Sun, August 25, 2019

「LUXA」も「au」も両方伸びている 村田 聡●ルクサ 代表取締役社長

ルクサは飲食店や旅行のクーポン、家電などの物販、さらにはエンタメ系といった商材をタイムセールで販売する通販サイト「LUXA(ルクサ)」を運営。このほかに親会社のKDDIと共同でauユーザー向けに「auWALLET Market(ウォレット・マーケット)」も展開する。KDDIが新たな仮想モール「Wowma !(ワウマ)」を開始するなどグループでECを巡る動きが活発化するなか、ルクサの村田聡社長が考える戦略とは──。

クーポン共同購入は事実上消滅している

媒体としての専門性はどこか

──まずはここ最近の「LUXA」の状況を教えてください。

方向性や内容、サイトの見た目などは特に大きく変わっておらず、どちらかと言うと商品群を拡充しています。今は「LUXA」と「au WALLET Market」の大きく2つの事業に分かれていますが、取扱数は非常に大きく伸びました。特に「au WALLETMarket」で物販系を拡充していて、取引先のメーカーも増やしています。

──出自で言いますと、ルクサという会社は「グルーポン」や「ポンパレ」などと同様にクーポン共同購入サービスとしてグルメや宿泊、美容系のクーポン商材から始まっています。今も主力商材はそうしたものなのでしょうか?

「LUXA」では相変わらず、ローカル系(各エリアの飲食店や美容店の割引クーポン)の商材が強く、全体の半分くらいを占めています。ただ昨年度からエンタメ系商材が大幅に強くなりました。今はエンタメ業界の取引先で落としていないところはほぼない状況です。今年の1月には宝塚の貸切公演を扱わせてもらい、劇団四季の公演も当社が主催の貸切をいくつかやらせてもらいます。これは値引きではなく、なかなか手に入らないチケットを「LUXA」で貸し切ることによって手に入るのが強みです。エンタメ系は、単純に言うとなかなか手に入らない商品群を拡充しており、すぐに売り切れるものも多いです。例えば人気の歌舞伎であれば一日で2500席が売り切れることもあります。

飲食店との取引も今までは個店と話していたのですが、複数の飲食店を抱えているホテルや商業施設とのコラボが増えており、デベロッパーとお話をして集客のお手伝いをさせてもらうケースが増えています。

──他社ではなくルクサに声がかかるのですか?

うちだけですね、声がかかるのは。ブランドや売り方の強さが生きているんだと思います。それが非常に大きい。先日も都内のデベロッパーさんから依頼があり、商業ビルのとあるフロアの全店舗の宣伝をお願いされましたが、なかなか(クーポンが)出ないようなお店が普通に出ます。
平たく言うと、クーポン系の業界は事実上、一度終わったのではないかと感覚的には思っています。一部残っているサービスもありますが、かつての形とは違っています。反面、体験型の商材を扱っている会社が出てきており、“コト消費”を売るという業態が一つの形を作り始めているのではないでしょうか。そういう意味ではクーポンサービスはその先鞭を付けたと思います。ただ、共同購入というのは事実上消滅しています。

“コト消費”はまだ形が定まっていない部分が多い業態ですので、いろいろなところに入っていける可能性があると感じています。エンタメもそうですが、取りあげられないが眠っているものはたくさんあります。そこを我々が拾いあげて売っていくという戦略です。

──「LUXA」のブランドや売り方の強さという意味では、抱えている顧客層も大きいのでしょうか。

それも大きいです。客層として評判が良い。あとは媒体です。これはすごくシンプルで、雑誌で例えれば分かりやすいが、飲食店が「どういう雑誌に載りたいか」となった時に、「あの雑誌ならいい。ただ、もっとカジュアルなものには出ない」というのと同じです。結局、横並びである程度の層がそろっていることが重要になります。そういう(高級店などの)ラインが出て、それが他店にも循環していく。値引いても決して単価は安くありませんが、普通は出てこないお店も掲載しています。

──UXA」としても売り場のブランディングとして掲載店の選別もしているのですか?

もちろん業種業態、金額、店舗の方向性などを踏まえ、こちらで営業しないお店もあります。

──つまり飲食チェーンの安売りクーポンはばら撒かないと?

そうした商品はどの企業でも扱えますし、その商品を買った人もどんな売り場で手に入れたかを大して気にしないでしょう。本来はそのお店に行きたいから予定を作ろうという形で買ってもらうのが正しいのではないでしょうか。その商品に人を動かす力があるのか、ということだと思います。結局、サービスの本質としてそこの媒体でしか手に入らないものは何なのかということだと思います。媒体としての専門性や希少性はどこにありますか、ということです。

今期の年商は倍増の120億超に

──「au WALLET Market」の状況はどうなっていますか。

「au WALLET Market」ではタイムセール品として常時1000アイテム以上は出ています。ただ、「LUXA」はタイムセール品だけですが「au WALLETMarket」は常設品も扱っています。常設品はまだ2000アイテムくらいですが近く5000アイテムを超えると思います。特に家電や食品などです。「au STAR」という形でauユーザーさんに2年更新のタイミングで還元するので、そこに合わせたギフト券のメインの利用先の一つになっています。そこのニーズも捉えて運営しています。媒体特性として「LUXA」はニッチ向けですが、「au WALLETMarket」はマス向けです。

──それぞれの売り場の会員数はどのくらいですか

「LUXA」はおよそ170万人です。毎月万単位で増加しています。「LUXA」会員の特徴は可処分所得が高いということです。年収で600万~1000万円が最も多く、会員の平均年収は890万円になります。一方の「au WALLET Market」の利用者数は間もなく500万人なります。

──客単価は異なりますか?

「LUXA」のほうが1.5倍程度高くなっています。商品単価は大して変わりませんが、買う回数などが異なるため差が出ます。

──両サイトの売り上げ比率は?

「au WALLET Market」のほうが多いです。利用者数が違うので。

──その状況をどう見ていますか。

両方を伸ばしていきますが、通販系の商品は奥行きがとれますし、量に対しての対応もできます。そういう意味では「au WALLET Market」のほうが伸びると思いますし、伸びなければおかしいです。「LUXA」で扱っている体験系商材はロットが限られます。そのため「LUXA」のほうが、限界値が来るのは早いかもしれません。

──業績について教えてください。

前期(2016年3月期)は、62億円でした。前々期に比べて1.5倍の伸びです。今期(2017年3月期)は前期の倍を見込んでいます。

──120億円を超えますか?

超えると思います。

──拡大要因としては「au WALLETMarket」の存在が大きいですか?

大きいです。「au WALLET Market」という事業自体、前期は数字的にあまり入っておりません。「au WALLETMarket」が始まったのが2015年8月です。2016年3月までだとオープンから半年ですので、数字的にはそれほど大きな影響がありませんでした。それが今期はすべて乗ってきます。

──「au WALLET Market」の上乗せだけでなく「LUXA」も伸びているのでしょうか?

はい、両方伸びています。

──間もなく今期も終わりますが、来期(2017年4月~)から目指すものはありますか?

1つは“コト消費”系の仕組みを変えて、システム化を進めたいです。もっとオンラインで完結できるようにして、使い勝手を良くしたいです。具体的には予約周りを充実させることです。クーポンを購入して、その場でオンライン上で予約ができるくらいまでもっていきたいと考えています。店舗とのインフラ面を改善することにより、クーポンという限りのある業態でなくなっていきます。単体では難しいので、協業して取り組んでいきたいです。

「Wowma !」 の影響は正直そんなにない

「Wowma!」と組むなら「LUXA」

──KDDIが子会社のKDDIコマースフォワードと共同で、「DeNAショッピング」と「auショッピングモール」の両仮想モールを統合し、1月30日から「Wowma!(ワウマ)」として刷新しました。「au WALLET Market」を運営するルクサとしては「Wowma!」との差別化や連携についてはいかがですか?

「Wowma!」という新たな仮想モールができたことで当社に大きな影響があるかと言うと、正直そんなにないのかなという気はしています。
仮想モール事業を行う上で今、各社が色々な組み方を模索しています。例えばソフトバンクグループのヤフーとアスクルによる「Yahoo! ショッピング」と「LOHACO(ロハコ)」の関係も、共存しつつ、ぶつかっているところもある状況だと思います。「Wowma!」と当社も似たような感じになると思います。商品ラインアップでは、「au WALLETMarket」のほうが洗練されていたり、分かりやすくなっていくと思いますが、幅の広さでは「Wowma!」のほうが多くなるでしょう。そこは使い分けです。使い分けをする時に、どのように協業してトラフィックを分散できるかが、肝になってくるのではないでしょうか。

──「Wowma!」はすべてのユーザーが対象ではありますが、auユーザーに絞ってみた時に、互いに客を取り合ってカニバってしまうという懸念はありませんか。そこも商材の違いで使い分けられていくという認識でしょうか。

そうですね。あとはauユーザーに限定して考える必要はないと思います。見方を変えると、「LUXA」としてはauに限定している要素は何もありません。「Wowma!」と組むのであれば「LUXA」側で組むほうが良いかもしれないという面はあります。
結局、「Wowma!」というオープンな売り場と、auユーザー限定のサービスである「au WALLET Market」との間でコラボができるのかというのは大きな課題です。

──KDDIグループにはジュピターショップチャンネルなどルクサ以外にも通販実施企業がありますが、グループ内での自社の立ち位置などは考えますか?

もちろん考えないわけにはいきませんが、KDDIから明確な要望などはなくて、事業を成長させるためにある意味で自由にやらせてもらっています。

──「Wowma!」やショップチャンネルなどグループ間の連携は?

話はしているのですが、今のところ具体的な取り組みはあまりありません。というのも、通販とはいえそれぞれ違う業態で、領域で言うと10~20%程度しかかぶっていません。ただ、ショップチャンネルから商品供給を受けてテストしたりといったトライアルは行っています。将来的にはそういう部分が大きくなってシナジーが生まれればと思っています。「Wowma!」ともそうですが、人材や開発の面、コストメリットなど、徐々にシナジーを作れるところは作っていきたいと考えています。

◇プロフィール

村田 聡(むらた・さとし)氏 2003年GMOインターネット株式会社に入社。インターネット黎明期からWebマーケティングの領域に携わり、その後もWebの領域においてキャリアを重ね、2008年12月株式会社セレクトスクエアに参画し、マーケティング・事業開発担当の執行役員に就任。その後、「LUXA(ルクサ)」に小売りの可能性を感じ、2011年2月株式会社ルクサに参画、CEOに就任。2012年11月に代表取締役に就任。

◇取材後メモ

ルクサが「LUXA」を立ち上げたのは2010年8月です。当時飲食店やエステなどの割引クーポン券を共同購入の形で販売するサービスが急激に立ち上がった時期でもあります。その後多くの企業が撤退する中で高級路線に舵を切っていたルクサは富裕層を顧客に抱えるなど独自のポジションを確保し、順調に拡大を遂げていきました。2015年4月にKDDIの子会社となってからも新たに「au WALLET Market」を立ち上げ、さらに成長しています。1月末に仮想モール「Wowma!」が始まり、グループ内のECを巡る状況が大きく動いています。そうした動きを追い風にするか、あるいは逆風となるのか、村田社長の舵取りが注目されます。

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