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アマゾンが首位を独走、二桁成長を持続
【商材別ＥＣ市場分析 総合】
第15 回目となる本誌によるネット販売企業の売上高調査の結果では、ネット販売（BtoCの物販）実施企業上位300 社の合計売上額は約２兆9380 億円で、前年の２兆6662 億円から10.2％伸びた。消費増税で幕を開けた2014 年度。増税後は３月の駆け込み需要の反動で消費者の買い控えが発生し、売り上げを落とす企業が目立ち、業績を回復するのに夏までかかるケースもあった。７月にはベネッセで大量の個人情報が漏えい、世間を騒がすことに。また、健康コーポレーションによる夢展望の買収など前年度に引き続きM ＆ A が相次いだ。状況が目まぐるしく変化するネット販売業界の現状はどうなっているのか。本誌ではEC 市場をけん引する売上上位300 社の2014 年度実績と分野別の市場動向を探った。
今回の調査でもトップとなったのはアマゾンジャパンだ。前年と同様、依然、二桁伸長を続けている。今年度は特に商品数の拡充に注力して、客数を広げる戦略を強化したようだ。そのために、実施したのは仮想モール機能「アマゾンマーケットプレイス」の出店者数を拡大するための出店者支援策の強化だ。昨年２月には出店者向けに仕入れ資金などを融資する短期資金融資サービス「Amazonレンディング」を開始したり、８月には独自ポイント「Amazonポイント」の使い勝手の改善を図り、これまではアマゾンの直販商品の支払い時にのみしか充当でなかったが、出店者の商品の決済にも充当できるようにした。
なお、今年２月にはこれまで直販商品にしか付与されていなかったポイントを出店者が自由に自社商品に付与できるようにしている。また、昨年11月からは同社サイトの商品検索結果画面に広告を表示する検索連動型広告「Amazonスポンサープロダクト」を開始するなどの出店者支援策を強化したことで、出店者が大きく増えて効果的にアマゾンの流通総額の拡大に大きく寄与している模様だ。
一方で直販も強化しており、昨年４月からは、大手メーカーのビールも含めて全酒類の通販が可能な免許を取得した上で酒類の直販を本格化させたり、女性向けの商品や男性向けの嗜好性の高い商品など各テーマにそった専用ページの設置や電機メーカーや飲料メーカーと組んで、アマゾン限定商品の販売を積極化させるなどの新たな試みも行っており、それぞれ売り上げ拡大につながっているようだ。
今年に入ってからも伸びしろの大きい「マーケットプレイス」の規模拡大のよる流通総額アップのため、支援策を強化している。３月には出店者の予約販売期間を延長、従来は最大で“30日先”までだったが、“365日先”までの予約販売を可能とした。６月には出店者向けにアマゾン内で販売する商品について、画像などを用いて訴求力の高い商品詳細ページを作成できる機能「商品紹介コンテンツ」の導入などの拡販支援施策を講じつつ、今年から社内に専門チームを新設し、主要都市を中心に年間20回以上の出店促進のためのセミナーを開催し、さらに出店者を増やしていく考えだ。
一方でネット販売企業向けにアマゾン顧客の登録情報を使って、当該サイトへのログイン・決済が可能となる「Amazonログイン＆ペイメント」をスタートさせたり、日用品の特売サイト「ヤスイイね」の新設、法人向け間接資材の販売の本格化工事付きリフォーム商品の専門ページの新設、有料会員向けの大規模セール「プライムー」の初実施、日用品が１点から購入できる「Amazonパントリー」のスタート、中古商品専門コーナー「中古ストア」の開設など今後の成長の源泉につながりそうな注目の施策を矢継ぎ早に行っており、今後の動きも注目されそうだ。
カタログ通販系では千趣会がトップ
２位にランクインした千趣会のネット売上高は前年比ほぼ横ばいの831億2100万円だったが、ネット受注件数比率は3.4ポイント上昇して74.5％まで拡大した。
前期はスマホで商品詳細や在庫一覧画面を見やすくするなど、デバイスの特性に合わせた売り場づくりの最適化を推進したほか、キャンペーンマネジメントシステムの導入により、顧客の趣味嗜好に合わせたメールをタイミングよく配信できるようになった。スマホ関連施策の成果もあり、前期のスマートフォン経由の売上高は前年の180億円から264億円へと急拡大。ネット売上高に占めるスマホ比率は前年から10.1ポイント増の31.8％に上昇した。また、スマホ訪問比率（セッション数）も46.7％となるなど、ネットユーザーの間でもパソコンからスマホへのシフトが進んできているようだ。