Mon, April 22, 2019

波乱含みの2019年、市場成長 予想も消費増税や物流に懸念 「週刊通販新聞」アンケート調査から

本誌の姉妹紙である「週刊通販新聞」は昨年12月、通販実施企業を対象にアンケート調査を実施した。「2019 年の市場予測」「消費増税」「物流」の3つのテーマについて各社の意見を聞いたところ、通販市場については全般的にネット販売がけん引し拡大するとの見方が多かったが、10月の消費増税への対応や、宅配便問題に絡み物流を多くの企業が課題と捉えている。通販・ネット販売の各社はこの1年、課題を抱えながらどのようにビジネスを展開するのか、アンケート結果から見る。

通販市場「拡大する」が6割

初めに通販市場の予測について。2019年は通販市場が「拡大する」「横ばい」「縮小する」の3択から選択してもらったところ、「拡大する」と回答した企業の割合は82%で、1年前の調査に比べると15ポイント増加している(図1参照)。その理由として、ネット販売の拡大が通販市場をけん引するという声が目立つ。次いで「横ばい」が前年から15ポイント減少して16%にとどまり、「縮小する」という回答は前年調査と同様の2%に過ぎなかった。

ネット販売の成長で「拡大する」と予測した企業は、「手軽にいつでも購入できるチャネルで、利便性が高いため、また、これからも物理的な制約がなく、参入しやすいECの拡大が想定される。特に越境ECの伸びる余地は十分にあると予測する」(ファンケル)といった声や、「まだまだ海外と比べてもEC化率は低いから(特にファッション)」(ロコンド)、「ネット通販の拡大」(マルハニチロ)、「デバイスの普及、決済のシームレス化によりEC市場の拡大を予測」(ピエトロ)などの意見を寄せている。

さらに「自社ECを筆頭にECで拡大している会社が増えつつある。(衣料品の)モールも当社やロコンド社、ZOZO社が成長しているから」(CROOZSHOPLIST)や、「国内のアパレル産業はEC化が進展しているが、食品業界同様に市場規模が大きい割にEC化率の方はまだ成長の余地がある」(白鳩)、「健康志向の高まり、共働き世代の増加、スマホ利用の増加、テクノロジーの進化によるターゲティング精度の向上や顧客理解の進化」(カゴメ)により成長性が見込まれるといった声なども挙がっている。

仮想モール拡大に伴う伸長も

アマゾンジャパンや楽天などによる仮想モールの拡大に着目する企業もある。「アマゾンや楽天などのプレイヤーが増え、宅配市場の拡大が進んでいる」(オイシックス・ラ・大地)、「アマゾンをはじめとするモールの売り上げ伸長および、Web 接触時間数の増加による通販注文ハードルの低下により(成長する)」(メディプラス)、「通販市場の売り上げはアマゾンと楽天の売り上げが大半を占めているため、その動向によるものが大きいと考える。アマゾンは広告メニューも増やしてきているので、より一層の集客ができるようになると考える」(銀座ステファニー化粧品)。

そのほかの成長要因としては、「経済環境に大きなマイナス影響がなければ、直近の傾向に沿って拡大する」(MonotaRO)、「市場予測及び東京オリンピックまでの好景気継続の見通しから、2020年までの市場は緩やかに拡大する」(MOA)、「消費者のライフスタイルの変容」(アスクル)、「当社顧客の購買行動の変化」(高島屋)、「新規参入が依然多いため」(世田谷自然食品)、「あらゆる記事やセミナーにおけるEC市場規模予測で拡大が続くと言われているため」(田中貴金属ジュエリー)などが挙がった。

また主力媒体がネットではないテレビ通販系の企業からの回答でもネット販売が成長要因になるとの反応が目立っている。「インターネット販売が今後も拡大していくと見込まれるため」(ジュピターショップチャンネル)、「PCとスマホで手軽に商品が購入できるようになった。外部モールで購入すると、ポイントが貯まる」(日本テレビ放送網)、「eコマースを中心に市場が拡大する」(テレビ東京ダイレクト)、「50歳代でも普通にECを利用している。便利さや対面販売を苦手とする消費者は増加している。スーパーのレジもセルフ化しているなど機械化への慣れ」(GSTV)などの意見があった。

これ以外に、店舗から通販への購買チャネルの移行が進むとの見方も複数見受けられた。「根本的な消費枠は増えるとは思わないが、継続的にリアル店舗から通販へ市場の流れ込みが止まらない」(エー・ビー・シーメディアコム)、「オムニチャネル化推進による、実店舗からのEC送客の拡大」(SHIBUYA109エンタテイメント)、「ライフスタイルの変化に伴い、購買チャネルとしての通信販売はさらに拡大する」(ニッピコラーゲン化粧品)といった意見だ。

一方で市場拡大を予測しながら、苦戦する可能性もあると指摘する企業も見られる。「緩やかに市場は拡大するが、新規参入等で各社厳しい戦いになる」(ヤマサキ)、「大手ECプラットフォーム企業の存在感は増大するものの、個別通販は苦戦。運賃上昇もボトルネック」(レッドホースコーポレーション)、「通販市場は顧客の利便性がさらに加速することで拡大すると思われるが、アナログな手法での営業スタイルをしている場合は、なかなか拡大は難しい」(ブレーンコスモス)。

紙媒体メインは苦戦も

「横ばい」と回答した企業の理由を見ると、「紙媒体主体のところは苦戦すると思われるが、引き続きEC主体のところは堅調に推移し、トータル的には横ばいで推移するのではないか」(日本生活協同組合連合会)、「機能性の増加により上向き傾向とはとらえているものの、規制の強化が続いており、横ばい程度と想定」(リフレ)、「複数の直近のトレンドより予想」(ライオン)、「送料値上げによる各企業の収益性悪化に伴う広告出稿量減少。一方、ネット専業の新興企業の拡大。これらが均衡し横ばい」(オージオ)、「マーケットが飽和状態のため」(dazzy)など、顧客の紙媒体離れや運賃コスト、競争の激化などを課題としている。

「縮小する」と予測した企業からは「10月予定の消費税増税で増税前に駆け込みはあるが、それ以上に増税後の冷え込みが予想されるため。また、今回の増税前が夏シーズンのため商材的に客単価も下がり、大きな駆け込みが期待できない」(ロッピングライフ)との見方が寄せられた。

消費動向は「横ばい」が76%

続いて景況感(消費動向)に関して尋ねた(図2参照)。「現状の消費の動向をどう捉えているか」について「上向いている」「下がっている」「横ばい」の中から選んでもらったところ、「横ばい」との回答が76%、「上向いている」は20%で、「下がっている」が4%だった。最多の「横ばい」は前年調査から14ポイント増加したが、その理由では「自社通販の売り上げは上がっており、下がっている実感はないが、よりお得なキャンペーン期間中に購入が集中する傾向が強くなっていることから上向きを実感するほどではない」(ファンケル)や、「米中間の経済紛争の懸念はあるものの、両大国の経済が好調を維持し日本の輸出は底堅く推移している。良好な雇用、所得の情勢によって消費は上向いているが、大きな伸びにはなっていない」(ライオン)などが挙がっている。

消費増税に伴うシステム改修や増税前の駆け込み需要の対策、増税後の反動減の対策の取り組みについては本誌にて→購入はこちら

Share This :

Twitter Delicious Facebook Digg Stumbleupon Favorites More

Comments are closed.