ANA グループが新たな越境EC サイト立ち上げ ――「商品事前登録」で最短5日で配送

12 月14 日に参画するメーカーを招いて都内で発表会を開催(前列左から4人目がACD の佐藤貴夫CEO)

ANAホールディングスが出資するACDは12月15日、中国向けの越境ECサイト「全日空海淘(ぜんにっくうはいたお)」を開設し、スマートフォン向けアプリでの提供を開始した。
同サイトはACDが保有する海外向け商品事前登録型受発注システムの「EKKYO.NET」を採用したBtoC越境ECサービスで、メーカーなどがサプライヤー企業を通じて登録した商品を中国に向けて販売するもの。スタート時は千趣会、資生堂、テレビ東京ダイレクト、ライオン、DHC、アース製薬、永谷園といった国内400社以上のブランド、2万SKUの商品を取り扱っていく。顧客層については、特に絞り込みは行っておらず、若年層から年配まで幅広く開拓していく。
従来の中国向け越境ECでは、現地の大手仮想モールに出店したり、現地法人を設立するような手間があったが、同サイトではメーカーが出品する商品の情報をEKKYO.NETを通じて日本国内で中国の税関・商検局に登録することが可能。航空搭載が可能であるか、現地の法令を順守しているかなどのチェックを受けて、事前に中国税関での販売許可を得ることができる。許可が下りた商品からサイト上で販売していく仕組み。中国の消費者側も、購入に当たっては本人確認のための中国居民身分証番号が必要となり、代理購入による転売被害などを防ぐようになっている。
メーカーは受注後にACDの指定する国内の倉庫に商品を配送し、そこからはANA航空便によって中国に直送。商品の登録販売許可をすでに受けていることから、現地の税関で荷物が滞留することなく通関作業がスムーズに行われ、注文から最短5日間で顧客に届くようになっている。
物流に関しては、ITで制御したACDの倉庫で事前の申告内容と合致する商品の梱包作業を実施。顧客への配送に関してもANAグループで国際エクスプレス事業を手がけるOCSが担当する。「日中間の越境ECで近年問題となっているのは、関税未納をはじめ、保税区倉庫での梱包作業時に偽商品や輸出禁止品とすり替えられること」(ACDの堤哲寿COO)と説明。同サイトではすべてANAグループの手によって日本国内から現地消費者まで商品を流通させることで安全面を担保している。関税に関してもACDが通関時に「立て替え納税」する仕組みで、後に顧客が関税込みの商品価格を支払うことで回収するようになっており、個人間輸入などとは違って関税未納が発生しないスキームになっているという。
なお、商品価格については現地市場の相場を見ながらメーカーとACDが話し合って決定するようになっている。輸送費をはじめ翻訳コストなどがかかることからおおむね上代の50%程度を上乗せした価格になる見込み。

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SNSでの集客を計画

サイト内のレイアウトに関しては、あえてブルーといったANAカラーで統一することは行っていない。出店者が持つそれぞれのコーポレートイメージを表現しやすくするため、モノトーンカラーでシンプルなつくりを徹底した。

実際に、立ち上げ時の目玉として特集している人気アニメの「エヴァンゲリオン」の商品だけを取り扱った「EVANGELION STORE」ではキャラクターごとのオフィシャルイラストなどを使用して作品の世界観を反映させたレイアウトで商品を掲載。商品やキャンペーン情報だけでなく、新作映画の製作状況も発信している。
また、ページ内では中国で需要が高いとされる生中継動画コンテンツの利用も可能。もう一つの目玉特集として取り上げている植物由来成分のヘアケアブランド「ボタニスト」についてもコンセプトムービーなどを掲載しながら訴求している。
集客については「WeChat(ウィーチャット)」といった中国で普及しているSNSを活用していく予定。「全日空自体も中国には70万人の『ウェイボー』会員がおり、様々なプロモーション方法を計画している」(堤COO)とした。
今後については、タイ大手の卸商社であるSAHAグループや、韓国の銀行である韓国KEB HANAと連携して、それぞれ現地向けの越境ECを同様の形式で開始する計画。また、日本向けの輸入型の越境ECサービスとしても展開する考えで、フランスよりブランド商品やワインを直送で購入できるようにしていく見通し。

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