Sun, November 19, 2017

簡単にコーデ画像を投稿できるアプリが誕生 ――シップスの導入テストで経由売上1.9倍に

「シップスオンラインショップ」でも店頭スタッフによるコーディネート紹介ページは人気コンテンツだ

オムニチャネル化には販売員の協力が不可欠

アパレルの店頭スタッフがコーディネート画像を簡単に通販サイトなどに投稿できる業務アプリ「STAFF START(スタッフスタート)」が注目を集めている。

「スタッフスタート」は、ファッションECのサイト構築や運営などを手がけるバニッシュ・スタンダードが開発したもので、2015年11月からセレクトショップのシップスが全74店舗に導入してコーディネート画像の投稿数が倍増。それに伴ってコーデ経由の売り上げが伸びるなど成果が出ているという。

アパレル企業にとって、コーデ画像は自社通販サイトでも人気のコンテンツで、アクセス数や売り上げを伸ばすにはコーデ投稿数自体を増やすことが大事になっている。しかし、店頭の販売スタッフがひとつのコーデ画像を撮影してから通販サイトにアップしたり、フェイスブックやツイッターといったSNSに投稿するのには手間と時間がかかることや、せっかく投稿してもスタッフ自身の評価につながらないことが多く、コーデ投稿数の増えない要因となっているという。

そうした問題の解決に乗り出したのがバニッシュ・スタンダードだ。同社では、大手アパレルを中心にO2Oやオムニチャネル化を標ぼうしながらも、大きな成果を上げられていない現状に着目。オムニチャネル化に全社を挙げて取り組むには、「売り上げ規模の大きい実店舗の視点が何よりも大事で、そこにECやITのノウハウを使うことで販売スタッフの負荷を軽減しながら店の売り上げ拡大に貢献できる仕組みが必要と考えた」(小野里寧晃社長)とする。

「スタッフスタート」のアプリ画面

手間のかかる投稿を業務用アプリで簡単に

「スタッフスタート」の仕組みとしては、店頭に設置されているiPadや個人のスマホに同アプリをダウンロードしておき、アプリ内の撮影ボタンを押すと1コーデ当たり10枚まで写真が撮れるため、全身のコーデだけでなくアイテム単品や商品のディテールを連続で撮影できる。コーデのトップに使用する写真を選択し、残りの画像にもチェックを入れるだけでサイトのサブ画面に反映される。

その後、これまでであれば(シップスでは)商品のSKUを手入力する必要があったが、アプリを使って各商品のバーコードをスキャンして読み取ることで、瞬時に商品との紐付けが完了する。販売スタッフは自身のIDでログインしているため、販売員の名前や伸長といった情報や商品カテゴリー、キーワードなどがタグ付けされ、絞り込み検索の対象となるほか、通販サイトのコーデページには相関性の高いコーデや同じスタッフの別のコーデを表示することも可能だ。また、販売員は自分のコーデにコメントも入力できるという。

シップスでは、1時間程度かかっていた撮影からサイトアップまでの時間が同アプリを使うことによって約10分に短縮し、SNSにも自動投稿できるようになった。

アプリ利用前後でのコーディネート経由の売り上げ比較など

コーデ経由売上を可視化店舗販売員の意識向上へ

一方、「スタッフスタート」の管理画面では、各コーデのPV(ページビュー)数やスタッフおよび店舗ごとに、投稿したコーデ経由でどれくらい通販サイトの売り上げにつながったか可視化でき、リアル店舗と販売員の新たな評価指標として活用できるため、「これまではあったEC担当者と実店舗側のモチベーションのギャップを埋められる」(小野里社長)とする。

これまではアパレル企業が通販サイトに掲載しているコーデ経由の売り上げを確認する場合、無料で利用できるウェブアクセス解析ツールなどを介することがほとんどのようだが、サイト利用者があるコーデ画像を見てから1カ月後に当該コーデ内の商品を購入してもコーデ経由売り上げと判断されるなど、あいまいな基準しかなかったという。「スタッフスタート」であれば、コーデ経由の購入についてもタグを埋め込んでいるため、コーデを見てから購入されるまでの期間を1時間以内や1日以内、1週間以内などと自由に設定できるため、精度の高い解析が可能という。

コーデ投稿数の増加は通販サイトのコンテンツ強化につながるため、EC売り上げにも直結するようで、シップスの事例では同アプリの導入前1カ月間と利用後の1カ月間を比較すると、投稿スピードが6分の1となったことで投稿数は2.3倍に拡大。これに伴ってコーデのPV数は2倍に、コーデ経由のEC購入率は約1.7倍、注文点数は約2倍、売り上げは約1.9倍になったという。

バニッシュ・スタンダードによると、「スタッフスタート」内には商品とコーデのマスターデータが蓄積されるため、今後は店員がブログを書くときに通販サイトのようにコーデ画像やアイテム画像を配置でき、ブログのPV数だけでなくブログ経由売り上げも把握できるようにするのに加え、通販サイトの商品詳細ページに店頭販売スタッフがレビューを書き込めるようにするという。

同社では、アパレルの売り上げの大半を占める実店舗を起点としたオムニチャネルツールとして同アプリの機能追加を計画。店頭の業務負荷を軽減しながら販売力、提案力の向上につなげることで、「今後はもっと店頭スタッフがオンラインコンテンツを作り出すようになり、店や販売員を軸としたECになっていく」(小野里社長)と予想している。

なお、バニッシュ・スタンダードはこれまで、フルフィルメント型でメーカー直営通販サイトの構築や運営をサポート。パッケージ型のサービス提供ではなく、ゼロから作り上げたフルスクラッチのシステムで人気ブランド「セシルマクビー」などのサイト構築や運営に携わってきた。今回、業務用アプリ「スタッフスタート」を本格始動するのに当たり、フルフィルメントのサポートは続けるものの、「今後は『スタッフスタート』に事業の軸足を移す覚悟で、店舗の売り上げや店頭販売員の給料の向上に貢献したい」(小野里社長)としている。

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