫に保管し、売れたら著名人に手数料を支払う委託販売型という。

4月10日には、シンガーでデザイナー で も あ るMEGさ ん を 特 集 し た「MEG 6days Coordinate」を展開。著名人が自らのコーディネートで使用した私物が買えるとあって、反響は大きかったようだ。

こうした企画は、著名人が「ウェア」に写真を投稿することのメリットを感じてもらう狙いもあり、著名人が大量に抱える服や自身の商品のプロモーションツールとして「ウェア」を利用してもらうとともに、「ウェア」の収益化に向けた将来的なCtoCモデルのテストマーケティングにもつながりそうだ。

一方、クラウンジュエルでは取り扱い商品の拡充にも着手。2014年3月3日には子供服の古着販売と買い取りを始めた。「ゾゾタウン」では新品の子供服を扱っていることもあり、「ゾゾユーズド」のオープン当初から、大人物と一緒に子供服の古着の買い取り依頼があったようで、こうした要望に応えた。

プロモーションも強化

順調に事業を拡大している同社だが、「ゾゾタウン」には280万人のアクティブ会員がいることを考慮すると、現状ではまだ数パーセントの顧客にしか「ゾゾユーズド」は利用されていないため、今後はこうした未利用者へのアプローチを強化する。例えば、1年前に「ゾゾタウン」で服を購入した消費者に対し、「あなたが購入した商品を今なら○○円で買い取ります」といったメールを送ることを検討しているほか、「ゾゾタウン」の購入履歴の横に買い取り希望ボタンを設置し、クリックするだけで宅配キットが届くというような仕組みも視野にあるようだ。

また、今期はプロモーションを強化する計画で、あまり力を入れてこなかったウェブ回りなどにもコストをかけ、新しいユーザーの獲得につなげる。

クラウンジュエルの宮澤社長が語る・古着ビジネスの難しさ

古着やブランド中古品のEC市場はまだまだ“ガチンコ”の世界ではありません。スマホを使ったCtoCのサービスはたくさん出てきましたが、古着は盛り上がってきませんでした。というのも、古着のECは非常に効率が悪く、利益が出にくいビジネスで、投資会社がお金を入れたからといって簡単にうまく事業ではありません。

事業の成長は「仕入れ」にかかってくる部分が多いと思いますが、手軽さや利便性といったネットの強みに加え、非対面だからこそ査定の納得性や現金化のスピード、サービスの質で顧客の信頼を得なければいけません。

そのためには、バイヤーを育てることが重要です。トレンドを押さえながら、過去の商品の仕入れ価格を決めることは難しい作業です。例えば、「ゾゾユーズド」で売れ残ったアイテムを見ると、今年のトレンドから外れている商品が多いわけです。

服好きのゾゾユーザーはトレンドに敏感で、昨年のトレンドアイテムは売れません。一方で何年も前の商品であれば売れる可能性があります。ただ、手持ちの服を売りたいユーザーは、5年前に1万だった服の買い取り価格が1000円と言われても納得してもらえますが、1年前に1万円だった服が数百円では理解してもらえません。

ここが2次流通の難しい部分です。トレンドやニーズに即した買い取り額をきちんと説明でき、誰が査定しても同じ水準にできることが、今後の2次流通で生き残るためには不可欠です。

「リアルリアル」「レトロジェイピー」「リクロ」などの事例などの続きは「月刊ネット販売5月号(2014年)」にて。購入はこちら

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