Sun, November 19, 2017

有力サービスの特徴と効果を探る! EC事業者が導入すべきID決済とは?

楽天ID決済のページでは導入サイトをアピールしている

【事例① 楽天ID 決済】

ポイント効果で流通額・単価増
訪問客を購入客に転換する動機に

“登録済みの顧客情報“で様々な通販サイトでの買い物時の支払いを簡単に行える「ID決済」。利用者は再度、関連情報を入力する手間なく、買い物ができ、結果としてID決済の導入サイトではコンバージョン率が高まるなど一定の効果を上げているところも多いようだ。様々な企業が展開するID決済だが、EC事業者にとって、効果がある導入すべきID決済とは何なのか。有力ID決済サービスの特徴と効果を探る。

「楽天ID決済」がスタートしたのは2008年10月のこと。ただ、当初は楽天市場との「食い合い」が懸念材料となっていたこともあり、導入サイトは非物販商材であるデジタルコンテンツ系が中心だった。

「楽天市場とID決済のすみ分けが明確となり、共存共栄できることが分かった」(チェックアウト事業の鈴木壮弥副事業長)のが2014年。15年には、楽天市場の営業部隊と連携し、サービス導入を積極的に推進しはじめた。楽天市場の出店ガイドにも、楽天ID決済を導入するためのプランを記載している。

現在の導入サイトは累計で約3000。コンテンツ系だけではなく、物販サイトでのサービス導入も増えているという。良品計画の「無印良品」やオイシックス、クルーズの「ショップリスト」といった大手サイトにも導入が進んでいる。

ユーザーからしてみれば、たくさんのサイトで楽天に登録したクレジットカード情報が使えるというのはもちろん、他サイトでID決済を利用する際、別途登録する必要がないという利便性もメリットだ。

また、楽天の「楽天スーパーポイント」が必ず決済額の1%貯まる仕組みとなっているが、楽天で使っているIDとの紐付けは不要。鈴木副事業長は楽天IDとの決済の強みについて「楽天経済圏の広がりを体感してもらえるのが最大のポイントだろう」と強調する。楽天のサービスを頻繁に利用するユーザーにとって、最大のインセンティブとなるのはポイント。外部サービスを利用することでポイントが溜まったり、さらにはポイントを利用して商品が購入できたり、というのは大きな魅力といえる。

鈴木副事業長は「『1000円の商品を買おうと思っていたが、500ポイント持っているから1500円の商品まで買ってもいいかな』というように、単価アップが期待できる。また、期間限定ポイントがあるなら、購入してもらえる可能性そのものが高まる。ポイントと結びつくことで購買動機を生み出すことができる」と話す。

例えば、ID決済を導入したある通販サイトにおいて、1回あたりの購入単価は、通常のカード決済と比較して11%高く、年間注文件数も28%多いという。ポイントが利用できることがこうした結果につながっているとみられる。

ポイントアップキャンペーンも効果的だ。ある楽天ID決済を導入したサイトでは、楽天スーパーポイントが10倍付与されるキャンペーンを実施したところ、期間中の流通額は2.8倍に跳ね上がったという。単価も1.3倍となった。また、3倍キャンペーンを実施したサイトでも、注文件数が2.2倍となった。鈴木副事業長は「ポイントが消費行動に大きく影響しているデータがはっきりと得られている」と話す。また、カゴ落ち率も非常に低い。楽天ID決済を選んでからのドロップ率は10%程度という。

導入サイトでは支払い画面で楽天ID決済が選べる(画像は無印良品ネッ トストアから)

「ログイン」機能は未提供

近年はネットショップ向けのサポートサービスを展開する企業との連携も進めている。ショッピングカート事業者に関しては、おちゃのこネットや「ショップサーブ」のEストアーと連携。さらに最近では、「カラーミーショップ」のGMOペパボと、「MakeShop」のGMOメイクショップ、「たまごリピート」のテモナ、「FutureShop2」のフューチャーショップでの導入が決まった。

また、決済代行事業者とも連携。GMOペイメントゲートウェイ、ベリトランス、ソフトバンク・ペイメント・サービスの3社と提携している。「3社の決済代行サービスを使っている企業が簡単に楽天ID決済を利用できるようになったことで、導入企業が広がってきている」(鈴木副事業長)。今後は、カスタマイズを前提としたECサイト構築パッケージを提供する企業とも連携していく方針。

楽天ID決済の場合、「Amazonログイン&ペイメント」とは違い、「ログイン」機能に関しては提供していない。つまり、ユーザーにとっては、カード情報を入力しなくていいというメリットはあるものの、住所・氏名・電話番号といった個人情報は改めて入力する必要があるわけだ。利用企業からすると、ログイン機能がある場合ほどの新規会員の増加は期待しにくい。

鈴木副事業長は「ネットショップがログイン機能を要望していることは承知しているが、ユーザーが当社に預けた個人情報を第三者に渡すという行為については、慎重に検討していくべき。ログイン機能の開放はトライアルとして行ったことはあるが、今後どうするかは未定だ」と話す。

通販サイトが個人情報を漏えいする事故は近年も頻繁に発生している。こうしたことを踏まえて、「利便性は安心安全ありき。どんな企業だったら安心して情報を渡せて、どんな企業ならNGかというのは非常に判断が難しい」(同)。IDでログインするだけで、自動的に個人情報が入力されるのと、能動的に入力するのとでは、意味合いが違ってくる。情報を入力するかどうかの判断は、ユーザー自身にゆだねる方針だ。

大型セールとの連動企画も

サービスを使う事業者が支払う手数料は決済金額の4%で、ポイントの資負担も含めると5%(非物販商材は8%から)。初期費用や月額費用は不要で、データ処理手数料として、決済1件(受注、確定、取り消し)あたり5円が発生する(非物販商材の場合、確定は0円)。

通常のカード決済の場合、3.5%程度が手数料となる。鈴木副事業長は「単価を引き上げたり、休眠顧客を掘り起こしたりするような施策を打つのは難しいが、楽天スーパーポイントと連携すればやりやすくなる。ID決済の導入はポイントを使う権利が含まれていると考えれば、十分以上のメリットがあるのではないか」と話す。

今後は「楽天スーパーセール」など、楽天主導の大型セールとの連動も進めていく。すでに、15年12月に開催した楽天スーパーセールにおいて、期間中の購入店舗が増えるとポイント付与率が増える「買いまわり」対象店舗に、楽天ID決済導入店を加える試みを実施している。

ただ、現状ではこうした取り組みを行っていることや、ID決済そのものが知られていないため、「まずはユーザーへの認知度を上げるのが課題」(鈴木副事業長)という。

また、楽天市場の出店店舗が楽天ID決済を導入するケースも増えている。「楽天市場店、本店サイトともに売り上げが向上する事例もある」(同)。同社の利用企業へのヒヤリングによれば、楽天市場で買い物するユーザーは、最初から市場内で商品を探すケースが多いが、自社サイトに来るユーザーの場合、欲しい商品が決まっていて、サーチエンジンなどを経由して来訪、そこで楽天ID決済が使えることを知り、利用するフローになっているという。自社サイトにID決済を導入した楽天市場出店店舗において、ユーザーの購買行動を詳しく調べることで、より効果的な販促提案につなげていきたい考えだ。

「入り口はどこであっても、訪問者を購入者に転換することが重要。そのための手段として楽天ID決済はお役に立てるのではないか」(鈴木副事業長)。仮に自社ポイントを発行しているとしても、それを囲い込みの手段とするにはかなりのロイヤリティーが必要。楽天スーパーポイントを利用するユーザーは多いだけに、ライトユーザーを取り込むための手段として楽天ID決済を利用する企業は増えそうだ。

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