2014年のモバイル市場は40%増――初の1兆円超、スマホがけん引

表①国内BtoCネット販売市場規模(経済産業省調べ)

モバイル経由のネット販売売上高が拡大し続けている。民間や業界団体などが実施した各市場調査によると、スマートフォンユーザーの拡大に伴って関連コンテンツが充実してきたことからモバイル経由での販売が伸長。特に2014年は消費税の引き上げといった逆風を受けながらも堅調に推移したようだ。本誌が今号でネット販売事業実施企業に対して行った売上高調査でも、2014年度のネット販売市場規模(個人向けEC主要上位300社のネット販売売上高)が前年度比10.2%増の2兆9380億円と拡大。上位企業においてはネット販売におけるモバイル比率が前年比で大きく伸びているところも見受けられた。

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スマホやタブレットが市場をけん引

経済産業省が2015年5月29日に発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2014年(1~12月)の国内BtoCのネット販売の市場規模は前年比14.6%増の12兆7970億円(表①参照)。商取引の市場規模全体から見たEC化率も進んでおり、同0.52ポイント増の4.37%となった。

モバイル経由のネット販売市場も順調に拡大している。一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)が8月24日に発表した2014年(1~12月)のモバイルコンテンツ関連の市場規模調査によると、一般的な通販を対象とした「物販系」の市場規模は前年比40%増の1兆3414億円となり、調査開始以来初の1兆円を突破。

MCFによると今回の伸びについてはネット販売市場全体の成長加えて、スマホユーザー自体の数が大きく増え続けていることで、モバイル比率の割合が増加タブレット経由の割合も大きく伸長しているという。「書籍類など日常的に購入しているものは、わざわざパソコンを立ち上げるよりも履歴やログイン情報がすぐに使えるスマホで購入する方が、効率的で早いと感じるのではないだろうか」(事務局)としている。

表②2014年のモバイルコマースの市場規模(MCF調べ)

同調査ではモバイルコマース市場を「物販系」「サービス系」「トランザクション系」の3つに分類しており、全体では前年比26%増の2兆4480億円となり、「物販系」の成長が全体をけん引した(表②参照)。

携帯電話での興行チケット、旅行チケット、鉄道チケット、航空チケットの購入を対象とした「サービス系」については同17%増の8736億円。オークション手数料や証券取引手数料、公営競技手数料などを集計した「トランザクション系」は同1%増の2330億円だった。

モバイルコンテンツ市場も拡大傾向

また、モバイルコマース(「物販系」を含む)とモバイルコンテンツを合わせた全体の市場規模は同30%増の3兆9046億円となり、大きく伸長。モバイルコンテンツ市場だけで見ると同35%増の1兆4566億円となり、こちらも右肩上がりの成長が続いている。

モバイルコンテンツ市場の内、89%がスマートフォン市場となっており同56%増の1兆3026億円とこちらも調査開始以来初となる1兆円を突破した。一方のフィーチャフォン市場の構成比は11%で、同37%減の1540億円と縮小傾向が続いている。

スマートフォンコンテンツ市場の成長を大きく支えているのが、オンラインゲームやSNSなどでの課金コンテンツといったゲーム市場の躍進。ゲーム市場だけで見ると、同60%増の8938億円となり3年前と比較すると20倍近くまで拡大している。また、ゲーム市場ほどの規模ではないものの電子書籍市場も同81%増の1235億円となり、高い成長率を示している。

注文手段でモバイルが固定電話超え

なお、日本通信販売協会(JADMA)が2015年6月に取りまとめた「全国通信販売利用実態調査報告書」によると、通販の申し込み手段(複数回答)のトップは「パソコンによるネット」が前年比1.4ポイント増の58.5%。2位の「携帯電話やスマホ・タブレット端末など」は同6.3ポイント増の35.3%と大きく伸長し、今回初めて「固定電話」の2.1%を上回る結果となった。

「携帯電話やスマホ・タブレット端末など」の利用者属性を見てみると、若年層ほど高い傾向が見られており、特に29歳以下の女性は76.8%となり「パソコンによるネット」の割合を大きく上回っている。

また、職業別では管理職、学生、事務・技術職が「パソコンによるネット」が75%以上と高くなっているのに対し、「携帯電話やスマホ・タブレット端末など」の利用率は29歳以下の学生が67.2%と高くなっている。専業主婦では「パソコンによるネット」に次いで「固定電話」の利用率が高く、「携帯電話やスマホ・タブレット端末など」が3位。パート・アルバイトでは「固定電話」と「携帯電話やスマホ・タブレット端末など」がほぼ同率で並んでいる。

地域別の特性としては、中国・四国・九州は他の地域に比べて「パソコンによるネット」と「携帯電話やスマホ・タブレット端末など」の利用率はやや低いが、「郵便」の利用率はやや高い。近畿では「携帯電話やスマホ・タブレット端末など」の利用率が同13ポイント増の37.7%と大幅に伸長した。

都市規模別では、郡部が「携帯電話やスマホ・タブレット端末など」の利用率が特に低くなるが、「パソコンによるネット」の利用率が同16.9ポイント増の60.0%となった。

同調査は2014年の1年間に通販を利用した約1500人の男女を対象に実施したもの。

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