Sat, February 24, 2018

“使う楽しさ”の体験を演出する 成功する「インスタ映え商品」の開発

写真共有SNS「インスタグラム」が拡がり、2017 年はSNS 上で多くの評価を得る「インスタ映え」が流行語大賞となった。「インスタグラム」はユーザーが投稿した写真をきっかけに認知度の向上が図れることから新規顧客層との接点の1つとして期待されている。すでに「インスタ映え」を意識した商品開発に注力する取り組みも出ている。開発現場では、商品を使ったユーザーの体験を演出するさまざまな工夫を行っている。

「サプリ」を新しい角度から提案する

【事例① オルビス】

オルビスは17年11月、キラキラした見た目から宝石をイメージさせる「ジュエリーサプリ」を発売した。これまでサプリメントといえば「悩み」に対応するネガティブな側面がクローズアップされることが多かった。だが、オルビスがこれまで重視してきた開発コンセプトは、機能性を担保しつつ「楽しみながら」「おいしく」とってもらうこと。その強みを活かし、若年女性の感性に寄り添い、新たな接点を築くことを目指した。開発過程では、若年女性の間でトレンドになっている〝インスタ映え〟も意識した。

「楽しくおいしく」がコンセプト

キラキラしたシームレスカプセルにさ栄養素を入れ た「ジュエリーサプリ」

〝インスタ映え〟を意識しビジュアルインパクトのある 広告を展開

サプリには〝薬っぽい〟〝無味無臭〟といったイメージがどうしてもつきまとう。中高年層が歳を重ねるごとに現れ出した身体の悩みを緩和する目的で飲むケースが多いためだ。「友達とシェアして」なんてとり方は稀。「1日○粒とらなければいけない」といったわずらわしさも購入のネックになる。かつては言い知れぬ〝怪しさ〟もあった。

オルビスも創業時からサプリは扱ってきた。ただ、こうしたサプリと一線を画し、過去から現在にいたるまでポジティブなイメージを持たせることに腐心してきた。化粧品に軸足を置き、女性層を中心に顧客基盤を築くためだ。このため創業時から商品開発は楽しみながら、おいしく摂れることを重視してきた。
例えば、ロングセラー商品の「タブレットシリーズ」はストロベリー(鉄分と葉酸)やレモン(ビタミンC)、ヨーグルト(カルシウム)といった味で手軽に栄養成分をとれるもの。置き換え食品「プチシェイク」シリーズもプロテインの風味が強い商品が少なくない中、さまざまな味のバリエーションを楽しみながら飲めるよう工夫してる。中には、飴やグミといった形状のものもある。「女性はおいしいほうが嬉しく、続けられる。続けることができれば効果実感を得られる。生活になじむ形で提供し、健康や美容をサポートできるかを考えてきた」(商品企画部・加藤由衣課長)と考えるためだ。

そのオルビスが、若年女性と新たな接点を築くことを目指し開発したのが「ジュエリーサプリ」だ。

シェアしたくなるような付加価値

ここ最近、若年女性の間ではジャーサラダや、「BURUNO」のマルチスレート(天然席で作られた皿)、ホットプレートといった雑貨が人気だ。事業者側は、食べることで健康になれる料理を提案しつつ、顧客が人に見せたくなったり、SNSにあげたくなるような演出にも力を入れるこのことが商品の〝付加価値〟にもなっている。
「楽しく」「おいしく」を重視するオルビスでもこれまで飴やグミといった商品設計にも積極的に取り組み、女性が続けやすいサプリを提案してきた。ただ、最近では同様の形状のサプリも増え、独自性も希薄化していた。おいしく、楽しみながら栄養を補給できるものの、サプリを友人や知人とシェアしたり、その日の気分で摂取量を調整できるような気軽さを演出するのは容易ではない。こうした中、これまで獲得できなかった若年女性にリーチするため、開発過程で意識したのが〝インスタ映え〟をはじめとするSNSだった。

宝石のようなデザインで〝インスタ映え〟

「ジュエリーサプリ」(120 粒、税込1296円)の見た目は、キラキラした宝石を思わせる透明のカプセル。シームレスカプセルでこれを表現した。

味は、ピーチ風味の「ピーチルビー(ビタミンD)」、レモン風味の「レモンサファイア(ビタミンE)」ブラッドオレンジ風味の「マンダリンガーネット(コエンザイムQ10)」、マスカット風味の「マスカットエメラルド(ビタミンK)」の4種。フルーツ味にミントの風味を組み合わせたカプセルは、噛むとぷちっとつぶれミントの清涼感が広がる。摂取量も明確な決まりはないが、10粒で成人女性が1日に必要な栄養量を摂ることができる。

一方、苦労したのが品質の問題だ。通常、サプリの容器は、遮断性の高いアルミパウチなどが使われるケースが多い。光の影響を受けにくいためだ。だが、〝インスタ映え〟を意識する中で、商品は一部が中身が見える透明のパウチを採用。その上で品質も確保した。

新規購入でも複数買い

商品は、発売2週間ほど前から始めた先行販売で想定を超えた反響で一時販売を休止する人気。11 月23 日の本格販売でも既存顧客の中で食品の新規顧客として購入する層の獲得が進んだ。

購入層も中心顧客層の30代前半より若い層。一般的に新規顧客の多くは1商品の〝お試し買い〟が多いが、バリエーションや味のラインアップに広がりもあり、〝インスタ映え〟に対する意識からか複数買いも多かった。

プロモーションでは、30代女性向けのライフスタイル情報誌「サンキュ!」が行ったリアルイベントにブースを出展。インスタグラマーやブロガーの参加もあり、SNS上で広がった。若年層向けのジュエリーブランドである「カナル4℃」とのコラボレーション企画でも「カナル4℃」の店舗を来ルを展開。投稿をイメージさせ、SNS での拡散を狙った。

「新しい提案」で接点創出

商品開発を担当した商品企画部の加藤由衣課長(写真㊧)と谷村英里子主任

オルビスが〝インスタ映え〟で狙ったのは、新しい顧客と接点を築くことだ。「サプリで栄養素をとるというのは当たり前の価値。違う見せ方、選び方ができるなど、どうすれば商品の価値をもっと感じてもらえるかを考えた」(商品企画部・谷村英里子主任)という。「〝かわいい〟を入口にしても、健康や美容に興味を持ってもらえるきっかけになれば」(同)と話す。
「ジュエリーサプリ」に限らず、さまざまな角度から既存商品も見直してもいる。例えば、発売を予定する洗顔フォームは、女性用と男性用ボトルを並べることでハート型のマークができるような遊び心のあるもの。季節商品のルームソックスも贈答品として購入される傾向が多いことから、包装帯を通常のものからクラフト紙に変え、「ほっと、心地よい冬の日々になりますように」など複数のメッセージを添えるデザインに変えた。「中身が同じでもパッケージや訴え方を少し変えるだけで工夫ができる。新しい使い方の提案ができれば、個人利用から家族利用に広がったり、友人にあげたくなったりする。今まで使っていたものの価値を違う位置から見れるのではないか」(同)と話す。

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