Sun, November 19, 2017

ユーザー囲い込みの新たな潮流か【ECサイトの有料会員制度】

「Amazonプライム」会員は右肩上がりで増加中(アマゾンの資料より)

大手ネット販売事業者がこぞって有料会員制度を強化している。会費を徴収する見返りに、無料ですぐに購入商品を届けたり、購入時に付与するポイントを増量したり、割引クーポンをつけたり、特別なセールへの参加権など、お得に買い物ができる特典を提供する。また、破損した商品を補償するサービスや映画や音楽など通常は有料で販売するデジタルコンテンツを見放題・聞き放題とするなど“物販外の特典”をつけるところもある。

会費を徴収するという一定のハードルをあえて設けることで、“お金を払ってでもお得に買い物したい”という本当に収益アップに貢献するアクティブ顧客に絞って囲い込むことが可能になるほか、そうした購入意欲の高い優良顧客に対して、様々な特典・サービスを付与することでさらに活性化を図ったり、「特典」につられて入会したユーザーへは、会員限定の様々なメリットなどにより、他サイトでの買い物分を当該サイトで集約して購入してもらえるようになり、結果的に高頻度で買い物をする優良顧客化する可能性も高い。各サイトで競争が激化し、商品面や価格面だけでは競合との差別化が困難になりつつある中、有料会員制度による顧客の囲い込みを図っていくEC事業者が今後、増えてきそうだ。

現状、有料会員制度を展開している各社の内容や状況を見ていく。

学生向け、子育て世代向けなど様々な会員制度を用意して拡大へ(「Amazon Student」の告知ぺージ)

アマゾンジャパン

2015年に特典を大幅に強化

アマゾンジャパンは有料会員制度「Amazonプライム」の“特典”を大幅に強化している。同制度は年会費3900円を徴収した会員に様々な特典を付与するもの。2014年までは特典は「お急ぎ便」や「お届け日時指定便」を追加料金なしで無制限に使用できる配送サービス、Kindle端末の所有者限定だが、アマゾンが配信する電子書籍を1か月に1冊、無料でダウンロードできる「Kindleオーナー ライブラリー」などに限られていたが、2015年に入り、有料会員向けの特典を強化し始めた。

まず7月15日に会員のみを対象にした過去最大規模のセール「プライムデー」を1日限定で開催。さらに7月29日からは通販サイトで毎日実施中の「タイムセール」の商品を通常スタートよりも会員のみ30分早く購入できる仕組み「先行タイムセール」を導入した。9月15日からは食品や日用品のバラ売り「Amazonパントリー」を有料会員のみを対象に開始。9月24日からはアマゾン内で有料配信中の国内外の映画など一部の映像コンテンツが見放題となる「プライム・ビデオ」、11月18日からは国内外のアーティストの100万曲以上の楽曲を無料でダウンロードできる「プライムミュージック」、11月19日からは受注から1時間以内に日用品などを配達するスピード配送サービス「プライムナウ」をスタートさせた。

さらに12月8日から7日間にわたって実施した大型タイムセール「本気のビッグセール!サイバーマン デーウィーク」では正規の開始時刻よりも30分早く商品を購入できる「先行タイムセール」を適用させたほか、セール最終日の12月14日の午後6~11時まで1時間ごとに有料会員専用のイムセール「Amazonプライム会員特別セール」も別途、開催した。

プライム会員数の伸び率は年間50%増に

関係筋によると、「プライム会員」は一般ユーザーと比べて総じて客単価や購入回数が高い優良顧客化しやすく、アマゾンとしても同会員の獲得を重点戦略と捉えているよう。これまでは一定の投資が必要な特典面の強化よりも、まずは会員数拡大を優先。2012年から学生向けに「プライム」の特典に加えて、書籍の購入時に購入金額の10%分をポイントで還元する「Amazon Student」や定期便で乳幼児向けのおむつやお尻ふきを購入すると通常価格よりも15%割り引くなどの特典を付加した子育て世帯向けの「Amazonファミリー」など、属性によって特典などを変えた有料会員制度を作り、会員を増やしてきたが、2015年に一気に“特典”の内容を強化し、これまで取り込んできた有料会員の離脱防止と再活性化に加えて、一気に有料会員数の拡大を図りたい考えのようだ。

現状、「Amazonプライム」の会員数は公開していないが、同社によれば2012年から急激に会員数が伸びており、「日本のプライム会員数の年間伸び率は50%以上」と同社のジャスパー・チャン社長(上の写真)が2015年9月24日開催の「プライム・ビデオ」開始時の記者会見で発表しており、一定数を獲得している模様。今後も会員獲得策と会員特典強化の両面を推進していくものと見られ、盤石な有料会員制度を構築していく模様だ。

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