ジャパネットHD、ツインバードへのTOB表明――製販垂直統合モデル確立へ、「賛同せず」なら撤回

 ジャパネットホールディングスは6月19日、家電などの製造販売を行うツインバードの完全子会社化を目的に同社株式の公開買付け(TOB)を行う意向があると発表した。2月から両社間で協議を行ってきたが、ジャパネット側の完全子会社化の提案に対し、インバード側は「応じられない」と回答。その後、再協議を打診したものの機会が得られなかったという。そのため、ツインバード取締役会との協議再開などを目的に、TOBの開始予定の意向を発表することにしたとする。同社では「同意なき買収」は行わないとしており、ツインバード取締役会の了承が得られなかった場合、TOBは行わないが、了承を得た場合は10月下旬から1株当たり800円で公開買付けを行い、最終的に完全子会社化を目指す。ツインバードは同日付で「(ジャパネットHDが発表した)公開文の内容や関連情報を精査の上、慎重な検討を行い、見解を公表する予定」と発表している。

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協議再開求めて意向表明

  ジャパネットHDによると、企画・設計から製造、販売、アフターサービスまでを行う製販垂直統合モデルを確立すべくグループ内にメーカー機能を獲得したい狙いなどから、独自家電の製造で高い技術力、開発力を持つと評価するツインバードに2月6日に面談を打診。その後、互いに向上やオフィスなどの視察を行った上で協議を行った結果、2月19日にツインバード側から「資本業務提携から始めたい」との提案を受け、検討を進めていたところ、ツインバード側から「収益性の高いB2B事業への転換を最優先課題として決定し、新年度の経営方針に従って改革を進めるスタートを切った直後であるため」として資本構成を変更する提案には応じられないとの連絡を3月2日に受けたという。ジャパネット側は再度、面談を通じた再協議を打診したが、協議再開の機会は得られなかったという。

ツインバード買収で製販垂直統合モデルの実現を目指すジャパネット(同社の発表資料より)

 そのため、協議の再開を図るべく、経済産業省が策定したM&Aにおける公正なルールなどをまとめた「企業買収における行動指針」に則って、5月11日付で法的拘束力のない〝真摯な提案〟として意向表明書をツインバード取締役会に提出。さらに今回のジャパネット側の提案をツインバードの株主らが理解、賛同をするために十分な情報提供や検討期間の確保や、ツインバードが株主や取引先、従業員などステークホルダーの意見を踏まえた検討・判断を可能にし、協議を進められるように今回の意向表明を公表することを決めたとする

買付価格は1株当たり800円

 ツインバード取締役会から賛同が得られた場合、10月下旬から30営業日内で同社株式のTOBを行う予定。買付価格は1株当たり800円と6月18日の終値395円に102.53%のプレミアムを加えた水準とする。買付予定数の上限はなく、下限は発行済み株式の66.67%にあたる727万800株。TOB終了後に議決権ベースで90%以上を買付できた場合は株式売渡請求を、90%未満だった場合は株式併合を行い、完全子会社化を目指す考え。なお、TOBによる株式取得および完全子会社化のための費用は総額で約87億円となる見込みで全額自己資金で賄うという。両社間のシナジーで売り上げを拡大することで投資額は数年で回収可能とみる。ツインバードを子会社化した場合、ジャパネット側からの取締役の派遣は検討するものの現経営陣はそのままとするほか、従業員の雇用も維持する意向。既存取引先との契約についても一律での変更はないという。

戦略商品や海外向け商品を開発

 ジャパネットHDはツインバードをグループに加えることで、さらなる事業拡大を描く。ジャパネットグループが展開してきた世の中にあるよいものを見つけ、メーカーと一緒に磨き、良さを伝えて販売していくという「見つける・磨く・伝える」というサイクルに、長年にわたって培ってきた金属加工技術と顧客視点に立って多品種の企画・開発・製造を迅速に行える開発力に、燕三条という世界に誇る職人文化の土壌とネットワークを有し、単独では実現できない成長を遂げることができる最善のパートナーと評するツインバードを子会社化してグループ内にメーカー機能を持つことで、まずは現在はOEM製造を委託している家電など一部商品を段階的にツインバードの製造に切り替え、ジャパネットが持つ顧客データを活かし、値ごろ感のある価格で顧客ニーズに応えた製品を迅速に開発、販売することがこれまで以上にできるようになることに加え、若年層向け製品や特定の機能に特化した製品の開発などこれまで展開できていないターゲットや分野における戦略製品の展開なども可能となるとみているよう。

 また、国内での展開だけでなく、計画中の同社独自ブランドの商品群を海外に向けて販売していく構想でも製品作りに寄与させたい考えもあるようだ。一方でツインバードをグループ傘下とすることで同社の工場稼働率の向上や低迷する業績の拡大にも貢献するとみる。

 なお、ジャパネットHDでは10月下旬までにツインバード取締役会から返答がなかったり、賛同が得られなかった場合は撤回するとしている。

「慎重に検討して見解公表する」

 

 ジャパネットHDのTOB表明を受けてツインバードは6月19日付で「株式会社ジャパネットホールディングスによる当社株式に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」という文書を発表した。その中で「ジャパネット公開買付けに係るジャパネットの公表文の内容その他の関連情報を精査した上で、当社取締役会及び特別委員会において、ジャパネット公開買付けを含む一連の取引が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるかという観点から慎重な検討を行い、当社の見解を公表する予定」とした。その後、ツインバードから7月13日付で「現在、当社は本件に慎重な検討を行っているところであり、現時点で当社は賛同又は反対するという見解を示していない」と同日時点ではジャパネットHDによるTOBへの見解は明らかにしていないものの、「取締役会および特別委員会では、ジャパネットによる当社の子会社化で生じうるシナジー・ディスシナジーを含めて慎重な検討を行っており、開示時期は検討の進捗次第となるものの当該検討に10月下旬まで時間を要することは想定しておらず、必要な検討等が完了次第、速やかにお知らせする予定」とし、10月下旬よりも前に自社の見解を表明する意向を明らかにしている。

 また、同日付でジャパネットHDがツインバードと秘密保持に関する確認書を取り交わしたとの発表があり、「非公開情報に取り扱いに関する枠組みが整い、より具体的かつ実質的な情報交換が可能になる」(同社)とし、今後、両社間で「Q&A等のプロセスを通じて誠実かつ建設的な検討を進めていく」(同)と一連の議論が前進している様子も垣間見える。

 ツインバードは独自家電の企画・製造を得意としており、同社製品の供給を受ける通販実施企業も少なくない。一方で大手小売店のプライベートブランド商品などに押される形で、直近では2期連続で最終赤字を計上するなど苦戦を強いられている。

 約900万人の顧客を持ち、テレビ通販などをはじめとする様々な通販媒体を活用して高い販売力を持つジャパネットグループへの傘下入りは低迷する業績の引き上げなど同社にとってメリットは少なくなさそうだが、ツインバードの経営陣、そして株主は最終的にどのような判断を下すのか、行方が注視されそうだ。

コーヒーメーカーや電子レンジ、ホームベーカリーなどの調理家電のほか、掃除機、ドライヤーなど幅広いジャンルの独自家電を製造販売するツインバード(写真は売れ筋の「全自動コーヒーメーカー」=同社HPより)