Sat, July 21, 2018

ドラマ、漫画など独自 のセンスで話題作り 【消費者を引き込むコンテンツマーケ】

ブログや動画、漫画といったさまざまなメディア・媒体を活用して消費者に訴えかけるコンテンツマーケティング。ECの世界でも以前からよく取り入れられている手法ではあるが、ヒット企画を生み出すまでには多くのハードルがある。相手の心をつかむために、そのクリエイティブには純広告とはまた違った“遊び心”を入れることが不可欠とされており、時事のキーワードと結びつけたものや、時には“炎上”覚悟の大胆な内容など各社の試行錯誤が続いている。今回は、直近の取り組みの中でもとくに独創性を持ったアイデアで展開する注目企業の事例を見てみる。

ツイッターで「本格ドラマ」を配信

ツイッターで配信した船橋屋のオリジナルドラマ

くず餅などを製造・販売している老舗和菓子店の船橋屋ではSNS を使ったマーケティングに力を入れている。同社では、実店舗をはじめ自社通販サイトや仮想モール、カタログなどでの通販事業を展開している。今回の取り組みでは2017年12月初旬から2018 年1月にかけて、ツイッター上でのオリジナルドラマ配信を行い、ブランドそのものの知名度向上と合わせて、ウェブでの新規顧客取り込みに向けた施策として展開した。
企画自体はPR関連会社からの提案をもとに始めたもので、船橋屋を舞台にして制作したミニドラマ「家族になれたら」を、毎週水曜日と土曜日の午後10時から1回2分の尺で全10話を5週間に渡って、同社や出演者のツイッターアカウント限定で公開したという。
ドラマには俳優の渡辺哲さんや山本圭祐さん、タレントのてんちむさん、「劇団EXILE」メンバーの八木将康さんなどが出演。渡辺さんが演じるくず餅職人の親方と娘役のてんちむさんの親子模様を軸に描いた家族ドラマとなっており、てんちむさんの恋人役であるバンドマンの八木さんが、二人の結婚を認めてもらうためにくず餅職人として弟子入りするというストーリーになっている。
ドラマ内では、船橋屋本店の製造現場や店舗などがそのまま舞台となっており、同社の屋号やくず餅も様々なシーンで登場。実際に出演者が食べたり、作ったりするシーンを通じて視聴者にくず餅の魅力を伝えていく展開となっている。
ドラマの宣伝に向けてはポスターのほか、実店舗内で告知POPを配置し、新たにフォローしてくれた顧客に対してオリジナルのノベルティグッズをプレゼントする企画などを実施していった。「制作スタッフも映画を撮っているような人たちが揃っており、ドラマでありながらもワンシーンワンシーンが映画のように感じられた。ツイッターの中だけで公開するのは本当に勿体ないような見ごたえのあるものだった」(同社)と語るように、その内容のクオリティの高さから大きな反響を呼び、再生回数は30万件以上を突破した。
同社のツイッターのフォロワー数も以前は月平均10人程度だったが、ドラマ配信を開始した12月には1500 人以上まで増加し、コーポレートサイトの検索数も以前の150%まで拡大。特にこれまで課題としていた若年層への認知拡大が進んだという。
ECへの送客に向けた取り組みとしては、ドラマと並行してツイッター内で通販サイトのURLなどを明記した広告配信を行ったほか、リツィートによるくず餅のプレゼント企画などを実施。結果的に通販サイトでは、放送開始翌月の1月の通販売上高が前年同月比6.7%増と伸長し、それ以降も数カ月間で前年同月以上の売り上げを記録することができた。
今後のツイッタードラマの活用については、現時点では正式に決まっていないものの、今回とはまた別の切り口で活用することも模索。発酵食品であるくず餅には乳酸菌が含まれていることから、健康面から訴求できるような認知拡大の内容でもできると考えているようだ。

同社では、「若者に身近なツイッターからドラマを通じて行うくちコミ活用の最新版だと思う。出演者の方もフォロワーを多く抱えていたので、今回はそれぞれのアカウントを通じて配信し拡散できたので、当社を知らなかった層にもたくさん見てもらえることができた」とした。

ウェブ動画で機能性を訴求

衣料品の機能性を訴求した「ファビア」の特別ムービー

オットージャパンは、30代の働く女性をメインターゲットにしたオリジナルのファッションブランド「FABIA(ファビア)」で、ファッションアイテムの機能性を分かりやすく伝えるウェブムービーを制作・配信したほか、ムービーの出演者が登場するリアルイベントも仕掛けて話題性を高める工夫を凝らした。
同社は5月8日、「ファビア」で“働く女性にうれしい機能服”として撥水と汗ジミ防止、防シワなどのファッションアイテムを通販サイトとリアル店舗で販売開始。これに合わせて、5人のイケメンと独身OLによるラブストーリームービー「FABIAな君に恋してる」を制作し、機能服の認知拡大を図った。
ムービーの主人公は、毎晩遅くまで仕事に追われ、おしゃれを忘れていることに危機感を感じている独身OLのケイコで、トレードマークの野暮ったいパンツスーツを脱ぎ捨ててオシャレに目覚めると、彼氏だけでなくイケメンの上司や部下、花屋の店員にまで言い寄られる内容で、イケメン5人を魅了するケイコの服選びに隠された“モテる秘密”が明かされる「ドタバタな花屋編」や「キメキメな上司編」「ムキムキな同期編」「ダメダメな部下編」「ゴロゴロな彼氏編」の全5編を配信している。

「ファビア」では動画の登場人物が勢ぞろいするイベントも開催した

5つのムービーはすべてケイコの目線で撮られているため、視聴者はケイコが誰なのか分からないようになっており、同社ではケイコを演じている女性タレントを当てる「モテモテな彼女は誰?総額100万ポイント山分けキャンペーン」も実施してムービーの視聴を促した。
また、「ファビア」の二子玉川ライズ店(常設店)と渋谷駅・東急東横店(期間限定店)ではムービーに登場するイケメンをひとりずつ招いたイベントを開催。来店者がイケメンゲストとツーショット写真を撮影できる企画も実施した。
同社では「ファビア」の通販サイトでケイコの正体を発表するのと同時に、都内でケイコが登場する新作発表会も開催。同イベントにはケイコを演じたお笑いコンビ、相席スタートの山﨑ケイさんと、相方の山添寛さん、イケメンたちも登壇し、「ファビア」の機能服やムービー撮影の裏話などのトークで盛り上がり、ウェブを中心に数多くのメディアで商品を露出することに成功している。
また、今回の機能服のひとつで、撥水性に優れたアイテム“撥水する美人服”シリーズ4アイテムの水を弾く効果をより多くのユーザーに実感してもらうため、当該商品を購入して撥水効果に満足しなかった場合は商品代金を全額返金するキャンペーンも期間限定で実施した。

漫画とコラボした販促実施

千趣会は商品を身近に感じてもらえるように漫画とコラボし

千趣会は、夏の人気商品であるベルメゾンオリジナルの汗取りインナーブランド「サラリスト」シリーズのプロモーションの一環として、ウェブ限定のオリジナル漫画を配信している。
同社では、汗に大きな悩みや不安を抱えている人に「サラリスト」シリーズをより身近に感じてもらえるよう、汗に悩む男女の恋愛模様を漫画化した「大汗ラブストーリー」全3話を当該商品の特設サイトと、祥伝社の無料漫画サイト「FEEL FREE」で限定連載するほか、交通広告も展開し、汗ジミや汗の臭いに悩む人の心強いインナーとして認知拡大と販売促進を図っている。

「大汗ラブストーリー」はイラストレーターの嶽まいこさんが描く、汗っかきの男女が暑い夏に繰り広げる甘くて切ないラブストーリーで、主人公の夏野さらと意中の男性、脇田健治が“汗っかき”という共通の悩みを「サラリスト」が解消するとともに、ふたりの距離を縮めていく内容だ。千趣会によると、漫画とのコラボで話題性を高める狙いがあるのに加え、漫画は視認性が高いほか、汗に悩む男女をあまり生々しくならないように伝えられることから、今回のプロモーション手法として選んだという。

「サラリスト」特設サイトと無料漫画サイトでは第1話を4月23日、第2話を5月8日、第3話を同月15日に配信。また、漫画のビジュアルを使った中吊り広告を東京メトロの丸ノ内線とJR西日本の環状線ADトレイン323系で展開し、ウェブ誘導を図ったという。販促面では対象の「サラリスト」商品を最大10%オフで購入できるまとめ買い割引を実施したほか、通販チャネル以外では、輸入生活雑貨店の「プラザ」や「ミニプラ」で新商品の綿100%のサラリストを販売し、一定の成果を得ているようだ。

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