ロコンド、楽天市場に初のモール出店―― 返品無料サービスをモールでも

楽天市場で展開する「ロコモール」のトップページ

靴とファッションのネット販売を手がけるロコンドは8月7日、「楽天市場」に公式ストア「LOCOMALL(ロコモール)」をオープンした。3000円以上で送料無料・30日間返品無料などのサービス力を武器に新規客を開拓する。これまでは自社サイトのみで“試着できる通販”の浸透を目指してきたが、単独では時間がかかることから、「国内ECの雄である楽天と一緒に消費者の意識を覆したい」(田中裕輔社長)考えだ。一方の楽天もロコンドの出店を機に“試着できる通販”を訴求し、楽天ユーザーに新しい買い方を提供するとともに、他店舗への波及効果を期待する。

新規オープンした「ロコモール」は、自社通販サイトの「ロコンド」で扱う靴やアパレルをはじめ、スポーツ商材を集めた「ロコスポ」やアウトレット商品に特化した「ロコレット」のアイテムなど約7万点で始動し、順次、品ぞろえを広げる。
ロコンドによると、従来の「楽天市場」はファッションのイメージが弱かったものの、現状はシステムの精度が高まり、デザインの自由度も増しているため、「取引先ブランドやロコンドのブランドイメージを壊さずに多くの消費者にリーチできる」(田中社長)という。
ブランドによっては自社で楽天市場に店を構えている企業もあり、バッティングを避けたいブランドは一部であるものの、ロコンドで扱う8~9割のブランドが「ロコモール」に参加しているようだ。
サービス面では、3000円以上で送料無料・30日間返品無料だけでなく、電話やメールで買い物の相談に乗るコンシェルジュサービスについても楽天ユーザーに提供する。
また、今回の出店を記念し、イタリアのスニーカーブランド「ルコライン」のセールを開催。イタリアから2万足を緊急入荷して臨んでおり、アウトレット品は70%引きで販売するほか、今後は「楽天市場」のポイント10倍企画などにも積極的に参加して新しい層の消費者にリーチする。
ロコンドでは、「ロコモール」の初年度(2016年2月期)は10億円の売上高を見込んでおり、今期の全社取扱高は前期の75億円に対し、110億円での着地を計画する。
楽天ユーザーに新しい価値を提案
楽天にとっては、ファッションカテゴリーを強化する上で、ロコンドの出店はとくにレディースシューズなどで品ぞろえの充実が図れるほか、「従来の“安さ”だけではなく、試着できるという“サービス力”が競合モールとの差別化要素になる」(松山奨スタイライフ事業事業長兼楽天市場営業第四部部長)とし、ロコンドの出店に合わせて「返品送料無料」の特集企画ページをリニューアル。同社をメーンに企画を展開する。
楽天では、試着できないECのハードルを下げ、コンバージョン率を高めるために、ユーザーに体のサイズを登録してもらうことでピッタリサイズの服を見つけやすくするマイサイズ機能をサービス化しているものの、自分のサイズを登録する作業はかなり大変だという。最近では、2015年7月にバーチャル試着サービスを手がける英国のFits.Me(フィッツミー)社を買収したばかりだ。
今回、ロコンドが「楽天市場」に出店し、30日間返品無料サービスを楽天ユーザーにも提供することで、ショッピングエンターテイメントの強化につなげる。
楽天では、“試着できる通販”という概念を楽天ユーザーに浸透させられるかのチャレンジになるため、ロコンド出店時の特集企画だけでなく、「返品無料アイテムのコンバージョン率が高くなるといったデータを継続的に蓄積して、他の出店企業が同様のサービスを考えるきっかけにしたい」(松山部長)という。
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