Tue, March 26, 2019

100億円還元キャンペーン、わずか10日で終了――実店舗向けスマホ決済の「PayPay」の今後は?

12月4日に開始した「100億円あげちゃうキャンペーン」。当初は約4カ月 実施の予定だったが、わずか10日間で終了に(写真はスタート時の記者会 見でキャンペーンの内容を説明するPayPay の中山社長)

ヤフーとソフトバンクの合弁会社でQRコードやバーコードを使った実店舗向けのスマートフォン決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を展開するPayPayが12月4日から開始した「PayPay」の利用者に対し、決済額の20%、さらに一定確立で全額相当を還元する総額100億円を原資とした大規模なキャッシュバックキャンペーン「100億円あげちゃうキャンペーン」がスタートからわずか10日間で終了した。当初から原資の100億円を使い切った時点で終了するとしていたが、キャンペーンは2019年3月末までの約4カ月を予定していた。
同キャンペーンのスタート直後から、「PayPay」を決済手段として導入している家電量販店では連日、キャッシュバックを求めて来店客が殺到し、ある種の“お祭り騒ぎ”となっていた。このキャンペーンの目的である「PayPay」の利用に必要な専用スマホアプリのダウンロード者数および同決済の利用者の増加という意味では今回の試みは一定の成果を得られたもよう。だが、“劇薬”である同キャンペーンの終了後に獲得した利用者をいかにつなぎ留められるかが、群雄割拠する実店舗向けスマホ決済サービスのシェア争いを勝ち抜く上で、大きなポイントとなりそうだ。

買い物のたびに毎回、20%還元

PayPayでは「100億円あげちゃうキャンペーン」を12月4日からスタート。同決済の利用促進および加盟店拡大が狙いで「PayPay」を利用して決済した場合、決済額の20%を「PayPayボーナス」とよばれるキャンペーン用の残高を月の上限を5万円までとして還元。さらに40回に1回の確率で「PayPay」で支払った額の全額(1回10万円が上限)を同じく「PayPayボーナス」で還元。なお、ヤフーの有料会員「Yahoo !プレミアム会員」は20回に1回、携帯電話キャリアのソフトバンクおよび「ワイモバイル」の利用者は10回に1回と全額相当分の還元が当たる確率を高くした。なお、還元ポイントは即時ではなく、およそ1カ月後に付与する形としている。

今回の大型キャンペーンの実施にあたって開催した記者会見でPayPayの中山一郎社長は同試みの狙いについて「PayPayをもっともっと多くの方々に利用頂けるよう大型キャンペーンを行うことにした。キャンペーンで『PayPay』の新規ユーザーが獲得でき、利用を促進して利用者が増えることで加盟店も増える。このキャンペーンでユーザー、加盟店双方でナンバーワンを目指したい」とした。また、PayPayに出資するソフトバンクの榛葉淳副社長も「このキャンペーンに合わせて加盟店の営業を強化する。すでに数カ月前から我々の非常に優秀な営業の幹部がPayPayにジョインし全国の加盟店に営業を進めているが、さらに営業の人数を増員する。また、全国のソフトバンクショップやワイモバイルショップへの来店者に店頭のスタッフが『PayPay』の説明やアプリのダウンロードのお手伝いを行っていく。ソフトバンクグループが総力を挙げてこのビックキャンペーンをトリガーに一気呵成にPayPayを日本一のQR決済カンパニーに育てたい」とし、さらにヤフーの川邊健太郎社長は「日本に住むすべての方々、日本に訪れるすべての方々にキャッシュレスの利便性やメリットを享受して欲しい。これは17年前に『ヤフーBB』を通じて日本をブロードバンド化したヤフーとソフトバンクだからこそできる我々にしかできない仕事。もう1つのヤフージャパンを作る意気込みでPayPayをこれから盛り上げていきたい」と意気込みを語り、競争が激化するQRコードを使った実店舗向けのスマートフォン決済サービスで、2018年10月にスタートと他社サービスよりも後発ながら、インパクトの強い大胆なキャッシュバックキャンペーンで頭1つ抜け出すための起爆剤としたい狙いだった。

100億円は10日しか持たず…

その「100億円あげちゃうキャンペーン」だが、20%の還元または運が良ければ事実上、タダで商品を買えるという強烈で分かりやすいメリットからスタート直後から大反響。導入するビックカメラなど家電量販店では連日、多くの来店客がPayPayでの決済を待つ長い行列ができており、2019年3月31日まで実施するとしていた同キャンペーンの早期の終了を予感させていた。

そして開始から10日後の12月13日にPayPayは「本日還元額が上限の100億円相当に達したため、12月13日午後11時59分にキャンペーンを終了します」と発表。Yahoo !プレミアム会員やソフトバンクとワイモバイルのスマホユーザー向けに実施していた全額還元の当選確率を上げるキャンペーンも同時に終了。PayPayでは今回の早期でのキャンペーン終了について「皆様に予想を上回るご愛顧頂き、ありがとうございます」とし、狙い通り、かなりの手ごたえがあった模様だ。

TポイントにかわりPayPayを付与

一定の確率で決済額の全額分を還元するなど大胆 なキャンペーンを行い、反響を呼んでいた(画像 は「PayPay」のアプリ画面のキャプチャー)

とはいえ、今回のキャンペーンはあくまで“劇薬”だ。キャンペーンの終了でPayPay利用時の還元率が決済利用金額の0.5%となった通常時においても、今回のキャンペーンでつかんだ大量の利用者をいかに継続的に「PayPay」で決済させるかが本当の勝負だ。

その“次の一手”の一環として、これまでは実店舗向けのみの決済サービスとして展開してきたが、2019年2月から「PayPay」をオンライン決済に対応させる。まずはヤフーが運営する仮想モール「ヤフーショッピング」およびネット競売「ヤフオク!」に導入し、同4月にはヤフーグループのアスクルが運営する日用品通販サイト「LOHACO(ロハコ)」に導入する予定。

オンライン決済にも対応させることでネット販売実施事業者など「PayPay」の加盟店舗拡大やEC決済でも使用できるようにすることで利用可能な売り場を増やして一般ユーザーの利用増を狙う考えのようだが、このオンライン決済対応に合わせて2019年4月から、ヤフーが運営する仮想モール「ヤフーショッピング」やネット競売「ヤフオク!」、またグループのアスクルが運営する通販サイト「ロハコ」などでの買い物時に、ヤフーの有料会員に追加付与しているインセンティブをこれまでの使用期限や使用用途を制限した「期間固定Tポイント」から「PayPay」のボーナス用電子マネー「PayPayボーナス」に切り替える。

つまり、現状、ヤフーの有料会員「ヤフープレミアム会員」には購入額の1%分の「通常Tポイント」と4%分の「期間固定Tポイント」を、ソフトバンクおよびワイモバイルの携帯電話契約者には購入額の1%分の「通常Tポイント」と9%分の「期間固定Tポイント」を付与しているが、2019年4月以降は有料会員および携帯電話契約者には1%分の「通常Tポイント」はそのままだが「期間固定Tポイント」の代わりに「PayPayボーナス」をそれぞれ4%分と9%分、付与する形に改める。

これまでヤフーが実施してきた有料会員およびソフトバンク、ワイモバイル利用者に実施してきた「期間固定Tポイント」のバラマキは「ヤフーショッピング」などの流通総額を急激に拡大させた1つの力の源泉となっており、その効果は証明済み。このバラマキを「期間固定Tポイント」から「PayPay」に変えても、有料会員や携帯電話利用者らはこれまでと同じように「ヤフーショッピング」などの支払いに充当できることに加えて、これまで「期間固定Tポイント」はヤフーショッピングやヤフオク、ロハコなど限られた通販サイトでしか使用できなかったが、「PayPayボーナス」は「PayPay」が利用できる実店舗でも支払いに充当できるようになるため、より使い道が広がるメリットも出てくることから、ユーザー側はこれまで以上に付与されたインセンティブの利用促進につながるほか、バラマキによる販促効果の範囲を自社グループだけでなく、「PayPay」の加盟店にも広げることで、利用者と加盟店双方で「PayPay」を普及・拡大させたい考えのようだ。

国を挙げてキャッシュレス化が進む中、様々な企業が参戦し、シェア争いが本格化する実店舗向けスマホ決済だが、「PayPay」を含めて、展開されている実店舗向けスマホ決済の多くはオンライン決済にも対応、または対応を予定しており、このシェア争いにより、EC決済の趨勢も大きく影響を受ける可能性は高い。EC事業者もこの戦いの行方を注視しておく必要がありそうだ。

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