楽天が「5G」テーマに 大規模イベント開催 横浜市で「Rakuten Optimism 2019」

楽天は7月31日~8月3日、横浜市で大規模イベント「Rakuten Optimism2019」を開催した。イベントは楽天の全事業を対象に開催したもので、「5G時代を、先取りしよう。」をテーマに、さまざまな催しが行われた。有料チケット制の「ワールド・ビジョナリー・カンファレンス」において講演を実施したほか、入場無料の「フューチャー・ワールド」には体験型のブースを用意。壁面と床面に設置された大画のスクリーンを利用して、Jリーグ「ヴィッセル神戸」の選手とバーチャルなパスのやり取りを体験できるコンテンツ( 写真㊤)や、先日開催された「Rakuten CUP」のハイライトを、8KのVR映像で楽しめるコンテンツなどが人気を集めた。

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グルメエリアに行列

「お買いものパンダエリア」では、楽天の人気キャラクター「お買いものパンダ」の世界観を楽しめる体験型コンテンツや飲食、グッズなどを用意。限定グッズを買い求めるファンが、午前中から長蛇の列を作った。

また、楽天グループの技術やサービスを紹介するブースも多数用意。高精細な映像が楽しめる「IMAX」が映画館ではなく家で楽しめるホームシアターの展示や、配送サービス「楽天エクスプレス」、キュレーションサービス「ROOM」など、通販に関連したサービスのブースもあった。

「グルメエリア」では、楽天市場の出店店舗のグルメが楽しめるエリアで、27店が参加。決済は完全キャッシュレスで行われた。多数人気店舗が出店したこともあり、ランチタイムには行列を作っていた(写真中)。

「神戸牛専門店 辰屋」は「神戸牛牛めし」やコロッケ、メンチカツなどを出品。運営する辰屋の島田拓也EC事業部兼イベント部門催事担当マネージャーによれば、2015年に開催された、楽天市場の出店店舗を集めたイベント「楽フェス」で売り上げトップになるなど、大きな成果を挙げたことから、今回も出店を決めたという。

「辰屋」ではステーキ用の高級肉などをネット販売している。「こうした催しではもともと揚げ物だけを販売していたが、そこからネットでいきなり高級牛肉を買ってもらうのはハードルが高い。『楽フェス』を機に『牛めし』を開発してからは、まず牛めしに使う、価格的にも手が届きやすい切り落とし肉を買ってもらうことで神戸牛の味を知ってもらい、そこからステーキ用やすき焼き用牛肉に誘導するというステップアップがやりやすくなった」(島田拓也氏)と手応えを口にする。また「新規客を取り込みやすいのは『楽天スーパーセール』なので、今後はイベントにあわせて開催してもらえれば、ネット販売への誘導もよりやりやすくなるはず」と要望した。

「越前そばの里」では「越前おろしそば」などを販売した。運営する越前そばの毛利田朋美通販企画部課長は「『楽フェス』にも出品したが、今回の方が手応えはある。食品なのでこうしたイベントで一度食べていただくことが重要。ぜひリピーターになっていただければ」と述べた。

店舗向けイベントで重大発表

「Rakuten Optimism 2019」では、8月1日に店舗向けイベントも開催された。三木谷浩史社長の講演では(写真㊦)、仮想モール「楽天市場」において、送料無料となる購入額を税込み3980円で統一することが発表された。楽天市場では近年、物流関連への大規模な投資を進めている。全店舗で統一した送料の基準を設けることでユーザーに分かりやすさを打ち出し、楽天市場の流通総額拡大ペースを加速したい考え。

同社では、2000億円かけて自社物流網を整備する計画で、すでに700億円を投資しているという。「皆さんの物流を根底から支えていきたい」(三木谷社長)としており、出店者の物流業務を請け負うサービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」を拡大することで店舗をサポートしたい考えだ。

具体的には、千葉県習志野市、神奈川県大和市に新たな物流センターを開業する。また、2月に提携した関通が保有する、兵庫県尼崎市の物流センターを、RSLの物流拠点として活用しており、今後も同様に3PL 業者との提携を進めていく計画だ。尼崎の倉庫も含めると、全国8カ所に物流センターを抱える(P32 写真右)ことになるが、延べ床面積でみると、楽天市場で流通する荷物(年間約3億個)の約半分をまかなえる体制が整ったという。

自社配送サービス「楽天エクスプレス」に関しても、RSL 利用店舗の荷物出荷を開始するなど拡大しており、現在は人口カバー率30%だが、年末までに60%まで上げたい考え。将来的には80%まで高めていく。「(RSL は)店舗にとっては経済的にも有利だし、オペレーション面でも店舗運営に集中できる。ユーザーにとっては安心で早く、便利になる」(三木谷社長)。

同社では19年、全店店舗を対象に約3カ月間の実証実験を行った。一部ユーザーに一部店舗で送料無料となるクーポンを配布。複数種類のクーポンを配布したが、注文単価下落と購入数増加のバランスが取れていたのは3980 円だったという。同社によれば、「実証実験の結果やさまざまなユーザー調査結果などを総合的に判断」(EC広報課)して、この額に決めたという。3980円の場合、購入金額は15%、新規購入者数15%、それぞれ増えた。新制度の導入で「10%以上の売り上げの伸びが望めるのではないか」(三木谷社長)とする。

20年2~3月にも新制度を導入する。3980円以下の送料無料ラインを設定することも可能。ポスト投函型や、160サイズ以下で発送できる商品が対象で、冷蔵・冷凍商品や大型商品は対象外となる。また、北海道、九州・沖縄、離島なども同一料金に設定する。例えば沖縄に配送する場合2000円~ 3000円の中継料を徴収する店舗が多いが、同社では「ネット販売をメインストリームにするには必要な対応」(EC 広報課)と説る。

ただ、税込み3980円以上で送料無料ラインを設定している店舗が一定数いるため、このままの価格設定では採算が悪化する恐れもある。三木谷社長は「価格調整をしてもらった上で、とにかくユーザーにとって分かりやすくすることが重要だ」と強調した。

楽天の新方針に対する各店舗の反応や、楽天の安藤公二常務執行役員の「ドローンと地上配送ロボット」と題した講演については本誌にて→購入はこちら

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