ヤフー、IoTのスマホアプリ「myThings」公開 ――組み合わせで便利なサービスを

 「my Things」の特徴を説明するヤフー執行役員の村上臣チーフモバイルオフィサー(CMO)

「ヒト、モノ。すべてをつなげて世の中をもっと便利にしていきたい」――。ヤフーはモノのインターネットであるIOT(インターネット・オブ・シングス)を活用した関連サービスを開始した。7月27日からスマートフォン向け専用アプリ「myThings(マイシングス)」を公開。利用者はIOT対応製品やインターネット家電とネット販売を含むウェブサービスを自由に組み合わせて、例えば好みの動画が動画投稿サイトに公開された際に当該リンクを保存した上でスマホのプッシュ機能で通知したり、室内温度が一定温度を超えたらメールで通知して、子供や高齢者の室内での熱中症予防に役立てたり、ユーザーが自身にとって便利なIoTサービスを受けることが可能になるもの。

EC関連でも仮想モールやネット競売で事前に登録した特定のキーワードの商品が販売・出品されたり、ポイント倍増キャンペーンなどお得なキャンペーンがスタートした際に、メールやSNSなど指定したツールで通知し、買い逃しなどの防止などにも利用できるよう。今後は指定した商品を「買い物カゴ」に入れたり、「間もなく、なくなりそうな消耗品」などについて、半自動的に決済、配送する試みなども導入していきたい考えもあるようだ。

誰もが便利なサービスをまず提案

IoT製品を使うとボタンのワンプッシュだけで商品購入ができるという

「マイシングス」はIoT製品とウェブサービスを組み合わせて、新しく便利なサービスを受けることができるスマホアプリ。IoT製品のメリットを享受するためには、これまで製品ごとにウェブサービスと個別に設定しなければならなかったが、同アプリ上で複数の商品とウェブサービスをつなぎ条件を設定でき、利用者は簡単にIoTの恩恵を受けることができる。例えばネットにつながった室内温度計とエアコンを結び付け、設定した温度になったら、自動的にエアコンが起動して、スマホに通知が来るなどのサービスをつなげ合わせることができる。

スタート時点で対応するIoT対応製品はシャープのロボット掃機や冷蔵庫、仏NETATMOの「ウェザーステーションやユカイ工学のコミュニケーションロボット「BOCCO」など10製品程度で、ウェブサービスはネット競売「ヤフオク!」や仮想46 ネット販売 VOL.16 No.9「myThings」の特徴を説明するヤフー執行役員の村上臣チーフモバイルオフィサー(CMO)モール「ヤフーショッ

ピング」、動画サイト「GYAO!」や「ヤフー知恵袋」などヤフーが展開するもののほか、「YouTube」「Gmail」や「Twitter」「Facebook」「Slack」「Evernote」「インスタグラム」「はてなブックマーク」などのサービスが参画している。またIDCフロンティアが提供するクラウドサービス「IDCF Cloud」を用いることで、個人で自作したIoT機器との連携も可能になる。

「マイシングス」ではユーザーがアプリ内で使用できるIoT製品やウェブサービスといくつかの条件を組み合わせて、自身が新しい使い方を作成することもできる。例えばEC関連では「ヤフーショッピング」でポイントキャンペーンや特集など特定の条件での特売がスタートしたり、設定したキーワードに関連する商品が販売された場合などに「Dropbox」や「Evernote」「Gmail」「facebook」など指定ツールで通知したりなどだ。

「my Things」はIoTせいひんとウェブサービスを組み合わせて便利なIoTサービスを受けられる。アプリでは「夏フェスを最大限に楽しむ」や「おすすめの組み合わせ」を特集として提案

ただ、「自分で能動的にカスタマイズ、パソナライズするというのは、日本のユーザーには抵抗があるはず。だから最初から一般的に誰もが便利というユースケースを用意した」(ヤフー・村上臣チーフモバイルオフィサー)として、季節やトレンドに合わせてヤフー側が選んだおすすめの組み合わせをあらかじめ用意した。例えば、「夏フェスを最大限楽しむ」という特集では「夏フェス前に予習したいアーティストの動画を保存します」として「YouTube」にアップされた特定のアーティストの動画を「Pocket」で保存したり、「熱中症対策に。最高気温が30度を超えたらお知らせします」では「ヤフー天気」の情報をもとに30度を超えたらスマホのプッシュ機能で通知。また、「当日必要なものを通販サイトで検索&結果を保存します」として「ヤフーショッピング」内で特定商品を検索した結果を「Pocket」で保存するものなど、おすすめの組み合わせを8つほどあらかじめ作成して提案している。「まずは我々の考えるベストなユースケースを提案して、ユーザーにはこういった世界があると。非常に世の中は便利で楽しいものだと理解頂き、IoTビジネスを育てていきたい」(同)としている。

プラットフォームを開放

ヤフーではスマホアプリ「マイシングス」の新設と同時に、IoT製品などを販売するメーカーや関連サービスを展開するディベロッパーなどにIoTサービスのオープンプラットフォーム「myThingsプラットフォーム」を無償で開放している。商品やサービスのAPIを公開することで、「マイシングス」上の“組み合わせ”に参加できたり、他の事業者による新たなサービス開発に利用され、本来は想定していなかった付加価値サービスの開発につながる恩恵を受けることができるようになるようだ。

ヤフーによれば、ネット販売事業者の参画もAPIの公開など一定の条件をクリアしていれば可能で、現在、「ヤフーショッピング」や「ヤフオク!」で実施しているセールや設定したキーワードに関連する商品を販売した際に指定したツールでユーザーに通知するなどの対象サイトなどになれる可能性がある。

今後、EC関連では商品やセール情報の通知のほか、「利用者のニーズ次第だが、特定の条件に合致した商品をショッピングカートに入れる仕組みや、(間もなくなりそうな消耗品などを)決済まで終え配送してしまう試みなども考えられる」(同社)としている。

米アマゾンでは4月から、日用品の発注機能を搭載したIoT機能がついたボタンガジェット「アマゾンダッシュボタン」の提供をスタートしており、ユーザーが洗剤やトイレットペーパーなどあらかじめ設定した商品をボタンをひと押しすることでPCやスマホを介すことなく、発注できる試みなどを始めている。EC事業者にとっても、IoTは1つのビジネスチャンスと言え、その動向を注視していく必要がありそうだ。

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