ラクマ「楽天オプティミズム」で古着Tシャツ販売――法人出店する3事業者が参加

楽天グループが運営するフリマアプリ「楽天ラクマ」では、8月2~6日に横浜市の「パシフィコ横浜」で開催された、体験イベント「楽天オプティミズム2023」において、リユース事業者が古着Tシャツを販売するブースを設けた。

「楽天オプティミズム」でブースを構えた
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好調な「公式ショップ」

 「ラクマTシャツ市」には、ラクマで商品を販売している「KLD」「BIG2nd」「古着屋mellow」の3店舗が出店し、古着のTシャツを展示。ブランドTシャツのほか、2枚以上購入すると、1枚あたり1000円になるタグ無しTシャツなど、バラエティーに富んだTシャツを1000枚以上展示した。

 楽天によれば、リユースファッション市場が成長する中で、フリマアプリに参入する古着屋が増加。楽天ラクマでは昨年4月、中古事業者や並行輸入事業者が出店する「ラクマ公式ショップ」を開設、法人が出品できる仕組みを取り入れた。ラクマには昨年4月以降、360社が出店しているという。月商5000万円を超える古着屋も複数出てきており、「品数が多い」「個人間取引よりも品質管理が優れている」などの理由から、ラクマユーザ―の間でも高評価を得ているようだ。個人間取引だけでは補いきれない部分を、法人出品が埋めている。

バラエティーに富んだ T シャツを展示した

 新規顧客を獲得すべく、古着Tシャツに的を絞ったイベントを開催することになった。ラクマにおいて、消費者向けにリアルイベントを開催するのは初めて。ラクマ事業部の長谷川健一朗ジェネラルマネージャーは「公式ショップが始まってから約1年経つが、アパレルとブランド品が良く売れている。ブランド品については『商品は見たことがあるが、フリマアプリで割安に買いたい』というユーザーが多いが、古着は商品によって状態がまちまちなので、実際に見てみたいという需要が高い」と話す。

 近年はビンテージTシャツの人気が高まっていることも後押しし、さまざまなデザインがあってバラエティーに富んだTシャツの古着を販売するイベントの開催に至った。「Tシャツを多く扱っており、直接消費者と触れ合いたい、商品を見てもらいたいという思いが強い3店舗に出店してもらった」(長谷川ジェネラルマネージャー)という。来場者の中には、ラクマを使ったことがないユーザーも少なくなく、サービスを知ってもらうきっかけになったようだ。同社によれば、5日間の集客・売り上げは想定通りに推移したという。

フリマで若年層取り込み

 実際に出店した事業者の手応えはどうだったのだろうか。ブランド古着の宅配買い取りと販売を行うKLDでは、これまでオンライン専門で、個人から買い取った古着を個人に売る「CtoBtoC」の事業を展開してきた。伊東健太代表取締役は「コロナ禍も落ち着いて、オフラインへの展開も考えている際に、ラクマから声をかけてもらった。オフラインまで事業を拡大するための皮切りになればと思い参加した」と話す。オフラインへの進出といっても、自社で常設店を構える、他社と提携して出店するなどさまざまな形態が考えられるが、オフライン展開の精度を高めるためにも、今回出店した結果を検証し、活用していくという。

 イベントには約300商品を出品。販売については「あまり売れないかもしれないと考えていたが、初日は思っていた以上に売れた(編注:取材は2日目の8月3日)。ビジネスマンが多く来場する平日でも良く売れているので、家族連れなどの来場が期待できる週末に向けて、追加の商品を用意した」(伊東代表取締役)。

 同社ではラクマだけではなく、仮想モール「楽天市場」にも出店している。伊東代表取締役は「両者の顧客層が明確に異なっているのが面白い。楽天市場は30~40代以上をメインのターゲットとしており、平均単価は約1万4000円。一方、ラクマは若年層が非常に多く、平均単価も楽天市場の半分程度となっている。また、楽天市場は指名買いが多いが、ラクマは衝動買いが多い。ラクマは出店してまだ半年だが、今までアプローチできていなかった層に買ってもらえている印象がある。新たな販路として非常に期待している」と話す。ラクマにおいては、同じユーザーによるリピート購入も目立っているという。

 伊東代表取締役は「販路を広げていくことは事業を拡大する上での大きな命題。最近はCtoCアプリでしかアプローチできない層が一定数いるので、フリマアプリでの売り上げを拡大させていくことは非常に重要だ。ラクマは事業者へのサポートが優れているし、在庫の一元管理などもやりやすい。まだ月間売上高は数百万円程度だが、これから何倍にも増やしていきたい」と意欲を語る。

CtoCとの違い明確に

 「BIG2nd」を運営するBIGの本田由布史氏は、「当社はネット通販中心で、店舗については無人店舗を3店舗運営しているが、有人店舗はまだ構えていない。今回の取り組みにより、消費者がどのように商品を選んでいるのかを知り、実際の声をもらえればと思い、出店を決めた。初の取り組みなので、すごく新鮮」と話す。

 同社でも、ラクマと楽天市場に出店している。本田氏は「ラクマはフリマアプリということもあり、顧客からの問い合わせがとても多い。例えば『商品の状態についてもう少し詳しく教えてほしい』とか『この部分の写真を見たい』とか、フランクに問い合わせをもらい、やり取りの中で『買います』となる。また、ラクマは楽天市場よりも顧客層がやや下がるので、両者異なるターゲティングをしながら商品を販売できるのはとてもありがたい」と語る。

 また、今後のフリマアプリへの期待については「中古品に抵抗感が少ないユーザーが多い点に魅力を感じている。今後は越境ECのような形で海外にも販売できたら、もっと面白いのではないか」(本田氏)。

 「古着屋mellow」を運営するmellowの齋藤雅彦氏は、近年の古着の需要動向について「少し前は、ビンテージが好きな30~40代の顧客が多く、若年層は『古着はちょっと』という感じだったが、ここ数年は若年層が古着を購入する傾向が強まっている」と明かす。ラクマTシャツ市への参加に関しては「こういった大きなイベントに出店する機会がなかったので、ラクマからの誘いを魅力的に感じた。また、イベントに出ることでラクマでの認知が広がれば嬉しいと思い、出店を決めた」と話す。

 ラクマと楽天市場との違いに関しては、「ラクマにおいて、単価の高い商品が売れたり、楽天市場で売れ残っていた商品が売れたり、需要を食い合うというよりは、顧客層が広がったという印象がある。また、楽天市場は顧客の年齢層がややだが、ラクマはやや若い印象だ」(齋藤氏)。フリマアプリは古着屋にとっては競合ともいえる。齋藤氏は「個人間でやり取りが完結すると困ってしまうのは確か。フリマアプリにおいてCtoCとBtoCの違いを出していかなければならない。当社の場合、海外からの仕入れが多いこともあり、日本ではなかなか手に入らない、希少価値の高い古着を販売していきたい」と語る。

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