LINEヤフーは展開するコミュニケーションアプリ「LINE」上での通販サービスへの送客を強化する。「LINE」アプリのトップから主な機能に利用者を誘導する導線である「タブ」の1つで仮想モール「Yahoo!ショッピング」や「LINEギフト」などの商品を表示して各通販サービスに誘導する「ショッピングタブ」を表示するユーザーを広げる。3月から表示し始めていたがこれまでは全体の1割程度だった。7月6日から表示するユーザーを3割まで拡大し、その後は段階的に表示するユーザーを増やし、9月1日までに全ユーザーに表示する。「LINE」を入り口に通販への送客を増やし、グループのECの流通総額拡大を図る狙い。
「表示すると即完売」
現在、一部の利用者にのみ表示している「ショッピングタブ」は「LINEギフト」や「Yahoo!ショッピング」の商品の表示に加えて、「チャンスタイム」という2つの割引商品を日替わりで紹介するセールコーナーでは「Yahoo!ショッピング」の商品を紹介するなどグループのECサービスにLINEのユーザーを送客している。送客効果については「1割のユーザーにしか表示していない段階でも『チャンスタイム』で紹介した商品が即完売するようなことが起きており手ごたえを感じている」(嘉戸綾乃ソーシャルコマース統括本部長)とする。なお、「チャンスタイム」の対象商品は現状、LINEヤフー側が選ぶパターンと出店者からエントリーを募り、その中で選ぶパターンの両方があるという。
全ユーザーに「ショッピングタブ」を表示する9月にはさらに多くの送客が見込まれるほか、「チャンスタイム」で販売する商品数も現状の2つから増やしていく意向。また、現状は全ユーザーに同一の商品を表示しているが8月ころをめどに過去の「LINE」や「ヤフー」のサービスの利用実績などのデータから、それぞれのユーザーのし好や属性に合わせて「チャンスタイム」などで販売する商品を変えていく取り組みも開始する計画。また、「チャンスタイム」以外にも「ショッピングタブ」内の様々な企画を通じて「LINEギフト」、「Yahoo!ショッピング」の取扱商品の表示を増やしたり、商品を購入したユーザーだけでなく、ギフトを受け取ったユーザーにも「PayPayポイント(期間限定)」を付与する取り組みを10月以降から開始する予定でLINE経由のECへの誘導を増やす取り組みを進めていく考え。
生成AI活用したEC提案も
また、今後、LINEヤフーが進める生成AIサービス「Agenti(エージェントアイ)」を活用してユーザーのし好に応じて、LINE上でそれぞれのユーザーに最適な商品の提案を行う取り組みも開始する予定。例えばAIが公式アカウントを友だち登録しているアーティストのグッズが発売されるというニュースを拾って表示し、先行販売の予約や購入を勧めてくれるような形という。26年夏にも「LINE」とのアカウント連携を予定する「PayPay」による決済で「LINE」内で商品選びから購入まで買い物が完結できる体制も整うことからLINE経由で商品を購入するユーザーが増えそうだ。
同社では膨大なユーザーを持つ「LINE」でECを利用する仕掛けや動機付けを強化して「LINEギフト」や「Yahoo!ショッピング」の出店者の商品のほか、企業や店舗などの事業者が「LINE」上で顧客に対して情報発信やクーポン配信などを行うことができるビジネス用アカウントである「LINE公式アカウント」内でネット販売ができるようにする「ECストアオプション(仮)」と呼ばれる機能の提供を開始する予定で、同機能を使って販売される商品も「ショッピングタブ」で表示させるなどグループの各ECサービスの利用促進を進めていく考え。
「Yahoo!ショッピング」や「LINEギフト」の出店者にとって「ショッピングタブ」は集客の場として重要となってきそう。AIがユーザー属性によってどの商品を掲載するかを決める出面も多いようだが、「チャンスタイム」といった各種企画は出店者側でエントリーする形となる。ただし、割引分の原資を出店者が負担するなどの条件がある。EC事業者は「ショッピングタブ」の送客効果を見定めながら、活用を考えていく必要がありそうだ。