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百貨店のネット販売事情

【2010年6月号】ファッションが百貨店のネット販売を救う?!

 業績低迷の続く百貨店各社が、市場の拡大しているネット販売を再浮上への足がかりにしようと取り組みを強化している。ギフト商材や化粧品といった百貨店の中では、いわば“馴染み”の通販商材の強化に加えて、ファッション分野でテコ入れを図るケースも増えてきている。

 まずは、百貨店業界全体のネット販売の現状について触れる。日本百貨店協会の「2009年版・百貨店eビジネス白書」によると、百貨店eビジネス研究会の会員企業23社の2008年度ネット販売売上高の合計は前年比23.3%増の233億8700万円だった。

 百貨店のネット販売と言えば中元・歳暮などのギフト商材が依然としてメーンで、実際にネット販売売上高約234億円のうち72%を占めているのが現状だ。

 なかでも、各社ともデパ地下で扱う店頭商材のネット販売を強化していることもあり、食料品は取り扱い点数、売り上げともに最も多く、次いで、取り扱い数では家庭用品だが、売り上げで見ると化粧品が上回る。

 主力の中元・歳暮については、百貨店業界全体ではダウントレンドになりつつあるものの、混雑するギフトカウンターを敬遠する傾向があることから、各社ともネット販売の利便性を前面に打ち出しながら、商品価格や送料などに特典を設けることで、ネットに誘導しようとしている。すでに、百貨店によっては、ギフト商材のEC化率が10%を超える企業もあるようだ。

 始まったばかりの今年の中元商戦では、例えば、三越はネット受注で全商品を送料無料とるほか、ネット限定商品も扱う。大丸松坂屋百貨店では、店頭に先駆けてネット受注を開始し、早期割引や送料無料などの施策を実施している。

 一方、ギフト商材以外でも、自家消費用の商品として食品や化粧品は根強いニーズがある。食品については伊勢丹が一部地域で、ネットでオーダーを受けたその日に消費者宅に届けるというネットスーパー事業にトライアルするなど、新しい動きが出てきた。

 また、化粧品についても、そごう・西武が主力店舗の化粧品コーナーと連動したネット販売を開始するなど、百貨店各社の化粧品の取り扱い数は増えているようだ。

 アパレルに期待と不安感

 前述の通り、百貨店業界の08年度のネット販売売上高は234億円だが、百貨店の総売り上げに占めるEC化率は1%にも満たないのが現状。例えば、米国の百貨店はネット販売比率が5~10%と言われており、日本は大きく遅れをとっている。

 ただし、それは百貨店が主力商材であるファッションをネット販売してこなかった結果でもある。これには、部署間の協力体制や評価体系の整備など百貨店の社内体制の不備からくる問題に加えて、商品を供給するアパレル側の抵抗感も絡んでいる。

 抵抗感の背景には、在庫管理について新たなオペレーション投資が必要な点や、通販サイトに掲載する商品の写真やコメントが百貨店によって要求がバラバラでコスト増の要因になっていることなどが挙げられる。

 また、先行する大手百貨店がそれぞれ異なるビジネスモデルでネット販売を実施。例えば、ファッション分野では、高島屋は主にナショナルブランド(NB)を仮想ファッションモールとして品ぞろえする「バーチャル店舗型」、伊勢丹は店頭商材をネットでも販売する「リアル店舗品ぞろえ型」、三越は通販専用のMDをネットでも扱う「カタログ通販型」、大丸松坂屋は通販サイト専用の品ぞろえをする「EC専用品ぞろえ型」を推進するなど、各社によってまちまちだ。

 ただ、そうは言っても店頭では主力のファッションアイテムの取り扱いを増やす動きは広がりつつあり、小田急百貨店はコーディネートでファッションアイテムを提案するコンテンツを開始するなど、遅れていたネット販売の強化に着手している。

 百貨店各社は成長分野として“ネット販売で100億円”を当面のターゲットとして取り組んでいる。それでは、百貨店の中でもネット販売に本腰を入れ始めた企業の取り組みについて見ていく。

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