26回目となる本誌によるネット販売企業の売上高調査「ネット販売白書」の結果では、ネット販売(BtoCの物販)実施企業上位300社の合計売上額は10兆463億円となり、初めて10兆円を突破。前年調査の9兆1881億円に比べて8.9%増えている。中東情勢の悪化や急激な円安といったマイナス要因はありながらも、大手仮想モールを中心に市場が拡大基調が続いている。
商材別EC市場分析
総合・日用品
成長率鈍化もアマゾンが断トツ首位を維持
様々な商品を販売する総合・日用品EC事業者で首位となったのは引き続き、アマゾンジャパン。直近売上高(2025年12月期)の売上高は前年比11.3%増の4兆6250億円だった。前年の増収率と比べると成長は鈍化傾向にあるものの、効率的に流通総額を引き上げることができる外部事業者が出店して商品を販売する仕組み「マーケットプレイス」への新規出店の促進を推進し流通総額および手数料収入拡大につなげているようだ。スーパーマーケット各社と組んで展開中の最短2時間で配送する生鮮品を含む各種商品を販売するネットスーパーサービスも強化。
25年5月からはこれまで展開していなかった東北エリアを中心に展開する伊藤チェーン、同12月には中国地方などで食品スーパーを運営する丸久との連携を開始して、東北地域や中国地域でもネットスーパーサービスを展開し始めている。なお、26年5月には沖縄で食品スーパーを展開するサンエーとの連携も開始しており、ほぼ全国でネットスーパーサービスを展開できる体制を整えている。
また、25年8月には愛知・名古屋市に大型物流拠点を新設したほか、大型物流拠点からの配送品を集積して顧客宅まで配送する最終配送拠点である「デリバリーステーション(DS)」を各地で新設。同4月に岡山と千葉、同5月には福岡、同8月には北海道、同9月には都内と石川にそれぞれDSを開設。また、商品の入荷、保管、梱包、仕分け、配送の業務といったFCとDS両方の機能を兼ね備えた当日配送専用拠点を16カ所開設するなど物流投資も引き続き強化しており、今後の展開でキモとなる物流にも抜かりなく手を打っている。
新たな取り組みも積極的に展開。同1月から食品や飲料、日用品などを受注から最短6時間で配送するサービス「ExpressMart(エクスプレスマート)」を開始した。スタート時点のサービス対象地域は東京都板橋区、江戸川区、江東区と埼玉県の戸田市、蕨市だったが、26年秋時点では神奈川、千葉、茨城、愛知、三重、兵庫、大阪、福岡を加えて、対象エリアは1都1府8県の一部まで拡大している。また、当初は対象商品としていなかった生鮮食品の取り扱いも始めている。なお、スピード配送では2026年2月から、生鮮食品、日用品、飲料、酒など数千点の対象品について、最短30分配達サービス「AmazonNow」を東京・渋谷区内の一部地域で開始している。スタート時点では渋谷区内の一部エリアのみの展開だったが、26年10月時点では渋谷区のほか、品川区、港区、世田谷区、大田区、江東区の一部もカバーしている。「プライムナウ」という名称で2015年から有料会員向けの即配サービスを展開していた過去があるが、採算性の問題などから21年でサービスを終了するという苦い経験がある。同じ轍を踏まないようにいかにサービスを設計、運営していくかが注目される。
2位のアイリス、3位のショップチャンネルにも注目
2位は生活用品の企画・製造・販売を行うアイリスオーヤマグループで通販事業を行うアイリスプラザ。グループの高い商品企画開発力を活かして家電や食品、家具、ペット用品、日用品など5万点以上の商品を通販サイト「アイリスプラザ」で販売。会員数は500万人を超え、順調に売り上げを拡大している。25年3月からは「アイリスプラザ」で直販に加えて、他社からの出店を促すマーケットプレイス機能を追加したり、納税ポータルサイトを開設してアイリスプラザ限定の商品を含む返礼品を通じて利用者が寄付できる取り組みも開始するなどECの攻勢を強めている。
3位の通販専門放送局を運営するジュピターショップチャンネルはテレビをあまり視聴しない層の新規顧客獲得のためにEC強化に本腰を入れており、ウェブ広告の出稿強化のほか、社員らが販売商品を使ったコーディネートの画像や動画を紹介する取り組みなどがEC拡大に成果を出し始めているよう。25年には「うちのね、」「CanauBi(カナウビ)」という2つのソーシャルコマースサイトを立ち上げており、テレビに依存しない形でのECの拡大を模索している。