Sat, July 4, 2020

「定期購入トラブル」 特商法処分が活発化

新誤認招く〝定期縛り〟の終焉

「定期購入トラブル」に対する監視強化が進んでいる。消費者庁は2017年末の改正特定商取引法の施行に合わせて、定期購入契約の表示に関する法解釈を示す「『意に反して契約を申し込みさせようとする行為』に係るガイドライン」(以下、特商法ガイド)を策定した。以降、取締りが活発化。特商法に基づく行政処分を受ける企業が相次いでいる。

苦情が4年で20倍に急増

通販における定期購入トラブルについては、これまで再三に渡り注意が促されてきた。17年、政府が公表した
「消費者白書」では、定期契約トラブルが12年の658件から過去4年間で実に約20倍の約1万3000件まで急増したことに言及。同年6月には、経済産業省がネット販売等の法的問題点に対する考え方を示す「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂。その中で「自動継続条項(いわゆる定期購入」と消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項)の関係性に触れ、想定される契約として、いわゆる〝定期縛り〟を例にあげた。法的拘束力のない準則だが、国の執行方針を示すものだ。

そこでは、「申込み確認画面」において表示が不十分である場合、消契法上、契約が無効になるとして、想定される事例を示してもいる。

「顧客の意に反する契約」の指針 公表

特商法は、通販で広告する場合、「販売条件」や「(代金の)支払時期」を明記しなければならないとされている。17年改正では、その法解釈を示す省令に「商品の売買契約を2回以上継続して締結必要があるとき(省令8条第7号)」が新たに加わった。要は、定期購入契約に関する表示の規定だ。

そこでは、例えば、初回お試し価格として安価な商品を販売するように示しながら、商品購入に際しては、「通常価格で〇回分の定期購入が条件」とされているなど、2回以上継続して購入契約を結ぶ場合の表示義務である「その他の販売条件」には、それぞれの商品の「引き渡し時期」や「支払時期」が含まれること、また、1回の契約で複数回の商品の引き渡しや支払契約を結ぶ場合は、「購入総額」等の条件を正確に記載しなければならないと規定している。

特商法ガイドの内容は、やや複雑だが、要は、「契約申込みとなることが容易に認識できない表示」、「申し込み内容を容易に確認・訂正できない表示」の2つを規制している。具体的な事例も示す。前者は例えば、申し込みの「最終確認画面」等において、申し込みの確定ボタンに「購入(注文、申し込み)」といった用語ではなく、「送信」などと表示され、申し込みであることが分かりにくいもの、ボタンに近接して「プレゼント」と表示するなど、有償契約でないとの誤解を招くような表示がされている場合は問題になる。

とくに定期購入契約における留意点も示す。「最終確認画面」で、契約内容の主な内容のすべてが表示されていなかったり、容易に認識できないほど、その一部が離れた場所に表示されている場合は、問題になる。

後者は、「最終確認画面」等で申し込み内容が表示される、これを確認するためのボタン(例:「注文内容を確認」、「(申し込み内容の)変更」)の設定がない場合、あらかじめ、同一商品を複数申し込むように設定されているなど、注意していない限り、申し込み内容を認識しないまま申し込んでしまう設計になっている場合が問題になる。

「最終確認画面」表示の不備で初処分

この規定に基づき、通販で増加する定期購入トラブル、いわゆる〝定期縛り〟をめぐる初めての行政処分が下されたのが、19年11月、化粧品ECを行うTOLUTO(=トルト)と、健康食品ECを展開するアクアに対するものだ。いずれも消費者から定期購入契約で分かりにくい表示を行っていた。トルトには、特商法に基づき3カ月の業務停止命令と、実質的に事業を主導した個人を対象にした同期間の業務禁止命令が下されている。アクアには、表示の是正や再発防止策の策定を指示した。

トルトは18年10月、e.Cycle(=イーサイクル)から社名変更している。当時、販売する健食で下痢等の健康被害が急増していたことから、消費者庁が商品と企業名の実名公表を行っていた。

特商法処分では、運営するECサイトで販売する化粧品について、定期購入契約の「申し込み最終確認画面」で、「2回目以降の商品代金の支払い代金」を明示せず、顧客が定期契約であることを容易に認識していないと判断された。また、「申し込み最終確認画面」では、契約の「完了ボタン」より下に著しく小さい文字で契約条件を表示。条件は、130行に渡っており、複数回スクロールしなければ確認できない状態にも関わらず、「スクロールバー」を表示しないなど、顧客が申し込み内容を容易に確認できるようにしていないことを問題視し、違反認定した。

アクアの場合、販売する健食の「申し込み最終確認画面」で、「ご注文完了ページへ」といった形でボタンを表示していた。ただ、実際は、このボタンをクリックすると申し込みが完了してしまう仕組み。「次の確認画面があるかのように表示しており、申し込み完了が容易に認識できるようにしていなかった」(消費者庁)とした。

「次のページ」あるかのような表示はアウト

以降も消費者庁による特商法処分が相次いでいる。

20年1月、化粧品や健食の電話勧誘を行うRarahira(=ララヒラ)に対しては、6カ月の業務停止命令を下した。自社ECサイトで「いつでも解約」「全額返金保証」などと訴求しつつ、返金や解約条件を明確に伝えない電話勧誘(アウトバウンド)を対象にしたもの。勧誘時に「電話1本ですぐ止める」などと強調しながら、実際は、「次のお届け予定日」の15~10日前の「解約申請日」(5日間)に電話で解約を申し出ることが条件になっていたり、祝祭日や休日は電話を受け付けていないことを告げていなかった。また、電話がつながりにくい状況を放置して解約を困難にしていた。

同月、健食ECを行うGRACE(=グレース)に対しては、特商法に基づき、表示の是正と違反行為の発生原因の分析と報告、再発防止策の策定などを指示した。自社ECサイトにおける「申し込み最終確認画面」において、「初回完全無料の贅沢コースに傘下する」と表示。ボタンのクリックで契約となることを容易に認識できるように表示していなかった。また、確認画面における申し込みを完了するためのボタンも「購入完了ページへ」と表示。先に処分を受けたアクア同様、こうした表示が、分かりにくい表示として問題視され、違法認定された。表示の是正を指示したほか、違反行為の発生原因の分析と報告、再発防止策の策定、社内コンプライアンス体制の構築することを指示した。

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