Sat, February 24, 2018

押さえておきたい「LINE」のEC活用法 第4回 【LINE カスタマーコネクト】

当コーナーでは、国内に7000 万人の月間アクティブユーザーを抱える「LINE」の活用法について、LINE の担当者に解説してもらいます。今回とりあげるのは「LINE カスタマーコネクト」です。カスタマーコネクトはコールセンターなどの顧客対応に「LINE」のプラットフォームを使うというもので、企業は顧客からの問い合わせに「LINE」で対応することが可能になります。LINEでは昨年11月からテスト運用を開し、第1弾はアスクルが導入しました。その後、今年4月から本格ローンチを始めています。サービスの特徴などについてLINE AdBusiness センターAD 事業室の垣内隆志氏に説明してもらいます。

LINE LINE Ad Business センター AD 事業室  垣内 隆志 氏

どういったことが可能になるの?

カスタマーコネクトには大きく4つのサービスがあります。1つ目は「Auto Reply(オート・リプライ)」です。これはAI(人工知能)を使ったチャットボットで、人を介さずに自動応答するというものです。2つ目の「Manual Reply(マニュアル・リプライ)」もチャット対応ですが、こちらはオペレーターが人力で対応します。「Auto Reply」と「Manual Reply」はどちらも「LINE」を通じてテキストベースでチャット対応をするという点は同じで、人が介在するかどうかの違いがあります。

そして3つ目のサービスは「LINE to Call」で、ユーザーは「LINE」経由で無料電話を掛けるというものになります。4つ目の「Call to LINE」はユーザーの電話番号からIVR(自動音声応答)やオペレーターからユーザーのLINEアカウントにメッセージを送信してチャットサポートに誘導するという仕組みです。「LINE toCall」と「Call to LINE」はどちらも「LINE」だけでなく電話も活用するという特徴があります。

「Auto Reply」ではAI が自動で返信 し、ユーザーの自己解決を促す

使い方としては例えば「Auto Reply」でよくある質問に対して自動応答によって前さばきをし、それでは解決しないような込み入った内容の問い合わせは「ManualReply」で有人対応に切り替えます。この際、対応するオペレーターは切り替わる前の「Auto Reply」での応対履歴を把握できますので、比較的スムーズに顧客対応に入ることができます。

カスタマーコネクトを最初に導入いただいたアスクルさんは個人向け通販の「ロハコ」の問い合わせ対応として、「Auto Reply」と「Manual Reply」を使われています。AI を使った「Auto Reply」では、問い合わせに対する正答率が8~9割です。内容が似通った問い合わせが多いため、正答率は高くなっています。それでも新商品や新サービスに対する質問に答えられないことがあるので、その都度チューニングして改善を図っています。

「Auto Reply」での運用を始める際は、既存のFAQのデータを活用して回答を作ることが多いです。FAQで用意されている回答を「LINE」の画面上でどう見せるか、AIを提供するベンダーを交えて検討してもらいます。回答の文章も長くならないよう簡潔なものにしてもらうといったことも必要です。

「Manual Reply」はオペレーターが 「LINE」上でチャット対応を行う

電話を使うサービスはどんな感じ?

「Auto Reply」「Manual Reply」などのチャットでも解決しないような場合であれば、「LINE to Call」を使って直接電話でやりとりします。チャット中に「LINE」のトーク画面に「電話をしませんか」というようなメッセージを送り、ユーザーがボタンをタップすると音声通話に切り替わります。
「LINE to Call」は、「LINE」内だけでなく、ウェブサイトに専用のボタンを設置してそこから電話をかけることもできます。Wi-Fiがつながる環境であればどこからでも電話ができるため、例えば越境ECをしている会社が海外からの顧客の問い合わせに対応する場合にも使えます。「LINE to Call」での通話はIP電話を使うためフリーダイヤルより安価な料金で提供しています。

「LINE to Call」ではIP 電話を使い 低コストの無料通話が可能となる

4つ目のサービスの「Call to LINE」は電話をかけたユーザーが希望した場合に、発信者の電話番号と「LINE」でユーザーが登録している電話番号をマッチングして、そのユーザーのLINEアカウントにメッセージを送ります。ただし、ユーザーが電話番号を非通知でかけた場合やLINEで年齢認証をしていない場合は紐づけることができません。
「Call to LINE」は営業時間外の問い合わせを「LINE」でのチャット対応に切り替えたり、電話が混み合っている場合に「LINE」に誘導してAIでの自動応答によって気軽に対応できれば、企業は機会損失を回避できますし、ユーザーも待ち時間のストレスが減ります。また、ユーザーの許可を得て「LINE」での応対に切り替えた際に、その企業が持っているLINEアカウントに友だち追加されますので、企業側からすると自社アカウントの友だちを増やすことにもなります。
この「Call to LINE」ですが9月に「進研ゼミ」で導入されました。進研ゼミのケースでは、「Call to LINE」に加え、「Auto Reply」「Manual Reply」を組み合わせており、フリーダイヤルから「LINE」に誘導し、AI による自動応答と、オペレーターによる有人対応といった具合にチャットで問い合わせに応じています。

「Call to LINE」はIVR やオペレータ ー経由で「LINE」にメッセージを送信

どのサービスを導入すればいいの?

カスタマーコネクトは昨年11月にテスト運用を始め、今年4月から本格提供を行っています。ここにきて導入企業が徐々に増え始めており、今は10社程度にご利用いただいております。

カスタマーコネクトの提供にあたって、LINE では販売・運用を行う企業16社に加え、AIやチャットツールを提供する複数の企業とそれぞれパートナー契約を結んでいます。導入を希望される場合、こうしたパートナー企業にご相談いただいても結構ですし、LINE社に問い合わせいただくとその企業の要望をヒアリングし、最適なパートナー企業をご紹介させていただきます。

もちろんどのサービスを導入するかは企業ごとに異なります。まずは「Auto Reply」や「Manual Reply」でチャット対応だけを行いたいという企業もあります。あるいは電話の呼量を減らしたいという企業のケースでは、そもそもウェブ上で掲載しているFAQを見てくれないという課題があり、それを解決する狙いから「Callto LINE」と「Auto Reply」を組み合わせるという判断をされました。とりあえず「Manual Reply」を使い、有人によるチャット対応を開始し、問い合わせが増えると「Auto Reply」を組み合わせて、人手を減らすという運用方法もあります。そのほかには4つのサービスすべてを導入したいという企業さんもあり、その場合はまず「Auto Reply」と「Manual Reply」を導入し、段階を踏んで「LINE to Call」と「Call to LINE」まで広げていくといった運用をされています。

カスタマーコネクトでは提供す る4つのサービスがシームレス に連携している

LINEアカウントって必要?

企業がカスタマーコネクトを使うにあたって、LINEアカウントを開設している必要があります。LINE アカウントはいくつかありますが、カスタマーコネクトに対応しているLINEアカウントは3種類です。「API 型公式アカウント」「ビジネスコネクトアカウント」「カスタマーコネクト専用アカウント」となります。
3つのアカウントのうちカスタマーコネクト専用アカウントは月額25万円から利用できるため最も安価ですが、有効友だち数や使える機能が限られてしまいます。例えばAPI型公式アカウントとビジネスコネクトアカウントであれば有効友だち数は無制限ですが、カスタマーコネクト専用アカウントは10万人までです。また、カスタマーコネクト専用アカウントはスタンプの配信やタイムライン投稿などができないため、販促という面ではできる範囲は限られてきます。

企業の戦略上必要な機能を検討してもらい、費用対効果を考慮してアカウントを選択してもらえればと思います。ちなみに前回の連載で取りあげたビジネスアカウントの「LINE @」ではご利用いただけません。

効果的な運用方法はあるの?

カスタマーコネクトの運用において、公式アカウントなどでスタンプキャンペーンを実施している企業さんは効果が出やすいと思われます。

そもそもスポンサードスタンプやダイレクトスタンプは、新商品投入やキャンペーン展開に合わせて友だちを増やすために配信するパターンが多いです。そうして増やしたフォロワーがその企業のアカウントのメニュー画面にある「質問できます」というボタンを通じて実際に質問するというケースが非常に多いです。

単純に問い合わせを受けているだけであれば、仮に1日300件の利用だったのが、スタンプで友だちを増やしてメッセージの配信で注意を喚起した後では、問い合わせが一気に7000 や8000件にまで膨らみます。多くはAIが自動応答するのですが、問い合わせが増えるということはそこからコンバージョンや次のアプローチなどにつなげることが可能になります。
つまり単純に広告を出して終わるのではなく、カスタマーコネクトを絡めることによって興味を持った人にワンプッシュするきっかけになるのです。カスタマーコネクトはもともとECやテレビ通販におけるマーケティングと、コールセンターの運用を意識して構築している面があるので、ECにははまりやすいと思います。コンバージョンやリピートにつながる接点が「LINE」上に確保されるという点は大きいと思います。

結局どんなメリットがあるの?

カスタマーコネクトでは従来の電話対応をチャットに振り分けるため、場合によってはオペレーターなどの人手が減らせるのではないかと期待されることもあります。しかしながら、その効果については現時点で明言できるデータはありません。実際、今のところは「LINE」にチャネルを作ったことで電話量が減ったという事例はないのです。
むしろ、普段電話をしないような“サイレントカスタマー”が「LINE」を通じて問い合わせをしているというのが実情だと思われます。見方を変えると、電話を使うユーザーとは別の層を掘り起こしているということです。質問をしなかった層が、アクティブな層に変わっているとも言えるでしょう。そうした層と接点を持ち、スタンプのような広告配信機能と組み合わせて使うことで攻めのコールセンターを構築することができるのではないでしょうか。

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