LINE、モール出品者の配送代行開始 フェリシモと組み全国定額で安価に

LINEMALLの出品者向け配送代行サービス「LINE配送」(画像は申込ページ)

「出品者・購入者がさらに簡単・便利かつ安心・安全に取引できる環境を整えることがプラットフォームとしての役割」─。無料通信アプリを提供するLINEはフェリシモと連携し、運営するCtoC型仮想モールの出品者向けに輸送距離に関わらず、一定額で配送できる定額配送サービス「LINE配送」を始めた。

出品者は売買成立後後、当該商品をフェリシモの倉庫に送り、そこから購入者に発送する仕組み。これによりフェリシモが自社商品の発送で適用を受ける「ゆうパック」の大口割引を活かし、出品者の商品を通常料金より割安で送ることができる。また、フェリシモを中継することで出品者に個人情報を明かさずに商品を購入でき、個人間取引における不安感を払しょくできる利点もある。割安、安心な定額配送の導入で出品者、購入者双方のモール利用を促したい狙い。

大口割引で出品者商品も安価に

「LINE配送」は輸送距離に関係なく大きさ別の一律料金で全国に商品を発送できるLINEが運営するCtoC仮想モール「LINEモール」の出品者向けの配送代行サービス。これまでは売買成立後、出品者が商品配送料金を負担し配送する形だったため、購入者の居住地域
が遠方になればなるほど出品者の収益が下がるというデメリットがあり、これらを解消する狙い。なお、任意のサービスで従来通り、直接、購入者に商品を発送することもできる。

「LINE配送」を利用したい出品者はラインモールへの商品出品時に①出品者が出品ページにある配送方法を選択②LINE配送を選択③出品商品を発送する際の梱包資材を含めた適切なサイズを選択④他の出品情報を入力し、出品⑤当該商品の売買成立後に、出品者は神戸市須磨区内にあるフェリシモの総合物流センター「エスパス フェリシモ」に当該商品を送る⑥フェリシモ側で届いた荷物に購入者が事前登録した配送先情報をもとに伝票を貼り替えて購入者に出荷するという流れ。

大手通販会社であるフェリシモは日々、自社で販売する大量の商品を発送している関係で日本郵政の「ゆうパック」では大口割引の適用を受けている。「LINEモール」の商品もあわせてフェリシモが発送することで大口割引が適用され、通常料金よりも安価に商品を配送できる。

これを活用して箱の3辺の長さの合計が60センチ以内の荷物の場合は650円、80センチ以内では800円、100センチ以内で950円、120センチ以内では1100円、対応できる最大のサイズである140センチ以内では1250円と離島を含む全国一律料金で配送する。これにより出品者は大手配送会社の通常料金よりも安価に商品を送ることができる。

なお、送料はあらかじめ商品代金に上乗せして出品する形としており、購入者からの商品代金支払い時にLINE側で送料分を回収し、商品代金を出品者に入金する仕組み。つまり1000円でTシャツを販売する場合、(「LINE配送」で最も小サイズの荷物の場合)「1650円」で出品し、自動的に650円をLINE側が徴収し、出品者には1000円を入金するというもの。

「匿名」で安心取引

また、「LINE配送」を利用した荷物はフェリシモの倉庫で購入者の元へ発送される伝票を貼り替えて出荷する仕組みのため、購入者はこれまでのように住所などの個人情報を出品者に明かすことが避けられ、安全面が不安視されがちな個人間取引の安全性を担保できるメリットもある。「配送の際に必要だった購入者・出品者間での個人情報のやりとりを代行して行うことにより、より安心・安全に個人間の取引が行えるようにした」(LINE広報)という。

連携するフェリシモの思惑は?

「LINE配送」を行うにあたって連携先にフェリシモを選んだ理由については「もともとは両社がECサービスで何か一緒にできることはないかというお話をしていた時に、フェリシモさんの持つ物流センターのお話をいただき、すぐに話が決まりました。フェリシモは長年の通販の実績から難易度の高い配送を実現できる物流システムを持たれており、今回LINE MALLの目指す『簡単・便利・安全・安心』の物流フローの実現に柔軟にご対応していただけること、LINEがめざしていた、定額配送、匿名配送を実現できる環境をフェリシモがお持ちになっていたことが今回ご一緒することになった大きい理由」(同)としている。

一方、フェリシモ側の狙いは自社の物流拠点の稼働率を高め、新たな収益源の確保のようだ。同社の物流拠点のキャパシティには余裕があり、現在、「LINEモール」では1日3000件前後の取引があると見られるが、「仮にそれらすべての配送を行っても問題ない」(フェリシモ広報)としている。また、今後は「LINE配送」の荷物か活用した広告事業の開始も検討しているようだ。ただ、一部報道にあるような荷物へのチラシやパンフレットの同梱は「出品者からの荷物を開封することはできないので難しい。そのため、例えば広告を印刷したシールを箱に貼る形などを考えている」(同)としている。

事業者にも物流代行も

「LINEモール」は昨年12月から稼働。流通総額などは「テスト運用中の段階で公表していない」(LINE広報)としており、状況の詳細は不明だが、専用アプリのダウンロード数は約200万と順調のよう。このまま順調に流通総額を伸ばし、事業基盤をある程度、確立されることができれば、いよいよ本命である個人の出品だけでなく、法人、つまり事業者の出店・出品をスタートするものと見られる。なお、その場合、今回の「LINE配送」も「いずれは法人でも使用できるようにしたいと検討している」(同)としており、導入されることになりそうだ。

気になる法人出品開始の時期だが、LINEによれば「本年度中を目安に法人出品できるよう、努力してまいりたいと考えている」(同)としており、“解禁”の日は近そう。LINEの利用者数などを考えれば、同社が運営する仮想モールはEC事業者にとっても新たな売り場として魅力的と言え、物流代行はもちろん、「LINEモールの法人出店の開始時期」も気になるところだ。

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