Sat, December 16, 2017

EC実施企業の現場で 導入進む 人工知能(AI)活用

アスクルが導入しているピッキングロボット

昨今、耳にする機会が増えてきた「人工知能(AI)」。これまで話題が先行していて実際の現場レベルでは無縁だったが、ここにきて徐々にではあるがEC実施企業の中にも導入するケースが出てきている。従来はマンパワーに頼ってきたEC物流の現場にAIを導入して効率化したり、AIの“知能”を借りて顧客の好みを分析しパーソナライズ施策を実施して一定の成果を出している事例などが現れている。ECの現場で今進んいるAIの活用状況について見ていく。

ピッキング作業で省人化

アスクルは物流センターの商品ピッキング作業にAIを取り入れている。作業員の代わりにロボットがピッキングを行い、作業生産性アップや省人化につながっているようだ。
そもそもアスクルは物量増加や将来的な労働力不足への対応として、物流センター内の各種作業について自動化を進めている。その中でピッキング作業に関してはこれまでなかなか自動化できず人手に依存してきたという。そこで経済産業省の「ロボット導入実証事業」に参加。物流センターにおける「商品ピッキングのロボット」の開発および実証実験に着手したのだ。
具体的には2015年12月に、ロボットの知能にあたるソフトウェアを開発するベンチャー企業のMUJIN と業務提携を行って、埼玉県に構える大型物流拠点「アスクルロジパーク首都圏」内にMUJINのソフトウェアを導入。ピッキング作業を行う垂直多関節ロボットを2台導入し、本格活用に向けたテストを繰り返している。
これまで通販のピッキング作業でロボット化・自動化が進まなかった理由について、アスクルでロボット開発の責任者を務める池田和幸執行役員は「従来の産業用ロボットは事前に設定された通りにしか動けない。同じ動作を繰り返すような用途で使われる自動車工場など製造業で広く普及が進んでいるが、注文ごとにピッキング商品が変わり、かつ飲料、日用品、化粧品など多種多様な商品を取り扱う当社の物流センターでは(ロボットの)導入は難しかった」と指摘する。
こうしたネックとなっていた部分を「ロボットに自ら毎回、最適な動作を自ら考えさせる」(池田氏)ようにした。高速高精度のカメラによる画像認識システムにより、商品の種類、形状、大きさをロボットに認識させる。そしてそれらの情報をもとにロボットが動くための「動作計画」と呼ばれるプログラムを注文ごとに都度、瞬時に作成して、状況に応じて最適なロボットアームの軌道やつかみ方を導いていく。

アスクルでは、このAI型ロボットを導入して24時間稼働や作業生産性向上につなげることで、最終的には商品出荷件数の増加や省人化に期待を寄せる。
現状の課題はロボットがピッキングできる商品の種類が「箱型の商品」に限定されていること。「箱形状の商品はどれも問題なくつかめるが、シャンプーや洗剤であるパウチタイプの商品にはまだ対応できていない。年内をメドにこれらにも対応できるようにしたい」(池田氏)とする。導入費用は「(1台あたり)ピッキング作業員の人件費の1年半くらい」(同)。ただ、ロボットの生産性は日に日に高まっており、今後は導入コストをさらに低減できるもようだ。
このAI型ロボットの本格導入は5月6日から稼働を始めた横浜市内の新物流拠点を皮切りに実施していく計画。同拠点ではすでに、ピッキングの工程についてロボット導入を前提とした仕組みに切り替えている。

従来のセンターでは売れ筋商品以外のピッキングは作業員が保管場所まで歩いて取りにいくなどの手間がかかっていたが、新拠点ではそうした商品も作業員の手元に自動的に流れてくる仕組みとなる。最終的には作業員が行うピッキング作業を、年内をメドにまずは数台程度、今後は数十台の導入を見込むロボットに置き換えていく。
さらに2017年12月に稼働予定の大阪・吹田市内の新たな大型拠点でもAI型ロボットの本格導入を行っていく。物流拠点内でピッキング作業に携わっている人員は全体の60%程度のようだが、AI型ロボットの本格導入により「40%はロボットでカバーしていきたい」(同)としている。

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