Mon, May 29, 2017

アマゾン、「ログインと決済」の機能を他社サイトに提供

「Amazonログイン&ペイメント」スタートあたって開催された記者会見の様子(左から四季の吉田社長、 アマゾンジャパンの星本部長、夢の街創造委員会の中村社長)

「アマゾンの登録情報で“ログイン”も“決済”もできます」─。アマゾンジャパンは5月11日から、ネット販売実施サイト向けにアマゾン顧客の登録情報を使って、当該サイトへのログインおよび決済が可能となる「Amazonログイン&ペイメント」を開始した。まず出前ポータルサイト「出前館」と演劇のチケット販売サイト「劇団四季」の2サイトが導入した。ユーザーはアマゾンで登録済みの情報で新規で顧客情報を登録することなく、買い物でき、面倒な個人情報の入力などの手間が省ける。これにより、導入サイトは新客獲得や注文成約率向上が図れるというもの。先行して同サービスを展開する米アマゾンでは複数の導入サイトの注文成約率が向上するなど一定の成果を上げており、日本でも注目されそうだ。アマゾンジャパンでも日本の通販サイトへの導入を推進し、アマゾン経済圏の版図拡大を進めていく狙い。

注文成約率アップに寄与

「Amazonログイン&ペイメント」はアマゾンジャパン運営の通販サイトで顧客が登録した氏名や商品配送先住所、クレジットカード番号などの情報を”アマゾン以外の通販サイト”でも利用し、ログインや決済できるようにするネット販売実施企業向けのサービス。一昨年10月から米アマゾンで開始後、英・独・印で展開中。日本は5カ国目となる。

導入サイトの利点は当該サイトでは新規顧客であっても、アマゾン顧客であれば、初回購入時の大きなハードルの1つとなっている“顧客情報の入力”をユーザーにお願いすることなく、「Amazonアカウント」に登録している氏名やメールアドレス、配送先住所を当該サイトと共有化し、簡単に新規会員登録や商品の決済ができ、顧客化できること。これにより、「Amazonアカウント」で新規顧客獲得やカート画面からの注文成約率改善に貢献できる」(星健一セラーサービス事業本部長)とする。

米国の事例では導入サイトに高い効果も(アマゾンの説明会資料より)

実際の導入効果については、米アマゾンの事例では、家具ECの「cymax」で導入後、新規顧客のうち、3人に2人が同サービス経由で会員登録をし、また、カート画面からの注文成約率ではアウトドア用品ECの「THE CLYMB」は導入前後で10%アップ、衣料品ECの「ALLSAINTS」では34%アップとなるなど成果が出ていると説明している。

また、顧客のクレジットカード情報を保有せずに済むため、セキュリティコスト削減のほか、アマゾンが実施中の出品者と顧客間でトラブルなどが生じた場合に購入代金を最高30万円まで保証する制度「Amazonマーケットプレイス保証」を「Amazonログイン&ペイメント」の導入サイトにも適用するため、顧客の買い物への不安感の払拭も期待できそうだ。

5月11日のスタート時点では演劇チケット販売サイト「劇団四季」(運営・四季)および出前ポータルサイト「出前館」(同・夢の街創造委員会)の2サイトが導入した。目標の導入企業数は「海外のアマゾンでは数千社が導入している。日本でも同様に多くの利用を見込んでいる」(星本部長)する。

導入したいサイトはどうすればいい?

ではこの「Amazonログイン&ペイメント」を導入したい通販サイト運営者は具体的にどのような手続きを踏めばよいのだろうか。対象は日本で法人登記をしているネット販売実施事業者であれば規模の大小は関係ないようだ。ただ、成人向け商品を販売しているサイトなどは対象外となるよう。

導入したいネット販売事業者はアマゾンへ申請して数週間程度かかるという同社の審査を通過後、併せて導入に際したシステム開発が必要となる。現状では自社でシステム開発を行うか、サイト構築サービスなどを展開する外部業者のオプションサービスを利用する必要がある。

現状ではフラクタが日本初の導入パートナーとして、展開する通販サイト構築サービス「FRACTA NODE(フラクタ・ノード)」のオプションサービスとして、5月11日から「Amazonログイン&ペイメント」を実装できるようにしており、同ツールで構築した通販サイトであれば、簡単な手続きで利用できる。同社によれば、すでに4社が「Amazonログイン&ペイメント」を申請中だという。

さらにフューチャーショップが運営するECサイト構築サービス「FutureShop 2」でも9月から「Amazonログイン&ペイメント」を利用可能にするオプションサービスを提供する予定。「FutureShop 2」を利用する通販サイトはオプションで「Amazonログイン&ペイメント」を利用できるようになる。

ちなみに、アマゾンジャパンが「Amazonログイン&ペイメント」の導入企業から徴収する手数料については「一定の手数料を頂く」(星本部長)としており詳細は不明となっている。

アマゾン経済圏拡大へ

「EC利用者の多くはアマゾンユーザーである」というほどに膨大な顧客数を抱えるアマゾンだからこそできる“アマゾンならではのサービス”と言える「Amazonログイン&ペイメント」。アマゾンは同サービスを使って、さらにネット上での版図拡大を目論む狙いのよう。アマゾンでは現在、自社直販の強化に加えて、仮想モール機能「マーケットプレイス」の出店者の開拓・支援を強化することで、他事業者の力を使い、効率的な流通総額拡大を図っている。

「Amazonログイン&ペイメント」はさらにその外側、コアファンを抱えるブランドの通販サイトや独立系の人気通販サイトなど「アマゾンにはなかなか出店しなかったり、販売はしにくいが、アマゾンに取り込みたい商品」を抱えるサイトへのアプローチを狙ったものと言えそう。そうしたサイトに導入を進めて、「マケプレ」とは別のやり方で手数料収入を獲得していこうというもくろみもあるようだ。

「Amazonログイン&ペイメント」でアマゾンは経済圏の版図を広げることができるか。注目されそうだ。

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