Sat, December 16, 2017

注目の“おすすめ手法”で成果をあげるポイントは 成功するキュレーションECの条件

専門家などの独自の視点でおすすめの商品など推奨する、いわゆる「キュレーションEC」を展開する事業者が増えている。様々な切り口で多様なユーザーニーズをとらえたユニークな商品提案は時流に合致した効果的な販促手法と言えそうだが、一方で「キュレーションEC」を始めたのはいいが、思うような成果をあげられないサイトも少なくないようだ。成功するキュレーションECの条件とは。注目すべき各サイトの状況を見つつ、そのポイントを探る。

【事例① 楽天の「ROOM」】

仮想モールの新たな購入導線に
検索経由より高い購入率

ログインするとフィードに自分がフォローしているユーザーの商品が表示される。 表示されるのは「商品」「コレクション」の2種類

楽天では、2014年6月に開始したキュレーションサービス「ROOM(ルーム)」を新たな購入への導線として位置づけている。20~30代女性を中心にユーザー数が伸長。同社の三木谷浩史社長もヘビーユーザーで、同氏の肝いりサービスだ。「目利き力があるユーザーが集まる場」として、情報発信側・受け手側双方にメリットが生まれている。

月間100万円単位の流通も

ROOMは、ユーザーが仮想モール「楽天市場」で購入した商品やお気に入りの商品を、楽天の会員IDで作成可能なユーザー専用ページ「myROOM(マイルーム)」上に収集、紹介できるというもの。一般的なキュレーションメディアと違い、ユーザー目線での商品チョイスという点が大きな特徴だ。

ROOMで気に入った商品には「いいね」ボタンが押せるほか、myROOM上で商品を収集する「コレ!」という機能がある。「コレ!」した商品には、楽天市場のページに掲載されている画像や説明文のほか、ユーザーが撮影した画像や文章の追加が可能となっており、実際に商品を利用している写真や、お薦めポイントなどを付加することができる。
また、「コレ!」して集めた商品のページを閲覧したユーザーが楽天市場に飛び、商品を購入すると、購入金額の5%が楽天スーパーポイントとして還元されるアフィリエイトの仕組みを導入。また、楽天市場の商品ページや購入履歴には「ROOMに投稿する」というボタンがあるため、そこからmyROOMに投稿することも可能だ。

myROOM はユーザーのセンスで選んだ商品を販売する「店舗」ということもできる。ROOMの場合、「自分と趣味が近いユーザーが紹介している」といったことが購買の動機となるため、従来のモール内検索とは違う購入導線となる。
商品をお勧めする側は、ROOMに投稿することで得られる「いいね」やコメントといったコミュニケーションが励みになるほか、アフィリエイトによる収入も発生する。見る側は自分のセンスが合うユーザーを見つける楽しみや、自分だけでは出会えない商品に出会えるという楽しみがあるわけだ。

楽天市場の場合、大量のレビューが資産といえるが、レビューは購入の最後への最後の後押しとなる効果が大きい。最近はモデルなど著名人のインスタグラムで紹介された衣料品やアクセサリーなどを購入するというユーザーが増えているが、インスタグラムはプロフィールページにしかURLを貼れないため、商品を売るにはやや不向き。ROOMはデザイン的にも機能的にもピンタレストを意識したサービスだ。ただ、楽天市場内に商品画像が用意されているため、投稿へのハードルは低いといえる。中には、自分のROOMから月に100万円単位の流通額を生み出すユーザーもいるという。myROOM作りのポイントとしては、「テーマ・統一感を持たせる」「商品選びや写真にこだわる」「説明コメントをていねいに書く」といった点が挙げられる。

三木谷社長のROOM

新規獲得と顧客育成進める

ROOMを担当する楽天市場事業編成第二部ROOMグループ、編成企画グループマネージャーの山下純一氏は「楽天市場全体ではまだまだ利用率は少ないが、顧客育成効果が高い」とサービスの利点を示した。ROOM利用者のライフタイムバリュー(LTV)は非利用者のLTVより高く、ROOM加入前と加入後で楽天市場における購入金額を比較すると、後者のほうが大きくなっている。
さらにROOMで見つけた商品を購入する確率は、モール内検索からの購入率より数倍高いという。現在は楽天市場からの導線を設けており、楽天が運営する情報発信サイト「Rmagazine」内にもコンテンツを掲載。モバイルでの利用が8割以上を占める。人気ジャンルはインテリア、雑貨、キッチン用品、食器、レディースファッション。利用層は20~30代女性が中心で、楽天市場の利用層と比較した場合、女性比率はやや多く、年齢はやや若くなっている。
今後は、ROOMに事前登録しなくても、商品ページからROOMへ投稿可能にしていくことで、利用者を増やしていく方針。また、インスタグラムとの連携も促進。「ROOMインスタグラマー」を公募しており、インスタグラムのプロフィールに、myROOMのURLを貼って紹介することが浸透しつつあるという。
利用促進のための施策としては、ROOMのヘビーユーザーを対象に、100名の「インフルエンサー」を募集し、ROOM認定の「インフルエンサー」として、半年間の活動をしてもらうプログラムを開始した。インフルエンサーは6か月間、毎月1万ポイントが付与されるので、そのポイントで楽天市場で商品を購入。自身で撮影した写真を「#オリジナル写真」のタグとともにROOMに投稿する。インフルエンサーは、新規のROOMユーザーが、サービス開始時に自動的にフォローするユーザーリストに追加されたり、「おすすめユーザー」のコーナーでも紹介されたりするため、フォロワーを増やせるメリットもある。
河野奈保上級執行役員はROOMに注力する理由について「現在の楽天市場で獲得できるユーザー層と、キュレーションで獲得できるユーザー層は違う」と説明。スマートフォン時代になり、キュレーションメディアがアプリで女性ユーザーを囲い込んでいるが、「記事から買い物へ誘導するのは難しい。楽天市場内の場合、サービス内にキュレーションの仕組みを作れば、買い物への転換はやりやすい」(河野上級執行役員)。価格やポイントを最重要視するモール内検索からの購入に対し、ROOM経由の場合「自分と趣味があうユーザーが奨める商品なので、購入率は非常に高くなる」(同)という。
楽天では、楽天市場事業の成長を再加速すべく、恒常的なポイントアップサービスを開始するなど、さらなる流通総額増にむけた施策を矢継ぎ早に打ち出している。楽天市場は、市場内の検索からランキングを経由して目当ての商品を探すユーザーが大半で、価格が最重要視されることも多い。一方、ROOMは「検索やランキングを見ているだけでは出会えなかった商品を知ってもらう」のが目的のサービス。ROOM利用者を増やしていくことで、新規顧客獲得を狙うだけではなく、長期的な視点でのユーザー育成を進める狙いだ。

【「ROOM」ユーザー座談会より

「反応がすぐに帰ってくるのが楽しい」

2016年5月27日に開催された、ROOMに関する報道陣向け説明会では、女性のROOMユーザー3人招いた座談会(=写真)が行われた。その模様を抜粋して紹介する。

――なぜROOMにハマったのですか。

「投稿すればするほど反応が帰ってくるのが楽しく、さらに最近は『ルームで見た商品だ』『ルームに投稿しよう』と考えることもあり、買い物が充実してきました」「お店屋さんごっこをしているという感覚が楽しい」

――他のブログやSNSとの違いは。

「ブログなどは文章を書くのに時間がかかるし、閲覧数が少ないと反応が全然ない。ROOMは短い時間でいつでもできるし、他のユーザーからの反応が早い点がいいですね」

――売れたらもらえるポイントはモチベーションにつながっていますか。

「ポイントが貯まったら次の買い物に使いたいと思うし、楽天トラベルで使えるのも嬉しい」

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