利用広がる「LINEビジネスコネクト」 ――ユーザー別に最適なメッセージ

田端氏がLINEビジネスコネクトについて発表

LINEは10月9日に千葉県浦安市で事業戦略発表イベント「LINEカンファレンス」を開催し、6月から運用を始めた「LINEビジネスコネクト」の進捗状況について報告した。同サービスは「LINE」の公式アカウントを利用している企業を対象としたメッセージ最適化サービスで、EC事業者の利用も見込まれる。すでに幅広い業種にわたって利用が進んでいるという。

「LINE」のメッセージ送受信機能を企業向けにAPI経由で提供

CRMツールとしての「LINE」活用

LINEビジネスコネクトは「LINE」のメッセージ送受信機能を企業向けにAPI経由で提供し、各企業の顧客データベースや事務システムと接続する。結果、既存の顧客情報はそのままに、アウトバウンド・インバウンドでのCRMツールとして「LINE」を活用することができる。

LINEビジネスコネクトは「LINE」の公式アカウントを利用している企業が対象となる。通常、公式アカウントでメッセージを送る際にはアカウントのフォロワーである「友だち」全員に対して発信することしかできず、「友だち」の属性などで配信先を振り分けることはできない。そこでLINEビジネスコネクトを活用することで、「一人一人のユーザーに対して最適なメッセージを送ることができます」(田端氏)としている。

例えばEC事業者であれば購買履歴に応じたレコメンデーションメッセージや、リアル店舗であれば潜在的な消費者の位置情報と連動して最寄りの店舗や在庫情報を案内するといったことが可能になるという。

ビジネスコネクトは幅広い業界で利用が進んでいる

LINEビジネスコネクトは2月にサービスを発表し、6月から実際に運用を開始した。現在、ビジネスコネクトを利用済みもしくは利用を表明している企業は、マツモトキヨシ、HIS、ソフトバンク、日本郵便、SBI証券、テレビ各局、リクルートといった具合に小売りから旅行、通信、証券会社、メディアまで幅広い業界で利用が広がっているようだ。

年賀状作成や株式取引で活用

「カンファレンス」の場では、日本郵便、SBI証券、中古車販売のガリバーなどの事例が紹介された。

日本郵便の場合は、ユーザーのスマートフォンに保存されている画像データを年賀状のデザイン素材として生かしてオーダーメイドの年賀状を実現する手段として、あるいは住所は知らないものの「LINE」でつながっている相手に対して年賀状を送る手段として、LINEビジネスコネクトを活用している。

例えばSBI証券は株価の情報通知などのツールとして活用

SBI証券は「LINE」のコミュニケーションの特徴である“リアルタイム性”を踏まえて、株式市場での商取引にLINEビジネスコネクトを使っているという。特に、普段から「LINE」を使っている若年層への認知拡大や取引の活性化を狙い、LINEビジネスコネクトを使った株価の情報通知などをすでに始めている。今後は「LINE」からの株式発注や、取引成立を知らせる約定通知などでもLINEビジネスコネクトの活用を検討しているようだ。

また、中古車販売のガリバーでは、車の持ち主が自分の“車”と緊密にコミュニケーションをするといった世界観を目指している。例えばガソリンの残量を「LINE」を通じて車に聞いてみる。あるいは数千台の車がとまっているような巨大な駐車場で自分の車がどこにあるかを忘れてしまい「LINE」で居場所を尋ねてみる─といった形でLINEビジネスコネクトを利用しているという。

「社会インフラ」へと進化へ

なお、LINEビジネスコネクトのセキュリティ面については、①ユーザーの情報はユーザーの同意に基づいた上で企業側に伝える②メールアドレスや電話番号などユーザーが「LINE」を利用するために登録した情報は企業側に伝達されることはなく、企業に渡る情報はあくまでLINEが各ユーザーを識別するために使う番号で、その番号だけでは個人を特定することはできない ③LINEとしては企業側が保有している顧客情報は一切保持しない─といったことが説明された。

田端氏は、マーケティングプラットフォームとしての「LINE」の方向性として「よりダイレクトに、より双方向に、“人と商品やサービス”“人とビジネス”“人と社会”をつないでいく」というビジョンを掲げる。そして、その戦略の中核にLINEビジネスコネクトを据えている。「スマートフォン時代のCRM手段、もっと言うと社会インフラへと『LINE』を進化させます」(田端氏)と意気込む。

LINEビジネスコネクトはサービス発表時から通販やECでも既存のメルマガに変わるツールとして注目されてきただけに、実際の事業者の利用事例が待たれるところだ。

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