Sun, May 27, 2018

LINE、来春にコールセンターと連携 ――AIや有人の顧客対応、アスクルが導入

アスクルの「ロハコ」の取り組みで はAIがまず顧客に対応する

LINEは来春をメドに、コールセンターなどでの顧客対応に「LINE」を活用したサービスを始める。企業は顧客からの問い合わせに対して「LINE」で対応することが可能になる。混雑時などの電話問い合わせを「LINE」に誘導する機能も提供する。本格提供に先がけてアスクルが11月21日から「LOHACO(ロハコ)」を通じて試験運用を開始。人工知能(AI)とオペレーターを組み合わせた顧客対応を「LINE」上で展開している。

IVRで「LINE」に誘導も

LINEが来春から提供を始めるのは「LINE Customer Connect(カスタマーコネクト)」。同サービスには大きく2つの機能がある。
1つ目の「Chat Option(チャットオプション)」は、チャットや人工知能(AI)システムと連携し、「LINE」のトーク画面上でユーザーの問い合わせに対応するというもの。企業側はコールセンターでの有人対応とAIによる自動応答を切り替えることができる。AIだけを使ったり、オペーレーターによる有人対応だけといった選択も可能だ。
「チャットオプション」ではユーザーがAIの対応に満足できなかった質問を蓄積し、機械学習や有人対応によってFAQを随時改善していく。また、ウェブサイトなどに「LINE」へ誘導するボタンを設置し、ウェブとLINEアカウントを連携させた問い合わせ対応も可能になるようだ。

AIでは解決しない場合には有人チャ ットに切り替わる

2つ目の機能は、音声自動応答システム(IVR)と「LINE」を連携した「Call to(コールトゥ)LINE」。混雑時や営業時間外にユーザーから電話で問い合わせがあった場合に音声ガイダンスで誘導し、携帯電話番号経由でその番号が登録されているLINEアカウントにメッセージを送信するという仕組み。ユーザーがオペレーターによる電話対応を希望していれば、混雑が緩和してから改めて「LINE」経由で電話可能なタイミングを通知することもできるようだ。その結果、顧客満足度向上や機会損失の低減、人件費削減などが期待できるとしている。
LINEカスタマーコネクトはLINE公式アカウントやLINE@などLINEが運営するビジネスアカウントのオプションとして提供を行う予定。LINE執行役員ビジネスプラットフォーム事業室の杉本謙一室賞によると、カスタマーコネクトのサービス利用料について「まだプランが固まっていませんが、導入しやすいように定額制が良いのではないかと考えています」としており、従量課金ではない料金体系を検討しているようだ。

難しい質問は有人に切替え

LINEでは先行して自社の関連サービスで試験運用を開始。8月から決済サービス「LINE Pay(ペイ)」向けに実施しているケースでは、AIを使った質問認識率は約89%、回答結果に対するユーザーの満足度は約94%だという。また、12月14日からはLINEの格安スマホ「LINEモバイル」のチャットサポートにも対応した。

外部の先行導入第一弾としては、11月21日にアスクルが運営する「ロハコ」で「チャットオプション」の試験運用に着手。「LINE」上でAIエンジンと有人チャットを組み合わせた顧客対応サービスを実施している。
アスクルは2014年9月から「マナミさん」というキャラクターでチャットbot(ボット)を運営、サイトで顧客サポートを手がけてきた。今回の取り組みではマナミさんをLINEアカウント上に実装し、ユーザーの問い合わせに最適な回答を行う。AIによる応対では回答が難しい場合に有人のチャット対応に切り替え、「LINE」上で応対を完結することができるという。有人対応にはコールセンター業務を手がけるKDDIエボルバのオペレーターが問い合わせに応じる。応対内容をもとにFAQをチューニングし、AIの回答精度を向上させていくようだ。
外部企業への導入ではこのほかにSBI証券が12月14日から運用を開始した。「LINE」上でAIエンジンを活用してFAQの試験運用を始めている。
LINEはカスタマーコネクトの提供に伴って、AIやチャット、PBX(電話回線の交換機)などを扱う複数の企業とサービスを連携。さらに大手コールセンター5社を販売・運用代理パートナーにした。アスクルの取り組みに参画しているKDDIエボルバもそのうちの1社。LINEによると、連携先やパートナー企業は今後も拡充していく計画だ。

【ビジネスコネクト担当者に聞く コールセンター活用の狙いは?】

来春をメドに本格的に開始する「LINEビジネスコネクト」。コールセンターと「LINE」が連携した取り組みとして注目される。新たなサービスの狙いとは。同事業を担当する杉本謙一執行役員ビジネスプラットフォーム事業室室長に聞いた。

Q:カスタマーコネクトを始める背景は?

A:2年程前から「LINEビジネスコネクト」(※ 1to 1のメッセージ配信機能)を提供してきました。その中で「LINE」をカスタマーサポートのコミュニケーションチャネルとしてお使いいただくケースが増えています。電話に比べて一度に複数のユーザーに対応できたり、お客様と気軽にコミュニケーションがとれると喜ばれています。その流れを受けて、コールセンター向けのパッケージ商品を出すことでより使いやすく、ユーザーさんにとっても分かりやすく便利なサービスが作れるのではないかと考えたのです。

Q:料金面はどうなるのでしょうか。

A:今パイロット段階で運営しながら企業やコールセンターベンダーと話していますが、より導入しやすくするというのが基本コンセプトとしてあります。そのため何かしら定額制のようなものが良いのではないかと現時点では考えています。お客様サポートに「LINE」を使っていただく上でその都度、従量課金となると企業が“LINE化”に踏み切る際のボトルネックになります。ビジネスコネクトは1通1円とトランザクションごとに課金していますが、カスタマーサポートの場合は気軽に定額制で使えるような、比較的分かりやすい料金体系がいいのではないかと思っています。

Q:外部企業の第一弾のケースではアスクルが「チャットオプション」を導入しました。

A:この事例ではAIとマニュアルどちらにも対応しています。ユーザーが「LINE」を通じてAIと対応する中で、解決しない場合は「オペレーターにおつなぎします」と案内されて、有人対応に切り替わります。今はパイロット版としてやっていますが、有人対応した後にアンケートをとると、満足度は5段階で4点や5点とほぼ100%の評価で、非常に高い満足度が出ています。また、コールセンターのオペーレーターの皆さんにも、ユーザーから「LINE」でダイレクトに「ありがとう」というメッセージが届くので喜ばれています。「LINE」上ではそうした言葉を気軽に伝えられるのかもしれません。

Q:「コールトゥLINE」はIVRで振り分ける選択肢の1つに「LINE」も含まれるようになります。

A:ユーザーにとってのストレスは、IVRで待たされるところではないかと思います。それを「LINE」にうまく誘導して、自動応答であったりチャットで気軽に対応できるようにすれば企業側は機会損失を回避できますし、ユーザー側も待ち時間のストレスが減ります。そういう意味では画期的な機能になるのではないかと思っています。

Q:企業からするとコミュケ―ションチャネルが増えるということですが、コールセンターとしても人手の確保が大変ですので、インパクトは大きいかもしれません。

A:これまでもビジネスコネクトでカスタマーサポートの用途でご利用いただいていましたが、その際も電話に比べて応対する側の心理的なハードルが低くなるようです。結果、オペレーターの採用難易度が下がったという話をよく聞きます。また、電話ですと同時に複数の応対はできませんが「LINE」では可能できます。そういう意味では生産性は上がるのではないでしょうか。

Q:ますます「LINE」が生活のインフラになっていきますね。

A:そうなりたくて、やっています。

Share This :

Twitter Delicious Facebook Digg Stumbleupon Favorites More

Comments are closed.