Sat, July 4, 2020

ユニクロ、リアルとウェブが融合の新店舗――店内端末のQRコードからEC送客


 ユニクロは6月5日、リアルとウェブ技術を融合させた新店舗として「ユニクロ原宿店」を開設した。店内には2019年10月から提供している着こなし発見アプリ「Stylehint(スタイルヒント)」を活用した専用コーナーなどを設けており、売り場の壁面にあるディスプレイ端末を通じて顧客自身のスマートフォンからその場でECでの購入が容易にできる仕組みを取り入れている。実店舗にECの機能を組み合わせた次世代型の新店舗となっている。

 同店舗はJR原宿駅から徒歩1分の距離に位置する商業施設「ウィズ原宿」内にあり、地下1階・地上1階の2層で合計売り場面積は約2000m2。メンズ、ウィメンズの商品を取り揃えている。原宿は若者が集まり、新たなカルチャーの誕生や最新ファッション情報の発信地ともされていることから開設を決めたという。

 店内にはインフルエンサーや一般の顧客、実店舗のスタッフの着こなし投稿画像を閲覧できるアプリのスタイルヒントと連動した専用売り場を展開。売り場の一角の壁一面に配置した240台のディスプレイを自由に操作することで、同アプリから様々な着こなし投稿を閲覧できる。

 画面上では来店者が気に入った投稿画像の同アイテムや類似アイテムについて、詳細から店内での実際の陳列場所を案内するほか、商品をクリックすることでQRコードが表示され、顧客自身のスマートフォンなどで読み込むことで当該商品の通販サイトの購入ページに進み、そのまま購入することもできる。ECの自宅配送を選ぶことで、店内で購入して持ち買える際の手間や負担を省きたいというニーズに対応した。

 また、当初の想定にはなかったものの、場合によっては新型コロナウイルスの感染対策として店頭での対面接客やレジの利用などを控えたい顧客のEC利用があることも想定される。「(コロナの影響で)接客を排するという意図は全くない。今のトレンドとしてインスタで探した商品をECで買う流れがあるので、その場を提供するという形」(同社)とする。

 なお、着こなし投稿コンテンツの活性化に向けた取り組みの一環として、5月28日より投稿者の中から公式アンバサダーを選出する投票企画も実施。グランプリには賞金100万円を贈呈するほか、タレントの今田美桜さんとともにキャンペーンモデルとして原宿エリアの屋外広告出演権や売り上げの一部還元といった様々な特典を用意している。

 同売り場についてファーストリテイリングの日下正信グループ執行役員は「服という情報を収集する図書館のようなものを作りたかった。ディスプレイに投稿されるリアルな着こなしから自分にぴったりのアイテムを発見し、欲しい商品は店舗やECで購入できる新しい体験を提供している」とコンセプトを語った。

 ディスプレイ端末を設置する同様の店舗形態は、一部で試験的に導入しているところを除いて本格運用は同店が初めてとなる。

UTを主軸とした品ぞろえ

そのほか、ポップカルチャーの発信店舗という位置づけから様々なコンテンツとコラボレーションしたTシャツブランドの「UT」を基軸とした品ぞろえとなっており、世界でも最大規模の専用売り場や、UT初のグッズなどを展開する。同店舗とECの限定で先行発売する商品は多く、開店時ではキャラクターの「ハローキティ」やアクセサリーブランドの「アンブッシュ」などとのコラボデザインがその対象となっている。

 また、ECと関連した売り場として、オリジナルTシャツやトートバッグが簡単に作成できるサービス「UTme!」も常設コーナーとして設置。同コーナーでは専用のタブレット端末を数台配置しており、来店者が使用してデザインを作成できる。原宿店限定の絵柄などもある。基本は店頭での即日引き渡しだが、スマホなどで提供している同様のサービスを通じて自宅に配送してもらうことも可能。

コロナの影響でEC事業が伸長

 なお、ユニクロ原宿店のオープンに先駆けて6月3日に開催した記者発表会ではファーストリテイリングの日下グループ執行役員などが登壇し、新型コロナウイルスの感染拡大によって各種規制や実店舗の営業活動の縮小が見られている中で、世界規模で進んでいる「ECシフト」の現状についても言及した。

 日下執行役員は「コロナによる緊急事態宣言中、特に外出自粛は影響があり、数字は申し上げられないがEC事業が非常に伸びている」と説明。とりわけ、これまでECを使っていなかったような新しい顧客層の利用が目立つ傾向になっているという。そのため「EC使ったことのない人がもっと簡単に利用できる方法をとっていかないといけないと改めて思った」とした。

 ファーストリテイリングでは、ユニクロやジーユーグループ全体で中長期的にEC化率を3割まで上げることを目指している。2019年度のEC化率は11.6%、2020年度については13.7%を目指している。2019年度まではEC限定サイズや特別商品の拡充などを進めたほか、特にスマホの存在がEC化率の伸長において大きな役割を果たした。

 とりわけ、「ユニクロアプリ」内で2018年より開始した買い物アシスタントサービス機能の「UNIQLOIQ」は、AIチャットも搭載していることで、24時間気軽に利用できることからチャット経由の問い合わせが上昇し、2019年度の電話やメールなども含めた相談件数ではチャットの割合が拡大。相談件数自体も増えており、多くの顧客の声を吸い上げることができるコミュニケーションツールとなることができた。ユニクロアプリに関しては2019年度での国内の延べダウンロード数は2500万件を突破。アプリ経由の売上高も年平均で大きく増加することができたという。

 奇しくも今回は〝コロナショック〟という予期せぬ外的要因が働いたために、EC化率のスピードが2019年度以上に一気に加速することとなったようだ。こうした現状を踏まえた上で、日下執行役員は今後について「急激に受注が増えたので、倉庫の生産性もより加速させたい。有明自動倉庫(の機能強化)も急いで進めていかなければいけない」と意気込み。EC利用者を受け入れるための環境づくりを改めて整えていく考えを示した。

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