Mon, December 11, 2017

第14回 ネット販売白書~有力EC300社の詳細データ&市場分析~

2013年度のネット販売市場規模は2兆6662億円に

【2013年度のEC市場の概要】

本誌が国内でネット販売事業を展開する主な事業者に対して行った売上高調査によると、2013年度(2013年6月~2014年5月の決算を反映)のネット販売市場規模は約2兆6662億円(個人向けEC主要上位300社のネット販売売上高合計額)となった。

前回調査の市場規模(2兆3575億円)と比較すると、13.1%の増加と二桁成長となった。本誌調査だけでなく、経済産業省が実施した「平成25年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2014年8月公表)でも、2013年における国内のBtoC-EC市場は、前年比17. 4%増の11兆1660億円と拡大している。

2013年度はECまたはEC関連企業の新規株式公開も目立ち、市場の活況さを印象付けている。また、消費増税というタイミングにも重なり、駆け込み需要などEC事業者にとっては追い風となった側面もあり、業績を伸ばした企業も多かったようだ。

ただ、当然ながらEC市場は誰もが業績を伸ばせた「ブルーオーシャン」ではすでになくなっており、さらにそこに大手流通などが本格的にECへ進出を始めている。こうしたことから年商数十億円と一定規模に達したEC事業者が独力で競争を勝ち抜く術を見出せず、自力での拡大を断念し、大手企業と提携したり、身売りするケースも多く見られた。セブン&アイHDによるニッセンHD、キングジムによるぼん家具、キーコーヒーによるhonu加藤珈琲店、爽快ドラッグによるあかちゃんハウス一二三の買収などだ。直近でもクックパッドによるセレクチュアーの買収などもあり、こうした傾向は今後も加速していくと見られる。

2014年度以降も市場拡大は続くと思われるが、「売り場」の変化、つまり、「ヤフーショッピング」が出店料金を無料化するなど大胆な方針を打ち出す一方で、最大手の「楽天市場」の不正な二重価格問題の表面化や実質値上げの出店料金改定。アマゾンが仮想モール上でも様々な打ち手と営業強化で攻勢を強めてきたほか、スマートフォン向け無料通信アプリ「LINE(ライン)」を展開するLINEが仮想モール「LINE MALL(ラインモール)」をスタートするなど、長らく寡占状態であったEC市場の主要な売り場である仮想モールの環境も大きな変化の兆しを見せている。

このほか、消費増税の反動や競争の激化。また、今年6月から解禁された第一類医薬品を含む薬のEC、来春からスタートする食品の機能性表示を巡る健康食品のECなど様々な新たな動きについて、その可能性や方向性を見誤らぬよう慎重かつ大胆な事業展開が事業者には求められそうだ。

【商材別EC市場調査レポート・衣料品編】

衣料品ネット販売市場は、「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイの独走が続いている。2014年3月期は検索機能を強化するなどユーザビリティーを重視したサイト改善を実施したことでユニークユーザー数の増加や購入率の上昇につながった。

また、送料無料施策や新物流拠点の稼働に伴う固定費負担増などがあったものの、大型販促を控えたことで利益率は大幅に改善。売上高は前年比10.1%増の約386億円、営業利益は同45.2%増の約124億円、モールの販売総額を示す商品取扱高は約1147億円となり、いずれも過去最高を記録した。

13年10月にはファッションコーディネートアプリ「ウェア」を開始。服に付いたバーコードを読み取ることで商品の詳細情報が得られるスキャン機能については、ショールーミング化を嫌う商業施設の理解を得られなかったため中止したものの、アパレル販売員や一般ユーザーの着こなしを閲覧できるコーディネートレシピ機能が好評で、すでにアプリダウンロード数は300万件、コーデ投稿数は100万件以上に拡大。今後は同アプリの収益化に向けた取り組みにも注目が集まる。

大手資本傘下のEC専業も順調に

大手資本の傘下に入ったファッションEC専業も順調に売り上げを拡大している。2013年3月にNTTドコモのグループに入ったランキング3位のマガシークは、14年3月期の売上高が前年比18.2%増の112億円強となり、初めて100億円の壁を突破した。ドコモと共同で通販サイト「dファッション」を13年10月に開設し、ネット購入に慣れていない消費者の獲得に成功。既存サイトでは少ない男性客も開拓できているという。また、アウトレット商材を扱う「アウトレットピーク」もウェブ広告の強化やメルマガ会員限定セールの実施などで好調を維持している。ワールド傘下のファッション・コ・ラボも前年と同様に5位(86億円)にランクインし、拡大基調が続いている。

13年9月に楽天の100%子会社となり決算期を変更したスタイライフは10位以内に入らなかったものの、変則9カ月の決算(2013年4~ 12月の合計43億円強)と14年1~3月期の実績(約17億円)を単純合計すると60億円強となり、13年3月期(52億円)からは約15%伸長した。楽天との連携では、「楽天ブランドアベニュー(RBA)」に「スタイライフ」として出店しているが、現状、「スタイライフ」本サイトで取り引きのあるブランドの95%がRBAにも参画するなど、客層の異なる売り場で多くのブランドを販売できていることも成長の一因となっている。

店頭勢のユニクロ、丸井も好調維持

知名度抜群の店頭勢も好調だ。ランキング2位のユニクロの13年8月期は前年比17.6%増の242億円に拡大した。「ヒートテック」など基幹商品が好調だったのに加え、13年5月に顧客同士や同社スタッフとのコミュニケーションが図れるファッション情報投稿サイト「みんなでつくる、みんなのユニクロ」を開設。顧客との接点を強化したことが通販サイトへの送客にもつながったようだ。

一方、ランキング3位となった丸井の2014年3月期は、ネット販売市場で競合の多いアパレル商材が苦戦したものの、靴とバッグがそれぞれ前年比30%程度伸びたことが全体の底上げにつながった。同社は実店舗を含めた商品政策としてプライベートブランド(PB)で靴やバッグなどを強化しており、PBの主力商品は奥行きを積んで通年販売できる体制を整備。同時にテレビCMを全国規模で展開し、商圏外に住む消費者へのアプローチも強めたことが奏功した。

また、ネットで注文した商品の試着や受取りなどができる施設を11店舗に拡大。試着してサイズが合わない場合などは丸井社員が近くの売り場に案内して接客するなど、試着予約をした来店客を手ぶらで帰さない取り組みが結実している。

本誌では主要EC300位までの売上高ランキング表や「総合」「衣料品」「化粧品」「健康食品」「PC・家電」「書籍・CD・DVD」「食品」と商材別にEC市場分析レポートを掲載しています。購読はこちら

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