景品表示法措置命令、前年並みの41件――同時処分や「No.1表示」の処分増加も

 2022年度の景品表示法の措置命令件数は、34社に対する41件だった。不実証広告規制の適用は、74%。「優良誤認」の違反認定31社のうち、23件を占めた。同時処分や共同で事業を行う事業者に対する処分、「No.1表示」に対する処分が増加している。

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山田養蜂場、大幸薬品など注目処分

 措置命令件数は、前年の41件と同じだった。ここ数年、40件前後で推移しており例年並みで推移する。注目されるのは、免疫向上など疾病の予防や治療に言及した表現に対する監視が厳しくなってきたころだろう。22年6月には、さまざまな疾病への予防・治療効果をうたっていた沖縄特産販売が、同11月には、「難病改善!!」「免疫力を元気に」などと表示して健食を販売していた免研アソシエイツ協会が処分を受けた。また、コロナ対策をうたった山田養蜂場に対する処分(同9月)は通販業界に衝撃を与えた。

 このほか、「クレベリン」の空間除菌効果をめぐる大幸薬品と消費者庁の攻防も決着がついた。21年に続き、同社は同4月に二度目の処分。今年4月には、景表法の課徴金として過去最高とみられる約6億円の課徴金納付命令を受けている。

通販大手の山田養蜂場はコロナ対策を打ち出し処分を受けた

 大幸薬品の直近の決算(22年12月期)は、売上高が約50億円と前年から半減。多額の営業損失を計上しており、事業運営も危ぶまれる状況だ。処分の影響で怖いのは、報道による企業イメージの低下だけでなく、商品の撤去、返品で流通から在庫が逆流すること。景表法の強力な制裁効果を改めて感じる処分だった。

 一方、キリンビバレッジの果実飲料に対する処分は、評価が分かれた。メロン果汁を2%ほどしか含まない飲料であるにもかかわらず、イラストや表示で多く含むよう見せるなど手法にあざとさは感じるものの、処分を受けるほどのものか微妙だったためだ。推測だが、キリンビバレッジ側が指摘に対し、違反を認めたことも処分に至った背景にあるとみられる。

共同で販売する事業者、併せて処分の傾向

 措置命令を受けた社数は、34社。命令の内容は、「優良誤認」が31件、「有利誤認」が3件、「5条3項(告示指定)」に基づく命令が1件(おとり広告)だった(1社で優良・有利誤認を各1件受けた事業者がいるため、社数と一致しない)。

 商品別で最も多かったのは、「食品・飲料」の7社(うち健康食品は4社)。以下、「投てき用消化用具」、「教養・娯楽サービス(学習塾、コンサート提供)」が各5社などと続いた。「空間除菌」関連は、大幸薬品に対する措置命令など2社だった。

 表示内容で注目されるのは、「生分解性」をうたう商品への処分。ストローやカップなどプラ用品、ゴミ・レジ袋、BB弾、釣り用品で計10社が処分を受けた。「痩身効果」に対する処分は、エステの痩身施術、機能性衣料の2件。過去には健食によるものが多くを占めたが減少している。

 健食は、疾病の予防効果が中心。免疫や難病改善の表示(免研アソシエイツ)、コロナ予防(山田養蜂場)、高血圧・糖尿病等の疾病(沖縄特産販売)、ラクトフェリン含有量(リプサ)の4件だった。

 同時処分も増加している。「生分解性」をうたう商品は、プラ用品で2社、ゴミ・レジ袋で2社、BB弾で5社が同時処分を受けた。ほかに投てき用消化用具販売5社も同時処分。また、コンサート提供事業者3社、燃費向上用品販売2社など共同で事業を行う者に対する処分も増えている。

 「No1表示」など独自調査を用いた表示の監視も強まっている。学習指導関連や痩身施術関連の「満足度No1」、就職支援サービスの「内定率90%以上」など、客観的な調査に基づかない表示に対する処分も複数行われた。

 課徴金は、15社に対する17件。総額は3億441万円。20年度(約12億円)、21年度(約5億円)から減少した。あきんどスシローのおとり広告は全国的に行われていたが、告示は課徴金対象外。

 地方自治体による措置命令は6件。前年の4件から増加した。東京都の2件が最も多く、埼玉県、静岡県、大阪府、兵庫県が各1件だった。

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