Sat, July 21, 2018

アマゾン参戦、大手 合併で変わる勢力図 食品EC の現状

「Amazon フレッシュ」の品ぞろえは約10 万点

4月1日に、オイシックスと大地を守る会がグループ会社化し、同月21日から、アマゾンジャパンが食品のネッ販売「アマゾンフレッシュ」を開始した。こうした動きは、業界の再編がすすむきっかけなるともみられ、今後、ますます競争が激化しそうだ。最近の食品のネット販売市場の動きを見てみる。

「アマゾンフレッシュ」が始動

アマゾンジャパンが4月21日から、精肉や鮮魚、野菜など生鮮食品を販売する「Amazonフレッシュ」を開始した。月額3900円を支払った有料会員「プライム会員」向けサービスで、別途月会費税込500 円を徴収する。
「Amazonフレッシュ」の品ぞろえは約10万点。野菜や果物、鮮魚、精肉、乳製品などの生鮮品・食料品の品ぞろえは約1万7000点となる。食品のほかに、」キッチン用品や健康・美容用品、ベビー用品、ペット用品などの日用品・雑貨などを展開している。

生鮮品などの商品は、アマゾンがオイシックスなど複数の連携先から調達・仕入れして取り扱う。また、週2回、契約農家などから仕入れたとれたて野菜・果物、当日朝に加工したての鮮魚などを販売する「新鮮市」も展開し他社との差別化を図る。鮮度にこだわり、満足が低い顧客に代金を返金する「鮮度保証」や、無料で代替品を届ける試みもすすめていく。
加えて、人気店や有名店などの外部の出店者の商品も販売。「人形町今半」(精肉)や「魚の北辰」(鮮魚)、「パティスリーモンシェール」(洋菓子)、「船橋屋」(和菓子)などスタート時点では27店舗が「専門店グルメ」として出店し、合計約1000商品を販売する。なお、出店条件や出店料などについては「非公開」(アマゾンジャパン)としているが、関係筋によると商品販売時に手数料として一定額と配送料を1件につき120円程度をアマゾン側に支払っている模様。

「プライムナウ」を活用し自社配送

商品は食品の種類ごとに最適な温度で保管可能な専用設備を設置した神奈川・川崎の物流センター「アマゾン川崎フルフィルメントセンター(FC)」を拠点に配送する。受注後は同拠点で梱包し、温度帯別にカラーの異なる紙袋に包む。1時間以内配送などスピード配送を行う「プライムナウ」の専用拠点(東京・豊洲)の配送網を使って、顧客が指定した配送先に届ける仕組み。
配送は顧客が注文時に指定した午前8時から深夜12時まで2時間刻み時間帯で指定可能。正午12時までの受注分までは午後4時の配送枠に間に合うため、受注から最速4時間で配送できる。当日配送ができるものは、あらかじめ川崎FCに在庫しているアマゾンの直販品のみ。
「専門店グルメ」の出店者の商品は受注後、出店事業者が自ら川崎FCまたは外部事業者の商品納入の利便性などを考慮してアマゾンが都内に設けた専用の商品納入受取の中継拠点まで運び入れ、アマゾンが直販商品とまとめて配送する。
出店者の商品は一部商品では当日配送に対応しているものとみられる。複数の出店者によれば商品の納入形態として、翌日の配送を前提とした「午後4時までの納品」と、当日の配送を前提とした「午前10時までの納品」が各出店者側で選択できるようになっており、「午前10時納品」を選択した出店者の商品は当日配送が可能となるが受注受付締切時間は午前中の早い時間帯となるようだ。

なお、配送料は税込み500円で、商品1点から配送する。1回の受注額が税込6000円以上の場合、送料は無料とする。また、配送時に顧客に商品を渡せなかった場合は、当該商品は持ち帰ってキャンセル扱いとする。
「Amazonフレッシュ」はスタート時点では東京都の港・千代田・中央・江東・墨田・江戸川の6区の一部地域で展開しはじめた。5月11日からは対象エリアを広げ、東京・新宿、文京、台東、荒川、足立、葛飾の6区と千葉・市川市、浦安市でも生鮮品販売を行う。

「Amazonフレッシュ」は2007 年から米アマゾンでスタートし、昨年6月には英アマゾンでも開始しており、日本は3カ国目となる。なお、日本での立ち上がりの状況は「野菜や精肉などの“生鮮品”が人気になっている」(同社)という。

オイシックスの通販サイトに専用コーナー「大地を守る会」を開設した

オイシックスと大地を守る会が経営統合へ

また、食品EC業界では再編がすすんでいる。
オイシックスは4月1日に、大地を守る会とグループ会社化した。近い経営理念とビジネスモデルを持つ一方、顧客層が異なるため顧客の食い合いが少ないと判断。両社のグループ会社化によって売上高は337億円となり、食品宅配のトップ企業が誕生した。オーガニック食品市場は食品市場全体の中では小さく、オーガニック食品の一般化を目指すには流通総額1000億円を超える必要があると見ており、マーケットをけん引する事業規模を目指した。
今秋、両社は経営統合し新会社を設立する。新会社の会長に大地を守る会の藤田和芳社長が、社長にオイシックスの高島宏平社長がそれぞれ就く。新会社の理念を「これからの食卓、これからの畑」に決定し、「より多くの人がよい食生活を楽しめるサービスを提供すること」や、「食べる人と作る人を繋ぐ仕組みが持続可能であるよう進化すること」などのミッションを掲げた。経営統合に伴う社員のリラは行わず、スタッフを再配置する。

大地を守る会の野菜をオイシックスで販売

今秋の経営統合を視野に入れ、両社は連携をすすめる。オイシックスは4月1日から、自社サイト内で大地を守る会の商品の販売を開始した。物流の検証やマーケティングデータの分析を行うことが狙いだ。
オイシックスの通販サイトに専用コーナー「大地を守る会」を開設した。スタート時の品ぞろえは35アイテムで、野菜セット「畑まるごとセット」や「有機新潟コシヒカリ白米」、「達人・早藤義則さんの黄金柑」などの青果や米、果物をラインアップした。商品は両社の品質基準に合致するもの中から、オイシックスが売り上げ拡大を目指したい果物や、これまでに取り扱いが少なかった有機JASの米などを選んだ。配送はオイシックスが手掛け、神奈川・海老名に構える配送センターから出荷する。大地を守る会の物流センターを経由して納品する仕組み。

立ち上がりは好調で、5週連続で売上・利益で目標を達成野菜セットや米が完売になったという。会員向けメルマガでの告知や、トップページのカテゴリ選択の「目的から選ぶ」の項目に表示して導線を設けるなど、特設ページの認知度向上を図ったことが奏功したようだ。5月からは品ぞろえを60アイテムに増やし本格化している。

経営統合に向けて連携を強化

今後は、マーケティングや商品調達、配送センターなどで連携を図る。オイシックスは非食品の単価が低いことや、売り切れによる機会損失が課題となっていたという。
大地を守る会の石けんやシャンプーなどの品ぞろえが充実しており、商品の相互供給をすすめることで非食品単価の改善で月間の利用頻度や購入金額の向上を見込めると予想。また、大地を守る会は2500軒の契約生産者ネットワークを保有しており、生産者ネットワークの拡大によってオイシックスのサプライの安定化を見込む。

配送センターのノウハウの共有化をめざすことで、自社配送網を持つ大地を守る会と統合することで配送方法を多様化できると見る。資材コストについては2000万円の削減と、ヤマト運輸に依存していた配送リスクの軽減を図る。このほか、顧客数の増加による決済手数料のボリュームディスカウントやカスタマーサポートの共有化などで3000万円のコスト削減が可能となる。
このほか、大地を守る会に出資するローソンがオイシックスの株主になったことを受けてローソンとも協議を開始。ローソンにおける料理キットの販売や、製造工場や配送網の相互連携などを検討、移動販売など新しい事業モデルの検討も進めていくという。

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