EC実施企業各社に聞いた今年のネット販売の行方は? 2017年のEC市場はこうなる!

2016年も様々な出来事があったEC業界だが、2017年はどのような年になるのだろうか。様々なEC実施企業の予想をもとに、2017年のマーケットを占う。また、ECプレイヤーにとって“売り場”である仮想モールのこれからや、ECに欠かせない重要な配送サービスはどう進化するのかなどについても考察する。

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今年の市場予測、7割が「拡大」「横ばい」が3割で「縮小」はゼロ

【2017年のEC市場はこうなる!① EC各社に聞く・今年の市場規模は?】

2017年のEC市場はどうなるのか。本誌ではネット販売実施企業にアンケート調査を実施した。その結果をもとに今年の市場を展望する。

アンケートでは「2017年の通販市場について、どのように予想していますか」と質問し、「拡大する」「横ばい」「縮小する」の3つの中から回答を選んでもらった。結果、「拡大する」が最も多く70%となり、次いで「横ばい」は30%、「縮小する」は0%だった。

ECが通販拡大のけん引役に

まず「拡大する」を選択した企業の回答理由を見ると、目立つのが「ネット」や「EC」をキーワードにネット販売の伸びによって市場拡大を予想していることだ。

例えば「ネット通販市場の拡大が見込まれる」(ベルーナ)や、あるいは「ネット通販を中心に拡大が見込まれる」(スクロール)という企業があった。さらにはテレビ通販系の企業からも「インターネット販売を中心に、拡大する見込みがあると感じている」(ジュピターショップチャンネル)といった意見や、「Eコマースの伸びが続いているため」(ロッピングライフ)などの見方があった。

ほかにも「Webマーケットの拡大傾向の継続」(JFRオンライン)、「ネット通販の拡大」(マルハニチロ)、「大手EC企業のけん引により拡大が続く」(ヒラキ)、「総合通販、カタログ通販は引き続き下降トレンドは変わらない。しかしEC市場はさらに伸長する」(ダイワ)、「ネット環境の整備が進むことにより、オンライン通販市場が拡大する」(藤久)、「ECを中心に通販はさらに拡大」(エー・ビー・シーメディアコム)、「ECが通販市場全体をけん引すると予測」(アプロス)などの回答が寄せられた。

「拡大する」と「横ばい」のどちらも選択した企業があり、その理由について「さらにEC化率が上昇するが、消費者の購入販路が複雑化するため」(白鳩)と説明している。

スマホやオムニへの注目も

スマホ普及やオムニ化でネット販売は2017年も拡大していくか

スマートフォンなどデバイスに注目した見方もあった。具体的には「スマホの普及でより手軽な買物が労力をかけずに行え、スマホコマースが大幅に伸びる」(JP三越マーチャンダイジング)や、「スマートフォンやタブレットの普及率の増加」(ニューヨーカー)、あるいは「モバイル・タブレットのweb構築はまだまだ開発途上で、整備が進むにつれ市場が拡大することが予想される」(読売情報開発)、「スマホの市場が拡大したため」(ワールド・ファミリー)などとなっている。

そのほかには、昨今注目されている店とネットとの連携を意味する「オムニチャネル」の観点から市場拡大を予想する意見も複数見受けられた。「ネットとリアル店舗によるチャネル戦略の増加」(ヤマサキ)や、「オムニチャネルなどによるECと実店舗の相互送客により、消費者の利便性が向上しているため」(ニューヨカー)など。

実店舗からECにシフト

「拡大する」の選択理由の中には、自社で取り扱う商品ジャンルに即して市場を予想する声もあった。
例えばアパレルを扱う企業では「アパレル業界において顧客の購買行動がリアル店舗からECにシフトしつつあるトレンドは、大きく変化しないと考えている」(マガシーク)といった企業や、「アパレル市場全体は厳しい状況が続いているが、EC市場はまだまだ伸びていくと予想している。各メーカーも年々ECへの取り組みを強化せざるを得ない状況になっている」(集
英社)などの声が寄せられた。
健康商品では「機能性表示制度の導入により健康食品通販市場はゆるやかに拡大する」(山田養蜂場)、化粧品では「秋から冬は化粧品売上が伸びるため」(ナノエッグ)といった理由から市場拡大とみているようだ。
それ以外にも「リフォーム業において大手の新規参入が相次ぎ、競争がより激化。しかし、ネットでリフォーム工事を購入することの認知が進み、市場は拡大すると予測」(エクスショップ)や、「ビジネスユニフォームに関して言えば、ネット通販以外の形態の注文が減り、ネット化が進むと各方面で言われており、その流れは2017年も変わらないと想定」(ランドマーク)など、商品ジャンルごとの特性に基づいた解答理由があった。

シニア層の利用拡大なるか

「拡大する」を選んだ企業の中には「シニア」にフォーカスした企業も。例えば「シニア層のSNS活用増」(アイフォーレ)といったものや、「シニア市場の拡大、サービス業の通販化など、裾野が広がっていくと思われる」(ヒラキ)、「高齢者層の通販利用が進む」(マルハニチロ)といった具合だ。
こうした反応以外にも、各社各様に「拡大する」を選んだ理由を挙げている。

ランダムに紹介すると「まだまだ様々な業態が参入してくると思うため」(千趣会)や、「シンクタンクの市場調査にもとづく」(アスクル)といった見方のほか、「テクノロジーの進化、投資額上昇」(アダストリア)、あるいは「国内のBtoC市場は飽和ぎみであるものの、越境ECを含む海外のBtoC並びに、国内・海外を問わずBtoC及びCtoC市場において、通販はさらに伸長していくと考えるため」(アベルネット)などの反応があった。

ネット以外は苦戦続く?

次に、通販市場が「横ばい」と回答した企業の理由について見てみる。ここでもネットは拡大しつつも、それ以外の領域では苦戦するといった見方が複数あった。
具体的には「スマートフォンを中心にネット通販は拡大する一方で、カタログやテレビ通販は厳しい状況が続くと思われる」(ニッセンホールディングス)や、「EC主体のところは17年も堅調に推移するのではないかと思われるが従来型のところは機動性に欠け苦戦すると思われるのでトータルで横ばいではないか」(日本生活協同組合連合会)という反応。あるいは「越境EC市場拡大は16年より見込めるものの、メインの国内の景況感は好転しておらず、依然として厳しい状況が続く。しかしながらインターネット通販の売上については、爆発的でないものの引き続き拡大傾向にあると思われる」(全日空商事)との声もあった。
そのほかには「通販需要は続伸するも、消費は停滞局面にあり市場全体としては微増に留まるのではないか」(イオンドットコム)や、「好景気が見込めないため」(ジャパンスコープ)、「期初では、消費税増税の駆込み需要を想定し拡大すると見込んでいたが、増税が延期となったため」(LIXILトータルサービス)などの回答があった。

特需は期待できず…

取り扱い品目に分けて「横ばい」の理由を見ると、家電を扱う企業では「2017年はオリンピックやワールドカップなどの大きなイベントがないため、特需が期待できない。そのため国内景気の動向に左右されやすくなると思う。その国内景気は現時点では先行きが不透明なため、家電市場が拡大もしくは縮小するかの判断が難しい」(ディーライズ)と分析する。
健康食品を扱う企業は「機能性表示食品の受理が全体的に遅れている一方で、一般の健康食品への規制は強化されていることから、企業間格差は広がっても業界全体では横ばいと考える」(リフレ)。化粧品では「化粧品通販市場は新規参入が多く、ニーズに対する供給過多であるため」(メディプラス)。旅行用品では「旅行客は2017年度微増すると予測するが、当社主要顧客は若干遅れると予測」(レッドホースコーポレーション)となっている。

【2017年のEC市場はこうなる!② EC各社に聞く・消費の動向は?】、【2017年のEC市場はこうなる!③ 仮想モールの情勢は?】、【2017年のEC市場はこうなる!④ EC物流の今後は?】は本誌にて→購入はこちら

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