全日空商事は、EC事業において販促施策のテコ入れを進めている。マイルキャンペーンの拡大に加え、2026年4月には自社通販サイト「A-style(エースタイル)」のシステムを刷新。属性に応じた顧客アプローチを強化することにも取り組んでおり、グループで提供しているサービスを通じて、ANA利用者全体のLTV向上を図っていく。
まず前期について、これまではA-style内で、毎月15日~17日の3日間でクーポンをフックとした集客施策を展開していたが、2025年9月からは新たに大型のマイルアップ企画を開始。従来までの3倍を上限とした内容ではなく、最大で8~10倍まで引き上げて、毎月1週間前後の期間で行うようにした。現在、出店しているANAグループの仮想モール「ANAMall」でもマイル還元を起点とした施策が好評を得ており、今回、A-style単独でも実施。実際にANAユーザーから多くの反響があったという。「ANAグループとしてマイルが特徴でもあるため、それを提供することで満足してもらうもの」(同社)とし、今期も6月から継続的に行うとした。
そして4月にはA-styleのシステムを刷新。レコメンド機能をはじめ、決済機能の多様化などを行っている。決済については、マイルやクレジットカードだけではなく、「AmazonPay」や「PayPay」、「楽天Pay」などでも対応を開始。マイル中心であるANAグループ以外の経済圏にも幅広く門戸を開いてより買いやすくすることで、新規顧客の獲得を図る狙い。刷新以降、徐々に利用者が拡大しているもよう。
また、顧客アンケート機能についても使いやすくなっており、ライトな内容も含めて質問し、顧客ニーズを収集して、商品企画やサイトプロモーションにも反映することを目指している。
刷新後はこうした様々な作業が一つのパッケージでできるようになったため、運用側の視点としては大きく手間が省けるようになったとする。今後は顧客セグメントを強く意識した個別マーケティングに舵を切っていき、大量一斉配信型のメルマガ施策ではなく、より細かい属性に狙い撃ちができるようなアプローチを行うとした。
なお、今回の刷新に合わせた主なキャンペーンとして、特に大きな反響があったのはエントリー向けプレゼント企画で、ANA機内で提供しているコンソメスープを使ったミックスナッツやビーフカレーなどの詰め合わせに関しては、多くの応募を受け付けた。オリジナルグルメ商品の人気の高さを再確認することができたとした。

コラボ企画商品の開発も鍵に
そのほか、今後のマーケティングの方針としては、「顧客育成」を重視した施策に取り組んでいく。具体的にはA-styleの顧客を、購入回数やANAサービスの利用ステータスで区分けして、購入金額のボリュームが高いゾーンなどに的を絞って適切なコミュニケーションをとっていく。「体験価値を提供して、時限的な利用から継続的な利用へ。顧客を進化させて、LTVの最大化を図る。(グループ全体で)各施策が同じ目線に立つことで、全体的な数字の変化も見ていくということ」(同社)と説明。現在、最適化に乗り出しているメルマガの配信先の絞り込みに加えて、AMCアプリについても対象者限定の表示内容にすることなどを検討。商品によっては、飛行機搭乗前のラウンジで体験できるようなリアルを交えた提案も考えていく。
そして、商品開発に関しては消費者や顧客が起点となるデマンドチェーンマネジメントを基本とした考え方を導入していく。これまでも顧客からの要望に応える方針ではあったが、数字やデータを駆使してより精緻化したMDへと昇華させるという。A-styleの利用顧客をクラスター分解して、購買目的・手段、顧客の状態などをナレッジ化していくことで、品ぞろえを見直して供給効率をアップしていくとした。
柱となるANAオリジナルブランドについてもこの方針を踏まえて、再構築を図ることを視野に入れており、「航空利用顧客に向けた商品を充実するだけではなく、地域性やストーリーも重視した商品選定、企画紹介の仕方を工夫していきたい」(同)とした。