NTTドコモ、マガシークと衣料品通販サイト新設

ドコモの前田義晃マーケットビジネス推進部長は「dファッション」で扱うブランドの服を着用して新サービスを 説明した

マガシークと共同運営

NTTドコモは10月30日、同社のスマートフォン向け通販サービス「dマーケット」内に新たにファッションアイテムを扱う通販サイト「dファッション」を開設する。2013年3月に子会社化したマガシークとの共同運営によるもので、既存の物販専用コーナー「dショッピング」は日用品や食品などを中心とした品ぞろえのため、これとは異なる見せ方をする必要があると判断。ファッション専用の通販サイトをオープンし、ネット販売初心者やミドルユーザーを囲い込む。

携帯キャリアとファッション通販サイトとの取り組みでは、2009年9月にKDDIとスタイライフが共同運営で「auブランドガーデン」をスタートしているが、親子関係にあるドコモとマガシークは先行するサービスに対し、事業への本気度やサービス水準、機能面などでどこまで違いを出せるか注目される。

新規にオープンする「dファッション」では、「ユナイテッドアローズ」や「アーバンリサーチ」「ビームス」「シップス」といった人気のセレクトショップなどを中心に、スタート時点で約450ブランド、4万点の服やアクセサリー、ファッション小物を扱う。順次、取り扱いアイテム数を増やしてマガシークが運営する通販サイト「マガシーク」の品ぞろえに近づける方針という。

商品の画像データや詳細情報は「マガシーク」サイトと連動する。また、ドコモの既存サイト「dショッピング」と同様に、商品自体を協業する通販会社(今回はマガシーク)の物流拠点で保管・発送するため、マガシークにとっては主力の「マガシーク」、アウトレット商材を販売する「アウトレットピーク」に加え、商品在庫を動かすことなく大型の売り場を持てることはメリットになりそうだ。

テレビC M で周知へ

ただ、「dファッション」における商材の見せ方、機能などに大きな驚きはなさそう。ドコモによると、新サイトのトップページにはニュース&トピックスや特集企画のバナー、有名スタイリストを起用したコーディネート提案のコンテンツなどを用意するとしている。

また、商品はキーワードや商品カテゴリー、価格帯、、プライスダウン商品、ブランドロゴなどから検索でき、商品の詳細ページでは写真をスライドさせることで、さまざまな角度から商品を確認できるようにするというが、「マガシーク」を含めた他社サービスとの差別化要素と言えるものは見当たらない。

送料は無料で、決済は「dショッピング」などと同様、「ドコモケータイ払い」に対応。面倒な会員登録や商品届け先などの入力が不要で、商品代金も月々の携帯電話料金と一緒に支払えることから、カード決済を嫌う消費者には利用しやすい。

一方で、ドコモは「dファッション」のプロモーションの一環として、人気俳優の堀北真希さん、松坂桃李さんを起用したテレビCMの放映を予定しており、テレビを使った露出に慣れたドコモのメディア戦略はマガシークにも追い風となりそうだ。

ただし、ドコモではマガシーク以外にも協業先を広げてファッション商材の取り扱いを強化する可能性があるとしており、今後の動向に注意する必要がありそう。

他社スマホでも購入可能に

一方、「dファッション」の利用については、当初はドコモのスマホ、タブレットに限定しているが、2014年2月をメドにパソコンや他社のスマホ、タブレットからも利用できるようにするとしている。

というのも、ドコモは従来の携帯電話番号をベースとした認証の仕方から、サービス利用者へ個別に割り当てる「ドコモID」による認証に移行する計画で、回線契約にかかわらずサービスを利用できる“キャリアフリー”、さらには、OS(オペレーティングシステム)に依存しない“デバイスフリー”を推進することで、通販顧客の拡大につなげる狙いだ。

衣料品ECは競争激化

ドコモが参入したファッション通販の市場は昨今、大手資本による衣料品ネット販売専業の買収が相次ぐなど業界再編が加速している。加えて、巨大モールの「アマゾン」や「楽天市場」もファッションカテゴリーを強化してきており、生き残り競争は激しさを増している。

現状、ネットで服を購入することに慣れている消費者が選ぶ売り場は固まってきていることもあり、ドコモの子会社で「dファッション」の協業相手でもあるマガシークにとっては、消費者との接点が多いドコモと連携することでネット販売初心者を効率的にとり込みたい意向だ。

実際、「いま、ファッションEC市場は成熟期の少し手前にあり、各社が“のびしろ” をとりに行っている段階」(マガシーク井上直也社長)としており、ネットで服を買ったことのない層を大量にとり込めれば、衣料品ネット販売市場の勢力図を大きく塗り替える可能性もある。

なお、新サイトには「dファッション パワード・バイ・マガシーク」と表示されており、ドコモのサービス名とともに「マガシーク」の名前が出せたことで、消費者への認知度が高まることも予想される。

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