ベガコーポレーション、渋谷に体験型店舗――3Dコーデやライブ配信を提供

 家具や日用品などのネット販売を手がけているベガコーポレーションは2025年12月19日、ブランド史上初となる体験型実店舗の「LOWYA渋谷宮益坂店」を都内に開設した。

 同店舗は都内・渋谷に開設する期間限定店舗。全国で13カ所目、関東では5カ所目、都内では2カ所目の店舗となる。現在、同社では1700商品を展開しており、EC上では300種類のルームコーディネートを掲載している。店舗では持ち帰りが難しい大型商品の在庫は置かずに、商品に添えたQRコードからECでの購入につなげる仕組み。

体験型店舗の「LOWYA 渋谷宮益坂店」

 人口集積地を中心に店舗展開を進めており、大手家具店が先行して多数出店している渋谷については、かねてからターゲットとなっていた。渋谷駅から徒歩1分の宮益坂下にあり、関東では初の路面店として2階までの2フロアで売り場面積は合計約660m2。店内には約400商品、全8種類のルームコーデを展開している。若者が多い街でもあるため、単身者や2人暮らしなどにマッチした商品を比較的多く取り扱う。

 ブランド初の体験型ストアとして目玉となるのが、自社開発のルームコーデアプリの「おくROOM®(おくるーむ)」と、360度のバーチャル空間を表現できるゴーグル「VisionPro」を活用した3D家具の配置シミュレーション体験。同アプリは単体でもスマホなどの画面上でルームコーデが自由に作成して投稿や閲覧ができるもので、2024年11月の提供開始から約1年間で70万ダウンロードを記録。投稿コーデ数は2025年12月時点で累計4000件となっている。

 今回、1階に専用コーナーを設けて、来店者がゴーグルを着用して、仮想空間として実際に部屋にいるような体験を提供。同社の公式スタイリストが作成したものだけでなく、来店前に顧客自身が投稿した希望のルームコーデなども実寸大の内容でゴーグル内で体験できるため、奥行きやサイズ感、配置状況などをよりリアルな形で感じることができるとしている。

 同アプリについては、完成したルームコーデ内で配置した家具など各商品の合計金額も表示され、そのままカートで購入できるようにもなっている。今後はロウヤ以外の他社ブランドの商品なども取り扱えるようなサービスにしていくことも目指している。

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店内でリアルイベントも開催へ

 また、2階では家電や雑貨、ソファー、ダイニングなどを展示。渋谷店独自の機能としては、ライブ配信向けのスタジオスペースを併設したこと。
「トレンドの発信地である渋谷で最初にやっていきたいと思った。フォロワーからもらう声をしっかり形にして、ここで表現しているということを伝えるために作った場所」(同社)と説明。

店内の一角には配信スタジオも併設

 現状、130万人のフォロワーを抱えているインスタグラムでは、年間100回程度のペースで商品紹介などの動画を配信し、また、商品開発でのアイデア募集や投票企画といった双方向のコミュニケーションを図っている。営業時間中にライブ配信の様子を来店者がリアルタイムで見ることができる仕組みを設けて盛り上げていく狙いがあるようだ。そのほか、店内を使ったオフラインイベントも開催する予定で、リアルとネットを通じたOMOによる購買体験の強化を図っていく。「まだまだオフラインとオンラインで(情報の)格差があると思う。なるべくここをシームレスにして同じ情報を提供していきたい」(同社)とした。

認知拡大へウェブ限定CM公開

 なお、店舗オープンに先駆けて、俳優の川床明日香さんを起用したウェブ限定のCMも公開。

 コンパクトな1ルームで1人暮らしをする川床さんのもとに、ある日突然、友人や兄妹が訪ねてくる内容で展開。「機能性インテリア」篇と「来客」篇の2本で、店頭や「TVer」広告、タクシー広告などで公開している。

吉田取締役に聞く 「ロウヤ」のOMO戦略

情報発信の内製化に手応え

新業態の店舗開設の狙いや、今後のOMO戦略などについて、LOWYA事業本部長の吉田裕紀取締役に聞いた。

Q:初の体験型店舗となる新業態の狙いについて。

A:今、渋谷エリアは再開発も進んでいく中で色々な世代から注目を浴びていることを市場調査の中で感じ取っている。我々と同じ(家具)業界の様々な諸先輩方もいるエリアの中で、まだ業界でできていないことや、どうすれば実店舗を楽しんでもらえるかなどを考えた。今回で言えば(3D家具配置シミュレーションコーナーの)「おくROOM®LAB」などがあり、体験型を銘打っている。ECから発信している会社のため、ECならではの購買体験の提供をしていくことで新しい家具の会社が出てきたと感じてもらえるのでは」

Q:ライブ配信スタジオの店内併設も新たな試みとなる。

A:顧客が来店している営業時間中でもライブができると思っている。色々な顧客が来てもらえる立地なので、実際のライブを見てもらう場として一番良いのでは。また、オフ会も開いていきたい。店舗ツアーなども行っているが、その時に我々の想いや開発秘話なども伝えて広めていくことができると思う。今後も本社からSNSのチームが来てもらうシーンは出てくるだろう。

Q:スタッフの採用は。

A:基本的には現地採用。ただ鍵になるスタッフも配置していて、特に渋谷店は大事な場所なので難波店などの店舗立ち上げを行ってきた社員がメンバーに入るようにしている。

Q:店舗開設によるECへの効果は。

A:この店舗はいわゆるECへの認知を上げるという意味ではとても重要な役割を担う店舗だと思っている。まずはロウヤを知ってもらい、色々な人に来てもらう場だと思うので、他の店舗よりも商品の展開を早く変えていくということをしていきたい。

 店舗に関しては「看板」がずっと出ているようなものだと感じている。我々、EC上で戦っているが、(実店舗はリアルに)バナーがずっと出ている感覚。今はECプレイヤーが増えてきてバナー広告の単価も上昇している。であれば、バナー広告ではなくこうした実店舗を出した方がコストを抑えられるのでは。

 渋谷店の外は(道路向きに配置した店舗外壁が)ビジョンになっていて、センター街から歩いてくる時も見えるようになっている。こうした形で(街頭ビジョン広告を)内製化することで、自前で情報発信ができる。

Q:リアルで見せることでECでの売れ行きが高まる商材は。

A:やはりソファー。ネットの画面上だけで決断しにくいところを、実店舗で見せることで購入の後押しができるような感覚。

Q:人件費や光熱費が上昇しているが運営コストの管理については。

A:経営する中で収益を上げなくてはいけないので、そういう意味では、人件費比率や、家賃のような固定比率は当社の中で基準を設けて運営している。

Q:高騰しているウェブ広告の出稿を抑えて実店舗事業に振り分けているのか。

A:2023年から店を出していったタイミングで比較的ウェブ広告にかけていたコストを店舗に向けているという面はある。ただ、ウェブ広告はもう適正値まで持ってくることができている。

Q:今後の店舗展開について。

A:会員比率が高かったり、人口の多い地域を中心に展開していきたい。ただ、店舗同士でのカニバリが起きる可能性もあるため、そこは考えながら出していかないといけない。東北や関西なども可能性はある。