Tue, July 16, 2019

エブリーの動画コマース、企業チャンネルを拡大 ――決済手段拡充し「カゴ落ち」減らす

動画サイト運営のでは、スマートフォン向けのライブコマースアプリ「CHECK(チェック)」において、ロフトや東急ハンズといった有名小売り企業と協業した専門チャンネルの開設を進めている。今後はアパレル企業や家電メーカーなどとのコラボレーションも検討するほか、決済手段の拡充などで使い勝手を改善し、今夏以降の大規模なプロモーションにつなげたい構えだ。

通常より高いCVRを計測

「文具祭り2019」でのライブ配信の様子

チェックはエブリーとKDDIが2019年8月に提供開始したアプリで、生放送のショッピング番組で出演者が商品を紹介、ユーザーはその場でコメントが可能なほか、ライブ中に商品を購入することもできるというもの。エブリーの梶原大輔取締役CTO兼CHECKカンパニー長は「まだ大規模なプロモーションを行っておらず、閲覧数などはそこまで伸びていないが、まずはKPIの改善に務めている」と現状について説明する。

まず、重要な指標となるのがアプリをいかに使い続けてもらえるか、つまり「継続率」。そして紹介される商品の「コンバージョン率(CVR)」だ。CVRに関しては「商品と紹介する出演者のマッチ度を見ており、これが高いと通常のネット販売を上回る数字が出る」(梶原取締役)。そこで、出演者のイメージと紹介する商品に齟齬(そご)が生じないための取り組みを続けているという。

現在の出演者は200人弱。事務所に所属したモデルなどのほか、エブリーがSNS経由でスカウトした人もいる。インスタグラムの動画配信コンテンツ「インスタライブ」に出ているインフルエンサーなどが対象だ。これまで出演した人については、半年間で蓄積されたデータで「得意商品」の傾向が分かるが、新たに出演する人についても、データを踏まえてこうした傾向が割り出せるようになってきた。

企業の公式チャンネルを始めたのは19年9月。まずはロフトのチャンネルを開設した。化粧品関連のイベント「コスメフェスティバル」の会場から注目商品の紹介と先行販売の特別ライブ配信を実施、CVRも通常時よりも高い数字が出た。

2月にオープンした東急ハンズ専門チャンネルは、2月から6月にかけて毎月商品カテゴリを変えてライブコマース配信を実施する。2月のテーマは「文具」で、14日の初回配信では、同アプリ初の試みとして、東急ハンズのバイヤーが出演し、マスキングテープを販売。「使い方を教えないといけないような啓蒙型商材なので、バイヤーに詳細な商品説明をしてもらい、ユーザーからのコメントやリアクションも多かった。マスキングテープ。インフルエンサーでは説明にも限界があるので、効果的だったのではないか」(梶原取締役)。

2月24日に開催された、東急ハンズのイベント「文具祭り2019」では、会場からライブ配信を実施。ワークショップやトークショー、人気文具メーカー約30社による販売会など、イベントの様子を30分番組で紹介したほか、クリアファイルなどの限定商品も販売した。

経営企画部事業開発の窪田拓也氏は「閲覧者数は1000を超えて、その日の他の時間帯の番組よりも圧倒的に多かった。大規模なプロモーションをしていない現状を考えると良い数字」と評価する。CVRについても初回配信と同程度の数字を確保。30分番組で3商品を紹介したが、トライ&エラーを繰り返しながら、商品説明の時間はどれくらいが適切かを探っていく。東急ハンズからも「番組制作にプロ感があり、やってよかったという感想をいただいた」(窪田氏)という。今後は番組枠を1時間に拡大したり、季節商品を販売したりといった取り組みを考えている。

公式チャンネルの料金体系は、商品の販売手数料と番組枠に対する手数料。現在はトライアル期間のため、後者の費用は発生しない。番組制作費用に関しても、現在は企業側が一部を負担する形だ。販売する商品は、東急ハンズの場合は同社側からの発送だが、エブリーの倉庫から発送する形を選ぶこともできる。

スタジオ外での配信も

梶原大輔取締役

まだ利用する企業にとってもトライアル的な段階といえるチェック。今後本格的な販売チャネルに成長するためには何が必要なのか。梶原大輔取締役は「多くの企業にとって、ライブコマースを利用するユーザーは、自社ではアプローチしきれなかった年齢層、つまり若い女性が多い。まずは企業側の『ブランディングに役立てたい』という期待に沿うようなプラットフォームにしたい」と話す。

そのためにもまずは「ユーザーとの接触面を増やしていくのが先決」(梶原取締役)。現在は午後1時から午前12時までの放送時間を拡大していくほか、いずれは同時間帯に複数の番組を配信する。「いろいろなジャンルの番組を増やし、多様なユーザーがどれか1つの番組は見たくなるようにしていきたい。デパートでウィンドウショッピングをするようなイメージのアプリを目指す」(同)

ライブで商品の魅力を深掘りすることで商品の競争力を高める。そのためにも出演者のちからは重要だ。梶原取締役は「事前に商品を渡して理解を深めてもらったり、東急ハンズの番組のように、詳しい人にも出演してもらったりしている。また、例えば肉を焼く配信であればガンマイクを使い音でおいしさを伝えるなど、番組の見せ方も大事だろう」と話す。

公式チャンネルについては、現在取り扱っている商材の延長線上にある企業を取り込んでいく。具体的には、アパレルメーカーや家電メーカー、さらには有名小売企業だ。また、テレビ通販番組とのネットにおける同時配信や、ファッション雑誌と提携した番組なども利用シーンとして想定している。

3月19日には、オーガニック農作物のCtoCマーケットプレイス「食べチョク」を運営するビビッドガーデンと提携し、「農家のこだわり有機栽培野菜のライブコマース」を実施した。

食べチョクは基準を満たすオーガニック農家であれば誰でも無料で出品者登録が可能で、1箱から農作物を出品できる。出品された農作物はサイト上から購入すると、収穫後すぐに農家より直送される。今回のコラボレーションでは、オーガニック農家の畑からライブコマースを実施。食べチョクの契約農家である「ベジLIFE !」のオーナーと家族が出演し、こだわりや美味しさの秘密、おすすめの食べ方などを紹介してもらった。

現在の課題は決済手段の拡充。クレジットカード決済とキャリア決済しかなかったことから「決済手段の選択でカゴ落ちするユーザーが多い」(同)ためだ。そのため、後払い決済を導入している。

また、番組面では屋外での出張ライブなども増やしていく。出演者はインフルエンサーなどが中心だが、タレントなどの有名人の起用も計画。梶原取締役は「タレントに出てもらうとそれなりのコストが必要になるが、どの程度効果があるのかを見てみたい」と話す。さらには、au関連サービスからの送客も課題となる。

今後の取り組みについては「今はユーザーを増やすまでの準備として『バケツの穴をふさいでいる』段階。ライブコマースの良さに気づいてもらい、次の日もアプリを起動してくれるユーザーを増やしていく。そして気に入った商品を買ってもらうための環境を整えている」(同)。課題を解決し、今夏にもプロモーションを展開して新たなユーザーを取り込んでいきたい考えだ。

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